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ゲーム56本で検証!

「Ryzen 7 9800X3D」が最強ゲーミングCPUであることを証明する

2024年11月15日 11時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

「A Plague Tale: Requiem」

 A Plague Tale: Requiemでは画質“低”をベースに、アップスケールは“Ultra Quality”とした。ゲーム開始直後のステージにおいて、一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

A Plague Tale: Requiem:1920×1080ドット時のフレームレート

 平均フレームレートではほんのわずかにCore i9-14900Kがリードしているが、Ryzen 7 9800X3Dとの差は2%もない。それよりも気になるのは、Ryzen 7 7800X3Dの方がRyzen 7 9800X3Dよりも微妙に最低フレームレートが高かった、という点だ。今回計測に際しては最低5回ずつは回したが、なぜか9800X3Dの方がいつも微妙に落ち込む。Zen 5の数少ない弱点であるコア間レイテンシーが効いているのか、たまたまそうなっただけなのか、まだ断言できるだけの材料はない。

A Plague Tale: Requiem:ベンチマーク中の平均消費電力

 消費電力に関しては非常に分かりやすい結果が出た。Core i9-14900KはBIOSで電力制限(Performance Profile)をかけているのだが、それでもRyzen 7 9800X3Dの3倍近い電力を“CPUだけで”消費している。それでいて平均フレームレートはどのCPUも大差ないのだから、ワットパフォーマンスという点ではCore i9-14900Kは非常によろしくないと言わざるを得ない。

 Ryzen 7 9800X3Dと7800X3Dとの比較では、9800X3Dの方が7800X3Dよりも20W程度消費電力が高い。システム全体の消費電力も似たような差がついている。CPUの消費電力の違いが、システム全体の消費電力に影響しているのだ。

「ARK: Survival Ascended」

 ARK: Survival Ascendedでは画質“Low”、AA“ネイティブ”に設定。マップ“Aberration”のポータルからスタートし、一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。計測時には徘徊する恐竜から不可視になるコマンドを利用している。

ARK: Survival Ascended:1920×1080ドット時のフレームレート

 1つ前のA Plague Tale: Requiemとは異なり、Ryzen 7 9800X3Dが7800X3Dを平均フレームレートで約19%回った。最低フレームレート(正確には下位1パーセンタイル点以下のフレームの平均値)も平均フレームレートと連動して伸びていることから、CPU側が律速になってフレームレートが伸びなかったものが、Zen 5&3D-V Cacheによってさらに伸びるようになった、と考えられる。

ARK: Survival Ascended:ベンチマーク中の平均消費電力

 Core i9-14900Kが消費電力において特別大きく、Ryzen 7 9800X3DはCore i9-14900Kの半分程度。Ryzen 7 7800X3Dは消費電力が少ないが、その分フレームレートも低い。ワットパフォーマンスに関しては本稿の最後で一挙にまとめることにしよう。

「ARMA 3」

 ARMA 3では画質は“Low”ないし“Very Low”を選択。アンチエイリアスはFXAA Standardとし、異方性フィルタリングは“Low”、総合の視距離は40000、オブジェクトの視距離は8000、PiPの視距離は13000に設定。ワークショップアイテム“Yet another ARMA 3 Benchmark”を利用し、ベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。

ARMA 3:1920×1080ドット時のフレームレート

 ARMA 3ではCore i9-14900Kが一方的にRyzen勢に頭を押さえ込まれているようだ。Ryzen 7 7800X3DだとCore i9-14900Kに対し平均フレームレートでしか優位性を発揮できていないが、9800X3Dになると最低フレームレートもさらに伸びてくる。重めのシミュレーションというと「Cities Skylines II」や「Mount & Blade: Bannerlord II」のようにCPUコア数が重要になるものが思い浮かぶが、ARMA 3の場合はキャッシュ帯域が効くようだ。

ARMA 3:ベンチマーク中の平均消費電力

 重いゲームなのに消費電力はそれほど大きくない。Core i9-14900Kでも120W以内に収まっている。それでもRyzen 7 9800X3DはCore i9-14900Kの約半分の消費電力で、14900Kを上回るパフォーマンスをあげているのは驚くべきことだ。

「Apex Legends」

 Apex Legendsは起動オプションでDirectX 12を選択かつ144fps制限も解除し、アンチエイリアスはTAA、その他の設定は最低画質とした。射撃訓練場で一定の行動をとった際のフレームレートを計測した。

Apex Legends:1920×1080ドット時のフレームレート

 Apex Legendsの場合、144fps制限を突破できても、300fpsでフレームレートは頭打ちとなってしまう。今回の検証環境はこのゲームの測定条件にとっては軽すぎたと言うことか。Core i9-14900Kは最低フレームレートにおいて少しだけRyzen勢に対する優位性を見せているが、ゲームチェンジャーと言うほどのものではない。

Apex Legends:ベンチマーク中の平均消費電力

 システム全体の消費電力が他のゲームよりも低いのは、300fpsで頭打ちになる関係で“休みながら仕事をしている”状態だからだ。ただCPUの消費電力はRyzen 7 9800X3Dで70W程度と他のゲームと同水準であるため、CPUは必死に動いているが、GPUは休み休み仕事をしていることが推察できる。

「Ashes of the Singularity: Escalation」

 Ashes of the Singularity: Escalationに搭載されたベンチマーク機能では、CPUもしくはGPUの負荷を上げることで2つの側面からの検証が可能である。APIはDirectX 12、アンチエイリアスはMSAA 2Xに設定。それぞれのベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。

Ashes of the Singularity: Escalation(CPU):1920×1080ドット時のフレームレート

Ashes of the Singularity: Escalation(GPU):1920×1080ドット時のフレームレート

 CPUのベンチは多量のユニットを動かし、GPUのベンチは弾幕や爆発系のエフェクトが飛び交う。前者では論理コア数の多いCore i9-14900Kが一応の踏ん張りを見せるがRyzen 7 9800X3Dのパワーに圧倒。後者は3D-V Cacheを備えたRyzenが圧倒的有利だ。同じゲームでありながらこうも傾向が違うというのは非常に興味深い。GPUにフォーカスしたテストの結果が語っているようにCPUにある程度余裕があり、GPU側が軽めの処理を高回転で回しているようなシチュエーションで3D-V Cacheは輝くことが示唆されている。

Ashes of the Singularity: Escalation(CPU):ベンチマーク中の平均消費電力

Ashes of the Singularity: Escalation(GPU):ベンチマーク中の平均消費電力

 どちらのテストにおいてもCPUの消費電力はほぼ同じ。ただGPUに負荷をかけるテストではGPU側がより仕事をする、すなわちより電力を消費するため、システム全体の消費電力に違いが出ているようだ。

「Assassin's Creed: Mirage」

 Assassin's Creed: Mirageでは画質は“低”、アンチエイリアスはTAAに設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。

Assassin's Creed: Mirage:1920×1080ドット時のフレームレート

 このゲームでは250fpsあたりで頭打ちとなり、どのCPUも似たような結果に終わった。画質“低”設定でもフレームレートが激しく暴れることが珍しくないため、どのCPUでも差が出にくいといったところか。

Assassin's Creed: Mirage:ベンチマーク中の平均消費電力

 消費電力の序列に変化はないが、Core i9-14900KとRyzen 7 9800X3Dの違いひときわ大きく、3:1に迫る結果が得られた。ここまで差が拡大している理由はコアの負荷が高いというよりも(実際Ryzen 7 9800X3Dでも各論理コアの負荷は30~70%程度)、メモリーへのアクセスで電力を食っていると思われる。

「Assetto Corsa」

 Assetto Corsaではアンチエイリアスはx2、異方性フィルタリングはオフ、画質系はLowを選択したがミラー反射はNormal、反射品質や頻度はLowとした。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。

Assetto Corsa:1920×1080ドット時のフレームレート

 平均フレームレートではRyzen 7 9800X3Dにアドバンテージがあるが、最低フレームレートではCore i9-14900Kが非常に有利である。Ryzen勢はフレームレートが一瞬ではあるが大きく落ち込むことがあり、それが最低フレームレートに強く影響しているようだ。落ち込む頻度は非常に少ないので気にならないレベルではあるが、なぜRyzen環境だと酷く落ち込むポイントがあるのかまでは掴めていない。

Assetto Corsa:ベンチマーク中の平均消費電力

 全体的にCPUの消費電力は低く、Core i9-14900Kですら平均110Wで済んでいる。特にRyzen 7 7800X3Dは平均40W未満で動いているという点には驚かされる。

「Atomic Heart」

 Atomic Heartでは画質は“低”としたが、ストレージの種類はデフォルトのHDDからSSDに変更。ゲーム開始直後“科学都市チュロメ”内の一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

Atomic Heart:1920×1080ドット時のフレームレート

 Ryzen 7 9800X3Dは7800X3Dに対し平均フレームレートにおいて約7%向上、Core i9-14900Kに対しては20%も上回っている。

Atomic Heart:ベンチマーク中の平均消費電力

 消費電力のデータの傾向はこれまでの検証と同じ。CPUが消費した電力に対する平均フレームレートをワットパフォーマンスとした場合、Ryzen 7 9800X3DはCore i9-14900Kの約2.8倍に達する。

「BIOHAZARD RE:4」

 BIOHAZARD RE:4では、画質は最低設定としたが、アンチエイリアスだけはTAAに設定。ゲーム序盤で訪れる村落マップを移動する際のフレームレートを計測した。

BIOHAZARD RE:4:1920×1080ドット時のフレームレート

 ここでもRyzen 7 9800X3Dに強いアドバンテージがある。Ryzen 7 7800X3Dに対しては平均フレームレートで約13%向上、さらに最低フレームレートも伸びている。VRAM搭載量の多いRX 7900 XTを使っていること、さらに画質設定でテクスチャー系の設定を最低にしているためVRAMが不足して最低フレームレートが落ちているわけではない。

BIOHAZARD RE:4:ベンチマーク中の平均消費電力

 消費電力の傾向は他のゲームと変わらない。

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