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マルチディスプレー対応に

縦三画面で立体フィギュアを凝視したい、可能性広がるソニーの空間再現ディスプレイ

2024年10月29日 15時30分更新

 複数枚のディスプレーで実現する圧倒的な迫力。

 ソニーは10月29日、空間再現ディスプレイの機能を強化。マルチディスプレーによる迫力ある映像再現が可能となりました。

平面の背景の上に、大きく浮かび上がる。※例によって写真ではその迫力や臨場感をお伝えできないのが残念。

 空間再現ディスプレイは、内蔵のカメラ(視線認識センサー)で画面の前にいる人の視線を認識し、その視差に合わせた画像を左目用、右目用に生成。これをパネルの表面に置かれたマイクロオプティカルレンズを通して表示することで、左目の映像は左目だけ、右目の映像は右目だけに届けられます。これにより、見る人に最適化された、非常にリアルな3D映像の再現ができる仕組みです。

 もともとは、3Dモデルを扱うCADやCGクリエイターが、さまざまな向きでモデルを確認しながら制作を進めるなど、クリエイティブ用途を中心に展開してきました。最近ではこれに加えて、博物館やショールームの展示で採用されるケースが増えているそうです。

 アップデートでは、広告やインフォメーション用のサイネージや、実物のイメージを的確に伝えて、購入する商品のイメージと齟齬が生まれないようにできる販売端末などへの応用も想定しているそうです。

大画面で見る3Dはやっぱり大迫力

 ソニーによると、こうしたB2B事例は増加傾向にあるそうです。

 三菱重工が大規模展示会CCUSに出展した際に、大型模型の代わりに3Dモデルを活用したり、HIKKYのメタバースイベント「VketReal2024 Summer」において、バーチャル空間とリアルをつなぐ窓として本ディスプレーを活用、手で思わず触りたくなるような3D商品を展示したりと、接客・広告での応用も広がっています。

 3DモデルはもともとCADなどで作られていることが多いため、転用がしやすく、また物理的なものとは異なり同じ場所に何種類もの展示物を出せるというのもメリットと言えそうです。

 ほかにもアシックスがシューズの3Dモデルの表示に活用したり、国立西洋美術館がレーザースキャナーでキャプチャーした歴史的建築物を高精細に再現したりなど、応用例は増え続けています。

 空間再現ディスプレイはもともと15.6型モデルからの展開でしたが、2023年には27インチの大画面モデルが投入されています。

マルチディスプレーで広がる新しいリアリティ

 さらに、新しい開発キット(SDK 2.4.0)では、複数の空間ディスプレーを組み合わせたマルチディスプレーの設定も可能になりました。

 画面数は縦に配置した場合で最大4台、横では最大3台。また2×2のグリッド表示にすると、55インチ相当(実寸1245×839cm)の大画面も実現可能です。垂直に並べての表示自体は、3月時点で可能となっていましたが、サイネージとしての活用幅が大きく広がることは間違い無いでしょう。

四画面表示しているところ。全体に大きく映すことも、それぞれの画面に別々のものを映すことも可能だ。

 大画面ディスプレーをサイネージとして広告などに利用するメリットは、センサーを活用して、画面を見ている人の数や実際に見られた時間を知ることができる点、つまり定量的な効果測定や表示内容を改善する手がかりを得やすい点が挙げられます。こうした視聴者ログ機能も強化ポイントの一つです。

展示会などでは、このように横に広げて表示するパターンも良さそう。なお、画面の数に関しては、センサーが視線を捉えられる角度なども関係しているそうだ。

 開発環境としても、Unreal EngineやUnityの新バージョンに対応しているほか、Open XRの対応範囲も広げています。ソニーとしては、3Dモデルの背景に2Dコンテンツを表示することで、より立体的に物体が浮かび上がる感覚が得られるようにする(3D on 2Dコンテンツ)など、コンテンツ制作面でのサポートも実施していくそうです。

 マルチディスプレーが認識するのは1名ずつとのことですが、限られたスペースに複数の展示を切り替えながら見せられる点、物理的な模型を作るよりも圧倒的にコストを抑えて展示ができる点など実用上のメリットがありいます。縦に3枚を重ねレバ、等身大に近い見た目のキャラクターが自分の目の前だけに浮き上がって見えるようになります。没入感あるエンタメコンテンツの実演なども面白そうです。

 マルチディスプレーによる空間再現ディスプレーの広がりには期待したいところです。

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