日本の玄関口・東京駅に面し、大企業のオフィスが立ち並ぶ丸の内エリア。その一方で、三菱一号館美術館があったり、仲通りに沿って「丸の内STREET GALLERY」として彫刻作品が展示されていたり、定期的にアートイベントが開催されたりと、「アートの街」という側面も持っています。
そんな丸の内で、社会や経済の未来についてアートを交えて考える今年初開催のイベント「FUTURE VISION SUMMIT 2024」が開催されました。このイベントはざっくりいうと、「アーティスト」「企業」「大丸有エリア」それぞれがコラボすることで相乗効果を発揮し、お互いに発展していこう、という内容。といっても普通のアート作品を見る感覚で楽しめるものも多かったので、その一部をご紹介します。
アーティスト、企業、大丸有エリアが互いに交わり成長する
11月13日から15日にかけて開催された「FUTURE VISION SUMMIT 2024」。「アートを軸に未来社会を考える、ビジネス、サイエンス、エンジニアリングの交差点」をテーマに、丸ビルや国際ビルでカンファレンスやショーケースが行われました。
イベントの趣旨を説明してくれた大丸有エリアマネジメント協会の大原大志さんの話によると、アーティストと企業と大丸有エリアがコラボすることによって、以下の3つの未来につながることを目指したイベントだそう。
・アーティスト自身の成長
・企業は新たなビジネスのヒントや新しいビジョンを得る
・大丸有エリアの発展
大丸有エリアの中でも特に丸の内・有楽町はアートに親和性が高いエリア。大丸有エリアの企業とアーティストがコラボすることで、新たなビジネスのヒントにつながったり、アーティストの成長につながります。なるほど、ちょっと古い言い回しですがWin-Win-Winの関係ですね。だんだんお互いの関係性が見えてきました。
近年はその動きを加速させるべく、エリアマネジメント協会が中心となったまちづくりの実証実験も行われています。「有楽町アートアーバニズムYAU」という活動を通じて、ビジネス街の中にアーティストのスタジオを運営したり、実際にそこで両者が協業するプロジェクトが進行しているそうです。
アートって、想像以上に社会に影響を与えるものなのでは?
今回のイベントでは、「ショーケース」としてアートの展示やワークショップが行われていました。たとえば展示会場の中でひときわ目を引いていたこちら。
こちらは東京ドームなどにも使われている膜材の廃棄予定のものや端材を使ったアート。何かにシートをかけたのかな?と思ってシートの内側をのぞくと、なんだか秘密基地みたいな空間が広がっていました。ドームにも使われている膜なので雨風にも強そうですし、夏フェスなど野外イベントの遊び場に設置したら子供たちのテンションが上がりそう。…あっ、こういう発見がビジネスのヒントにつながるのかも。
もう一つ、印象的だったのがガラスを使った展示。廃棄された網入りガラスを再生用に粉砕して一つ一つほどき、ワイヤー同士をつないで天井から垂らしたものなのですが、光を反射してとてもきれい。涙が落ちる様子をスローで撮影したようにも見えて、幻想的でした。
ガラスはリサイクル率が高い素材ですが、窓などに使われる「建築ガラス」の再活用は進んでいないのだそう。それを逆手にとったのが下の作品。
この箱に入っているのはガラスの素材になる石。もう一つの空の箱があり、その内側には古代のガラスが発明された頃のガラスの作り方が書かれていました。ガラスは自然に還るにも100万年くらいかかるそうで、ならばいっそ未来の人にこの箱を残して、ガラスの作り方を伝えようというアートです。発想の転換だ!
ほかにも、国際ビルと丸ビルに設置されたデバイスに息を吹きかけると、丸の内パークビル一号館広場にシャボン玉が飛ぶというユニークな作品もありました。
アートがどのくらい実際のビジネスにつながるかは未知数ですが、こうして展示を見ると、良いヒントをくれているように思えました。今回のイベントの趣旨である「社会や経済の未来についてアートを交えて考える」こともなんとなく分かった気がします。今後現代アート作品を見る時は、素材に注目してみようかな。もしかしたら、起業できちゃうほどのヒントを見つけちゃうかも。
FUTURE VISION SUMMIT 2024
期間:2024年11月13日(水)、14日(木)、15日(金)
※カンファレンスは11月13日、14日のみ
会場:CONFERENCE/丸ビルホール
SHOWCASE/国際ビル、三菱ビル サクセス(11/15)
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