Bowers&Wilkinsの「Zeppelin Pro Edition」をレビュー
少しお金をかけて最高の音を手に入れたい人の、正解スピーカーを見つけました
高音質の秘密を知りたくて分析してみた
参考までに、出力音をコンデンサーマイクでレコーディングして、アナライザーにかけつつ、ノートPCからの出力音と比較してみました。
楽曲名は事情により公表できませんが、ジャンルはポップスで、強いビートとクリアなボーカルの重なり合いが特徴的なナンバーです。
まずは単純な波形から。上がZeppelin Pro Editionで、下がノートPCです。録音品質は双方192kHz/24bitで、ピークの音量レベルを大まかに揃えています。このノートPCも音質が悪い方ではなく、ノートPCにしては、どちらかというとリッチなサウンドのモデルなのですが、違いは一目瞭然ですね。
この楽曲の構成的に、最初の8小説はベースの低い音が中心のアレンジになっていて、9小説目から激しいビートが始まるのですが、ノートPCの方は低域が薄いので、最初の8小説が全体的に薄いサウンドになっていることがわかります。
アナライザーで周波特性を見てみると、ノートPCが60Hz以上の出力になっているのに対し、Zeppelin Pro Editionでは30Hzあたりからグラフが伸びています。「低いところに重さがある」と感じたのも気のせいではなく、実際に低い周波数が出ているということになります。
また、ピーク音量でレベルを揃えているので単純な比較はできないものの、ノートPCからの出力では、2000Hzあたりに音量のピークがありますが、Zeppelin Pro Editionの場合、60Hz〜1000Hzあたりまで平均的な出力が得られています。
(ジャンルやプレイヤー、エンジニアの特性や好みによっても異なりますが)標準的な話をすると、ミックスやマスタリングの段階では各周波数がバランスよく出ている状態を目指すことが多いので、Zeppelin Pro Editionは、ソースの音をバランスよく鳴らせているとも形容できそうです。
特徴的なフォルムには、必然性があった
形状に触れた流れで、ハード面に迫ってみましょう。Zeppelin Pro Editionのカラーバリエーションはスペース・グレーとソーラー・ゴールドの2種類です。またこのカラーや質感がたまらないんですが、先に構造を見ていきましょう。
Zeppelin Pro Editionのユニットは、25mmのチタニウム製ドームツィーターが2基、90mmのミッドレンジコーンが2基、150mmのサブウーファーが1基という構成です。ユニット構成をみると、優れた音質の秘密に少しだけ近づけます。
量感のあるどっしりとした低域は、中央に設置された大型のサブウーファーによるものだと納得できますし、両端のチタニウム製ドームツィーターが、他の低域に邪魔されないクリアな高域を表現しているのだと想像できます。
ミッドレンジのコーンはというと、FST(Fixed Suspension Transducer)と呼ばれる同社独自の技術で固定されています。どういうものかというと、振動板の外周をロールエッジなどで固定させずに浮かせ、発泡素材で支える構造です。こうすることで、入力信号の変化への追従性が高くなり(エッジが振動板に対するブレーキにならず)、ソースの再現性が高くなるという仕組みです。
ここまで読んでくれた皆さん、気づきましたか? Zeppelin Pro Editionの特徴的な形状には、必然性があるんですね。外側にいくにつれて、ドライバーのサイズが小さくなっていくわけです。外観デザイン優先で変わった形をしているわけじゃなく、機能を反映した結果のフォルムなのです。
音質と構造、形状をチェックしたところで、Zeppelin Pro Editionの洗練された質感を見ていきましょう。
ガジェット好きが嵩じると、必ず質感とか細部の仕上がりに目が向くようになると思うんですよね。数値的なスペックって、その数値を実現できるパーツやユニットを搭載すれば実現できてしまいますが、製品が持っているパッと見た瞬間のたたずまいとか雰囲気って、狙っても正確に再現するのが難しいと思うんです。
Zeppelin Pro Editionは一見して「すごく変わった形だな」という印象を持つ人が多いかもしれませんが、それと同等に優れた質感にも気付かされます。具体的には、メッシュ部分のキメの細かさとか、エンクロージャーのマットな質感、正面から見た際のスタンドやロゴのバランス、位置関係などですね。
デザイン的に継ぎ目が少ないので、質感の良さやフォルムの完成度に自然と意識がいくんですよね。前の節で音質とユニット構成の関係性に触れましたが、フォルムと質感も同様で、このフォルムをかっこよく引き立たせる部材を採用し、この部材が最も映えるフォルムを追求していると思います。
一見すると、ちょっとインテリア性が高すぎる気もしますが、実はそんなこともなくて、むしろ程よい異物感がさまざまな環境に馴染む気がします。買った日から、部屋を象徴する存在になってくれそうな、絶妙な存在感です。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう