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液晶工場はAIのデータセンターに、カメラや半導体も撤退へ

「事業の断捨離」を進めるシャープ、2年ぶりようやくの営業黒字、CEOは「社員に感謝」

2024年11月15日 19時00分更新

シャープの沖津雅浩社長兼CEOは、2024年11月15日、同社イントラネットを通じて、社員向けに「CEOメッセージ」を配信した。

シャープ株式会社の沖津雅浩社長兼CEO

CEOメッセージは「上期は営業黒字を達成、皆さんの努力に感謝します」のタイトルで配信。先ごろ発表した2024年度上期決算で、2022年度上期以来の黒字になったことなどについて振り返った。

2年ぶりの営業黒字達成に驚きの声

沖津社長兼CEOは、「2年ぶりに、全社で営業黒字を達成することができた。7月に現在の経営体制がスタートし、最初の四半期で、早速、こうした成果をあげられたことについて、私自身、非常に嬉しく思っている。また、社員一人ひとりの懸命な努力に、心から感謝する」と切り出し、2024年度上期のポイントについて説明した。

シャープが発表した2024年度上期(2024年4月~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比5.3%減の1兆964億円、営業利益は前年同期のマイナス58億円の赤字から4億円の黒字に転換。経常利益は前年同期比51.6%減の14億円、当期純利益は前年同期比362.6%増の229億円となっている。

「2024年度上期の業績は、売上高は対前年減収となったが、営業利益は大きく改善し、営業黒字を確保。最終利益も、投資有価証券の売却益などがあり、前年に対して大幅な増益になった」とし、「事業別に見ると、ブランド事業では、スマートオフィスが第1四半期に続き、第2四半期も好調を維持し、上期全体で売上、利益とも対前年大幅伸長となった。スマートライフ&エナジーおよびユニバーサルネットワークにおいても、円安のマイナス影響を受ける非常に厳しい事業環境のなか、第1四半期、第2四半期と継続的に利益を計上することができた。この結果、ブランド事業全体では、前年上期に対して売上、利益とも二桁伸長になった」と総括。また、「デバイス事業は、ディスプレイデバイスの構造改革の効果もあり、第1四半期から第2四半期にかけて赤字幅が大きく縮小しており、上期全体でも、売上高が対前年比減収となる一方で、利益は着実に赤字が改善している」と報告した。

その上で、「決算説明会終了後には、メディアやアナリストから、『上期の営業黒字は良い意味で驚きだった』、 『ディスプレイデバイスの赤字が縮小しており、構造改革の効果が出ていることを実感した』、『スマートオフィスや海外白物家電など、ブランド事業の重点分野での成長が確認でき、シャープが目指していることが形になり始めていると感じた』など、取り組みを好評価するコメントが多数あった。また、これまでであれば、メディアやアナリストからの質問の多くはディスプレイデバイス事業に関するものだったが、今回はブランド事業に関する質問も多く、シャープに対する見方が変わってきているように感じた。同時に、ブランド事業の成長戦略に対する注目や期待を改めて実感した」と、決算会見の感想を述べた。

今後の姿勢として、沖津社長兼CEOは、「下期もこの流れを継続し、年間公表値達成に向け、突き進んでいきたいと考えている。そのためには、第3四半期において、実業の成果を示す営業利益をどれだけ積上げることができるかが重要になる。直近では為替が再び大きく円安に進むなど、事業環境は決して予断を許さない状況にあるが、社員全員がいま一度気を引き締め、利益の積上げに全力をあげて取り組もう」と呼びかけた。

また、「2024年の年末商戦の取り組みは、シャープにとって大きな意味を持つものになる。『自分たちが全社の業績を牽引するんだ』という強い気持ちを持ち、全力でこの商戦に挑むことを期待している」と述べた。

なお、今回のCEOメッセージのなかでは、プラズマクラスターの日となる11月11日から、プラズマクラスター空気清浄機の新製品のテレビコマーシャルを開始したことも報告した。女優の浜辺美波さんを起用し、プラズマクラスターによるすがすがしい空気を表現。関東、関西、名古屋では11月24日まで放映し、2025年3月31日までは、ウェブやSNSのほか、ファミリーマート店内のFamilyMartVisionでも放映される。

グリーンフロント堺における液晶パネル生産終了、アセットライト化を進める

その一方で、今年度の最重点テーマである「アセットライト化」の進捗状況については、「それぞれが最終局面に入りつつある。なんとしても年度内にこれらのプロジェクトの決着をつけ、2025年度からの反転攻勢につなげていきたい」と意欲をみせた。

シャープでは、大阪府堺市のグリーンフロント堺における液晶パネルの生産を終了。AIデータセンターへの転換に向けてソフトバンクおよびKDDIと交渉を進めている。ソフトバンクとは、2024年度中の土地および建屋の譲渡契約締結に向けて最終協議を行っていること、KDDIとは、2025年度中のAIデータセンターの本格稼働に合わせて、諸条件について協議を行っていることを公表している。

また、カメラモジュールと半導体については、鴻海と最終協議中であることを示し、2024年12月までの譲渡契約の締結と、2025年3月までのクロージングを予定している。

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