シャープは、フラグシップ機「AQUOS R9 pro」、およびミドルクラス「AQUOS sense9」の2機種のAndroidスマートフォンを発表。それぞれ12月上旬と11月7日に発売する。本記事では発表会のデモの模様を中心にお届けしよう。
ウルトラハイエンド機をシャープも投入
ライカ監修のカメラが大きく進化の「AQUOS R9 pro」
SIMフリー機で19万円台前半と、各社の看板モデルと張り合う位置付けにある“ウルトラハイエンド”モデルのAQUOS R9 pro。AQUOS R6/R7/R8 proと3世代続いてきたライカ監修&1型の大型センサー(R9 proは1/0.98型)を搭載している点が最大の特長となる。
ただ、これまでの3モデルは19mm相当の標準レンズ1つで、広角~望遠までの画角をまかなっていたのに対し、今回は23mm相当の標準レンズ(これが1/0.98型センサー)、13mm相当の超広角レンズ、65mm相当の望遠レンズという、より一般的な3眼構成を採用。しかも3つとも画素数は5030万画素だ。標準的な画角での撮影で、1型センサーを最大限活用できるため、写真の精細さでは確実に従来モデルの一歩上を行くという。
望遠カメラはライカ推薦の65mm相当の画角を採用
ちなみに65mm相当の望遠レンズは、この画角の採用でライカからの強い推薦があったとのこと(65mm相当は人の目が自然に見る視野とほぼ同じだとか)。ペリスコ型の望遠カメラなので他社の例を見てもさらに倍率を上げることは可能だったはずだが、こうした画角の選択にもこだわりが感じられる。
なお、望遠レンズもセンサーサイズは1/1.56型と比較的大きく、夜間での撮影にも強味を発揮。デジタルズームとの併用では最大20倍まで可能。超広角カメラについては、最短約2.5cmまでに近づいてのマクロ撮影にも対応している。
この3つのレンズで構成されているカメラシステムに対して、ライカの「VARIO-SUMMICRON」という名称が用いられている。
本体側面のシャッターキーはデジカメ用のパーツを流用
半押しのしやすさは確かに格別
写真撮影においては、その操作性も強化された。特に本体側面に用意されたシャッターキー。ボタンの内部パーツにはデジカメ用のものが用いられており、実際に自然な半押しができる(半押し時はもちろんフォーカス固定)。長押しでは、カメラ機能の起動も可能だ。なお、ボリュームキーでのズーム倍率変更、明るさ調整にも対応している。
別途のアタッチメントの購入で、レンズフィルターを装着できるのは従来モデルと同様。新たな純正オプションでは、ショルダーストラップ対応ケースも登場。スマートフォンとしてのスタイルを維持しつつ、撮影のしやすさにこだわっている。
コストや省電力性能のバランスを取ったSoCの選択
指紋センサーはR8 proと同様の画面内の超音波式
続いてはスマートフォンとしての基本機能。まず、SoCにはSnapdragon 8s Gen 3を採用。最上位の8 Gen 3を選ばなかった理由としては、本当に最高クロックで動作する時間がどの程度あるかという点に加え、コスト面や省電力性能でのアドバンテージ、それでいて画像処理プロセッサ(ISP)では8 Gen 3と同等であることから、カメラ重視のAQUOS R9 proではメリットが大きいという判断からとする。
一方で放熱面では、しっかりと金属製のカメラリングに加え、ベイパーチャンバーによる背面全体での放熱によって、高負荷が続く動画撮影などで強味を発揮する。
また、サウンド面でもさらに力が入れられており、フルメタルのBOXスピーカーが奏でる低重音は、R8 proとの比較で約3倍とパワフルさと音質に自信ありのようだ。
そのほかの主なスペックは、6.7型 Pro IGZO OLED(1440×3120、240Hz対応)、12GBメモリー、512GBストレージ、5000mAhバッテリー、Android 14など。指紋センサーはR8 proと同じく画面内の超音波式指紋認証なのはうれしい点(マスク対応の顔認証も)。
冒頭にも記したように、他社フラグシップモデルと全面的に対抗できる内容を持った1台であることは間違いない。
「AQUOS sense9」の持ちやすくて軽量な筐体は従来同様
ディスプレーはPro IGZO OLEDで1~120Hzの可変駆動対応
一方、ミドルクラスの定番モデル「AQUOS sense9」は、比較的コンパクトで軽さを売りにしている点はキープコンセプト。それでいて、デザインを一新し、明るく華やかな外観になって、さらに人気が高まりそうな製品だ。
まず紹介したいのがディスプレー。前モデルのAQUOS sense8でも90Hz対応のIGZO OLEDが採用されていたが、今回は1~120Hzの可変駆動に、黒挿入による240Hz駆動にも対応した「Pro IGZO OLED」を採用。画面輝度も最大400ニトから1500ニトになり、直射日光下での見やすさがアップした。サイズ自体は6.1型と同じだが、縦横比は20:9から19.5:9になり、全体的にやや横長なスタイルへと変更された。
カメラについては、従来同様の5030万画素の1/1.55型センサーを搭載。光学式手ぶれ補正と比較的大型のセンサーの組み合わせで、ミドルクラスにも関わらず、シーンを選ばずにブレない写真を撮影可能。一方で広角カメラは5030万画素に進化(従来は800万画素)。この広角カメラでは約2.5cmの接写に対応したマクロ撮影が可能になった。
外観からわからない変更点では、ついにスピーカーがステレオに。また、従来機では震え方が大きいと不評だった着信時のバイブレーションや入力時のフィードバックが上位機同様になり、快適なものに進化している。
純正ケースと組み合わせたコーディネートも可
華やか、かつ明るく楽しげになった新デザインが魅力的
しかし、最大の変化はデザインであることは間違いないだろう。全6色あるカラバリは、標準的なホワイトとブラック、カメラ部と背面とでトーンを合わせたコーラルとグリーン、そしてブルーとグレージュは洋服のコーディネートのようにあえて色を変えることでアクセントを付けている。
この6色に加えて、本体色に合わせた6色の純正カバーを用意。ケースと本体色で同じ色を使うパターンだけでなく、異なる組み合わせで最大36とおりの楽しみ方ができるという点もアピールされた。
今春に登場した程よいハイエンド機「AQUOS R9」、初心者が多いエントリー機だからこそ大画面を採用した「AQUOS wish4」と合わせて4モデル構成になったAQUOSスマートフォン。それぞれに狙いがハッキリしているラインアップと言える。
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