仕事で使えるビジネス版LINEである「LINE WORKS」の連載では、アカウント作成の基本からビジネスシーンでの活用術、便利なTipsなどを紹介していく予定。第146回は、11月から始まったフリーランス新法に、LINE WORKSのテンプレート機能で対応する方法について紹介する。
フリーランス新法に対応するために必要な要件は?
2024年11月1日からフリーランス新法が施行された。正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」で、フリーランスとして働く人々の権利を保護し、安心して働ける環境を整備することを目的としている。特に、企業などから業務委託を受けるフリーランスが、不当な扱いを受けないようにするための規定が設けられている。
その一つが、契約条件の明示義務だ。発注者は、業務内容や報酬額、支払期日といったフリーランスとの契約内容を書面または電磁的方法で明示する必要がある。これにより、口約束によるトラブルが防止されるようになる。
筆者も25年以上フリーランスで働いており、特に出版業界はずっと口約束が続いていた。時々、納品後の請求時に約束と違うことを言ってくることがあり、トラブルになることもあった。契約内容を明示してくれるのはとてもありがたいことだ。
一方、発注側の企業としては新たなタスクが発生する。法に則ったうえで、できる限り手間をかけずに対応したいところだろう。法律と言うと、小難しく感じるが、必ずしも契約書を交わす必要はなく、必要な情報を電磁的方法で明示すればいい。つまり、LINE WORKSのトークで送信し、チャットで合意を取ってもOKなのだ。明示する内容は以下の通り。
・業務内容(成果物や役務の内容)
・報酬の額
・支払期日
・発注者・フリーランスの名称
・業務委託をした日
・給付を受領する日および場所
・(検査がある場合)検査完了日
・(現金以外で支払う場合)報酬の支払方法に関する事項
LINE WORKSのトークにテンプレートを作成しよう
とはいえ、必要に応じて毎回すべての内容を手入力するのは面倒だし、抜け漏れも発生してしまう。面倒になった従業員が作業を飛ばして、契約条件を明示せずに発注してしまうことも考えられる。そこで、LINE WORKSのテンプレート機能を活用しよう。あらかじめ必要な項目をフォーマットにしておけば、納期や業務内容を入力するだけで簡単に契約書面を作ることができる。
まずは、トーク画面の「…」メニューから「テンプレート」を開き、「テンプレートを作成」をクリック。「ご依頼書」という内容のテンプレートを作成し、必要な項目を入力していこう。その際、選択肢が決まっているものは選ぶだけで入力できるようにしたり、部署や会社全体で共通している項目は文章として表示させたりして、従業員の手間をなるべく削減するようにすると定着利用するだろう。
利用時には、フリーランスとのトークルームで、「…」メニューから「テンプレート」をクリックし、作成した依頼書テンプレートをクリック。上から必要事項を入力していき、「送信」をクリックすればいい。
受信したフリーランスは「内容を確認する」をクリックすると、依頼書の内容がポップアップし、詳細を読むことができる。
ビジネスチャットで契約を結ぶ際、注意しておきたいことがある。個人事業主の場合、契約の文面は5年間保管することが義務付けられている。LINE WORKSの場合、通常のトーク保存期間は3年間なのだ。その間に、スクリーンショットを取って保存しておけばいい。もしLINE WORKS内に保存しておきたいなら、保存期間が最大10年間になるオプションのアーカイブ機能を利用しよう。料金は1ユーザーごとに月額300円となる。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう