CPUのパッケージ温度は最大87度と空冷でも超余裕
いくら性能が高くても、CPU温度が高止まりしてしまうのは問題だ。実際、第14世代Coreプロセッサーでは、性能が高いものの発熱が大きく、CPUクーラーの冷却性能次第で、性能が大きく下がってしまうことも珍しくなかった。
発熱を抑えるには電力制限を厳しくすればいいのだが、そうすると今度は性能が下がってしまう。それだけに、発熱と電力制限のバランスをいかにとるかが、BTOパソコンメーカーの腕の見せどころになっていた。
Core Ultra 200Sシリーズは電力効率が向上しているだけに、発熱が小さくなっていることにも期待したい。ということで、CINEBENCH 2024のMulti Coreテストで高負荷をかけ、その時のCPUのパッケージ温度などの情報をモニタリングツール「HWiNFO64 Pro」でチェックした。
なお、Core Ultra 7 265Kの標準は、最大ターボパワー(PL2)が250W、ベースパワー(PL1)が125Wとなっている。これに対し、G-Master Spear Z890の設定では、PL1が159Wに高められていた。
高負荷テスト終了直前のCPUパッケージ温度の平均は78度。最大温度でも87度とかなり余裕があり、PL1の電力制限をさらにゆるめても安定動作が見込めそうだ。なお、CPU Package Powerの最大が約209Wまでしか上昇しておらず、PL2の250Wまで到達していない。このことからも、電力効率が大きく改善され、省電力化されているのは間違いない。
ゲーミング性能も文句なし!
今回お借りしたG-Master Spear Z890の試用機のビデオカードはManli「M-NRTX4070TISG/6RMHPPP-M3604」(GeForce RTX 4070 Ti SUPER、16GB GDDR6X)。フルHDはもちろん、WQHDでも十分快適に遊べるゲーミング性能がある。設定次第では、4Kでも最新ゲームをプレイできるだろう。
まずは、定番のベンチマークソフト「3DMark」で、そのポテンシャルを調べる。3DMarkは多数のテストがあるが、「Speed Way」の結果から見てみよう。このテストは、DirectX 12 Ultimateを使用し、リアルタイムのグローバルイルミネーションや、レイトレーシングといった重たい処理が行われる。最新ゲームのリッチな画面描画に影響が大きい部分だ。
スコアーは6350と高く、さすがGeForce RTX 4070 Ti SUPER搭載ビデオカードを積んだゲーミングPCといった印象。Speed Way以外のテストも試しているので、スコアーをまとめておこう。ほかのPCとの比較などで参考にしてほしい。
実際のゲームに近いテストとして、「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下、FF14ベンチマーク)も試してみた。こちらはDirectX 11世代のテストで、ゲームとしては軽量クラス。そのため、解像度は4Kとし、画質設定はプリセットの「最高品質」、フルスクリーンで試している。
スコアーは12831で、評価は「とても快適」。レポート機能で詳細を見ると、平均フレームレートが約90fpsと高いだけではなく、最低フレームレートも57fpsと十分な速度が出ていた。MMORPGは画面描画速度が30fpsもあれば違和感少なく楽しめるだけに、4Kでも快適に遊べるというのは間違いない。どんなシーンでもより滑らかな動きで楽しみたい、というのであれば、解像度をWQHDに落としてプレイするというのもアリだ。
なお、画質をあまり下げずにフレームレートを上げる方法として「DLSS」を使用するという手段がある。これは、描画の計算は低い解像度で行うものの、表示時に高解像度化処理を行い、高画質化するというもの。これにより、高フレームレート化と高画質化を両立できる。
ただし、DLSSはあくまで低いフレームレートを高めるための技術だ。今回のように最低フレームレートが57fpsもあると、DLSSを使わずに十分な速度となってしまうため、効果は見込めない。実際、DLSSを適用して試してみたところ、スコアーが12245、平均フレームレートが約87fps、最低フレームレートが54fpsと、わずかに下がってしまった。これは、十分な性能があるのに余計な処理が加わってしまったことによるものだろう。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります