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Core Ultra 200Sシリーズのパフォーマンスを検証

Core Ultra 9 285K/Core Ultra 7 265K/Core Ultra 5 245K速報レビュー!第14世代&Ryzen 9000との比較で実力を見る

2024年10月25日 00時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

AI処理のパフォーマンスはどうか?

 ここより先はAI系の処理での検証となる。まずはPhotoshopに実装されている画像生成機能を利用する。5400×7200ドット(300dpi)のキャンバス一杯に次のようなプロンプトで画像を生成させた際の時間を計測した。

Cat with sunglasses, Cyberpunk, Photorealistic

Photoshop:画像生成時間(3回の平均値)

 画像生成時間はブレがあるため、CPUのスペックと処理時間がところどころ逆転している部分もあるが、Core Ultra 200Sシリーズの上位2モデルは前世代やRyzen 9000シリーズ等よりも短時間で画像を生成できているようだ。

 次はUL ProcyonでAIによる推論処理速度(回数)を比較する“AI Computer Vision Benchmark”を使ってみよう。MobileNetやInception、Real-ESRGANといった画像処理系の処理が中心となる。ここで推論エンジンはCPU、精度はFP32を指定。APIはWindows MLを選択した。

UL Procyon:AI Computer Vision Benchmarkのスコアー

UL Procyon:AI Computer Vision Benchmarkのテスト別スコアーその1

UL Procyon:AI Computer Vision Benchmarkのテスト別スコアーその2

 まず総合スコアーでは、Core Ultra 200Sシリーズは前世代を上回る傾向を見せているが、Ryzen 9 9950Xには負けている。テスト別スコアーを見ると1CCD構成のRyzen 7 9700XがMobileNet V3では圧倒的に強く、DeepLab v3やYOLO V3ではRyzen 9 9950Xが強いといった棲み分けが起きている。Core Ultra 200Sシリーズは強いていえばYOLO V3とReal-ESRGANにおいて好成績をあげているが、尖った感じはしない。CINEBENCH 2024で受けた衝撃がだいぶトーンダウンしてきた感がある。

 最後に「LM Studio」を利用して文章の生成スピードを比較してみよう。学習モデルは「Meta Llama 3.1 8B Instruct」を利用するが、GPU Offloadを0に設定することでCPUコアのみを使用して文章生成を行う。プロンプトを入力し1秒あたりのトークン生成量を比較した。生成された文章の内容・正確さは評価せず、トークンの生成速度だけを比較する。

 ある男性3人がホテルに泊まることになった。宿泊料は1人10ドル。男性客たちは合計30ドルを受付係に払った。しかし実際の宿泊料は3人で25ドルであったため、5ドルを返金しなければならないと気がついた。しかし受付係は「5ドルは3人で割り切れない」と考え、2ドルを自分のポケットにしまい残りの3ドルを客たちに返した。ここで男性客たちは1人9ドルで合計27ドル支払ったことになる。そこに受付係がポケットにしまった2ドルを足すと29ドルになり、最初に支払った30ドルにはならない。残りの1ドルはどこに消えたのか? 解説してください。

LM Studio:トークンの生成スピード(3回の平均値)

 少し前の0.3.2ではRyzen 9 9950XとRyzen 7 9700Xの間に差はほとんどなかったが、検証で利用した0.3.5ではCPUの並列度の差がスコアーに反映されやすくなった。だがCore Ultra 200Sシリーズは論理コア数が従来CPUより少なくても、高いスループットを発揮している。これは評価すべきポイントだろう。

ゲームのパフォーマンス検証は後編にて

 以上で前編は終了だ。CINEBENCH 2024で高いマルチスレッド性能を発揮し、消費電力も下がった点は大いに評価できるが、やはりSMT削除によって前世代を超えられない弱点がそこかしこにあることが確認できた。

 次回はゲームでの検証を試みるとしよう。

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