「Ghost Recon: Breakpoint」
Ghost Recon: BreakpointではAPIにVulkanを選択し、画質は“低”に設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。
Ghost Recon: Breakpointの処理はごく少数のコアに負荷が偏るため、Core i9-14900Kのように論理コア数が多くても使い切れない。こういうゲームではRyzen 7 9800X3Dが強いようだ。Core i9-14900Kに対しては1.5倍弱の平均フレームレートを出すことに成功している。Ryzen 7 7800X3Dも健闘しているが、9800X3Dに7%程度の差がついている。
これまでシステム全体の消費電力はCPUの消費電力の大きいCore i9-14900Kがトップを独走していたが、ここではRyzen 7 9800X3Dが一番大きい。CPUの消費電力はCore i9-14900Kの半分以下なのにシステム全体の消費電力が増加している理由は、CPUの処理性能が高いためGPU側の描画処理も引き上げられる、という好循環が形成されているためだ。Core i9-14900Kに対し平均フレームレートで1.5倍弱も出していれば、このような消費電力傾向も決して不思議ではない。
「Ghost of Tsushima: Director's Cut」
Ghost of Tsushima: Director's Cutは画質を“非常に低い”、アップスケーラーや動的解像度系はすべてオフにしてレンダースケール100%設定とした。マップ“日吉の湯”における一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
Ryzen 7 9800X3Dは7800X3DにもCore i9-14900Kにも2ケタパーセントの平均フレームレート上昇を果たしている(それぞれ約12%、約18%)。Ryzen 7 9800X3Dでは最低フレームレートも伸びているなど、ゲーミングCPU最強といって差し支えない結果を出している。
Core i9-14900Kの消費電力から考えると、あまりCPUパワーを消費しないような設計になっていると考えられる。ワットパフォーマンスではRyzen 7 7800X3Dがトップ、続いて9800X3Dという序列になる。
「Ghostwire Tokyo」
Ghostwire Tokyoでは最低画質、アップスケーラーを無効化しレンダースケール100%に設定。マップ内の一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
最低フレームレートはどのCPUも似たり寄ったり(とはいえRyzen 7 9800X3Dが一番高い)だが、平均フレームレートでは9800X3Dのパワーが遺憾なく発揮されている。Ryzen 7 7800X3Dに対しては平均フレームレートで約1割上回ることができているので、今後7800X3Dの実売価格が劇的に下がるのでなければ、9800X3Dを選ぶ方が得策だ。
Core i9-14900Kの電力消費がやや大きめ(Dead Spaceほどではないが)な以外は、全体傾向に特別語るべきところはない。
「God of War Ragnarok」
God of War Ragnarokは画質“低”に設定。新ゲーム開始直後、犬ぞりで逃げるシーンにおけるフレームレートを計測した。
Ryzen 7 9800X3Dと7800X3Dのフレームレートは270fpsのやや下で頭打ち。両者の差は2%と小さい一方で、Core i9-14900Kとの差は20%(9800X3Dとの比較)と大きい。
このゲームでも他のゲーム同様の傾向が見られた。
「Helldivers 2」
Helldivers 2では画質“低”とし、アンチエイリアスはオンに設定。チュートリアルをプレイし、降下艇を下船してから新兵キャンプ内へ移動した時のフレームレートを計測した。
Helldivers 2でも280fpsあたりで強烈な頭打ちに見舞われる。最低フレームレートで若干Ryzen 7 9800X3Dが有利になっているが、ゲーム側の処理がそれほど高フレームレートを出すようにはできていない(古いゲームエンジンを独自技術でメンテナンスながら実装しているらしいが)。ただCore i9-14900Kに対しては平均フレームレートで20%程度、最低フレームレートならさらに5%上乗せしたアドバンテージがあるようだ。
このゲームにおいてもここまでの検証と同様の結果が得られた。
「Hitman 3」
Hitman 3は最低画質設定とした。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測したが、ベンチマークシーンはCPU負荷の高い“Dartmoor”を選択している。
Dartmoorはパーティクルや布シミュレーションが多く使われているため、半端なCPUでは最低フレームレートが激しく落ち込んでしまう。グラフではどのCPUも130fps以上出せているので快適度の上では問題ないといえるが、平均フレームレートではCPUパワーの差がハッキリと出ている。Ryzen 7 9800X3Dは7800X3Dに対しては12%、Core i9-14900Kに対しては17%上回っている。
CPUによる物理シミュレーションが効いているのか、Core i9-14900Kの消費は平均200Wを越えた。Ryzen 7 9800X3Dも消費電力は増えているが、それでも100W未満に収まっている。
「Hogwarts Legacy」
Hogwarts Legacyでは画質“低”、アンチエイリアスはTAA低に設定。ホグワーツ城南から場内へ至る一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
Ryzen 7 9800X3Dは7800X3Dに対し平均フレームレートにおいて約20%、同様にCore i9-14900Kに対して約40%上となった。Ryzen 7 7800X3Dは最低フレームレートがあまり伸びていない印象だったが、Ryzen 7 9800X3Dではそこも改善され、高フレームレートの維持がしやすくなっている。
消費電力については特に語るべきところはない。
「Homeworld 3」
Homeworld 3は画質“低”、レンダースケールは100%に設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。
このベンチは前半はCPUに足をとられ、後半はGPUに足をとられる(いわゆるCPUバウンド/ GPUバウンド)ような設計になっている。フレームレートの落ち込みやすいのは言うまでもなく前半部分だが、Ryzen 7 9800X3Dは他のCPUよりも踏ん張れているようだ。平均フレームレートではここでもRyzen 7 9800X3Dが優秀。Ryzen 7 7800X3Dに対しては約16%、Core i9-14900Kに対しては約30%も平均フレームレートを伸ばしている。
雲霞の如く飛び交う艦載機などの処理が重いため、Core i9-14900Kの消費電力は200Wにかなり迫っている。そういった状況でもRyzen 7 9800X3Dであれば、半分以下の消費電力で済んでいる所は見逃せない。
「Horizon Forbidden West」
Horizon Forbidden Westは画質“低”に設定。“導きの塔”に至るマップにおける一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
Ryzen 7 9800X3Dは他のCPU対し平均フレームレートで10%前後と小ぶりな伸びに終わったが、最低フレームレートにおいてはRyzen 7 7800X3Dの20%増しとなった。AMDは平均フレームレートが伸びなくても最低フレームレートで勝つという資料も出していたが、Horizon Forbidden Westはまさに最低フレームレートの質で勝つ部類のゲームになったようだ。
Core i9-14900Kの消費電力が平均239Wというのは、Dead Space(262W)程ではないにせよかなり大きい。逆にRyzen 7 9800X3Dは7800X3Dとあまり差がない。3D V-CacheのおかげでRyzen 7 9800X3Dの消費電力が抑制されているとすれば、メモリーアクセスが消費電力に大きな差が付いていることの説明になりそうだ。
「Lies of P」
Lies of Pは画質“低”に設定。ゲーム開始直後から最初のボスに至るコースを移動した際のフレームレートを計測した。
どのCPUであっても十分高いフレームレートが得られ、そしてどのCPUも他者に対し僅差にとどまった。強いて言えばRyzen 7 9800X3Dは最低フレームレートでアドバンテージがあると言えるが、一番差がついたRyzen 7 7800X3Dですら6%程度と小さい。このゲームではCPUの差はほぼなかったと言うべきだろう。
フレームレートに差がなくても、消費電力ではしっかりと差が付いている。CPUワットパフォーマンスでは、Ryzen 7 7800X3Dが他を圧倒していることは計算するまでもないだろう。
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