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Core Ultra 200Sシリーズのパフォーマンスを検証

Core Ultra 9 285K/Core Ultra 7 265K/Core Ultra 5 245K速報レビュー!第14世代&Ryzen 9000との比較で実力を見る

2024年10月25日 00時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

Core Ultra 200Sシリーズのポイント

 すでに概要(https://ascii.jp/elem/000/004/227/4227230/)やアーキテクチャー解説(https://ascii.jp/elem/000/004/227/4227331/)は掲載されているので、本稿では簡潔にまとめるにとどめる。スペック的に最も重要なのは、PコアからSMT(Hyper-Threading)が排除され、物理コア数=論理コア数となったことと、Pコアのブーストクロックは前世代よりも下がっているが、Eコアのブーストクロックは上がっているという点だ。特にSMT廃止によってマルチスレッド性能が下がってしまうことは避けられないが、それを新しいPコア設計(Lion Cove)でどこまでカバーできるかに注目したい。

Core Ultra 200Sシリーズと、その近傍の製品との比較

「CPU-Z」を利用して取得したCore Ultra 9 285Kの情報

Core Ultra 7 265Kの情報

Core Ultra 5 245Kの情報

①クーラーはLGA1700用が使えるが、マザーボードはLGA1851が必須
 裏面写真(前掲)でもわかる通り、Core Ultra 200Sシリーズはソケットのフットプリントは同じだが、電力の実装密度を上げているため、既存のLGA1700マザーボードは使用できない。ただCPUの高さやソケット周囲のマウント穴位置はLGA1700から変えていないため、CPUクーラーはLGA1700用がそのまま利用できる

②メモリーはDDR5のみ。定格最大クロックはDDR5-6400へ。CUDIMMも新たにサポート
 第12~14世代までのCoreプロセッサーは安価なDDR4も利用できる(要DDR4対応マザーボード)が、Core Ultra 200SシリーズではDDR5のみの対応となる。定格最大クロックはDDR5-6400に引き上げられたが、インテル的にはDDR5-6400動作を公式サポートするのは新しい「CUDIMM(Clocked Unbuffered DIMM」であり、従来のUDIMM(Unbuffered DIMM)ではDDR5-5600までの対応となる。

レビュアーズガイドより引用。UDIMM2枚挿しだとDDR5-5600までだが、CUDIMMを2枚挿しなら6400まで公式サポートとなる。また、CUDIMM4枚だとDDR5-5600までになる

 CUDIMMはモジュール上にクロックドライバーチップ(CKD)を追加したUDIMMであり、普通のUDIMMと形状もピン配列も互換性がある。ただDDR5-6400のような高クロック動作では、信号をCKDで一度キレイにすることでより安定性を高めることができる。

 とはいえCUDIMMは必須ではなく、従来のUDIMMでメモリーモジュールとマザーボードの設計が十分高品質であれば、UDIMMでXMPを有効化するだけでDDR5-6400以上(モジュールのスペックによる)のクロックで普通に動作する(本稿においても普通のUDIMMで検証している)。確実な動作を狙うのであればマザーボードとメモリーは同時購入、さらに相性保証も可能な限り利用したい。

 また、インテルによればDDR5-6400動作はGear 2モードがデフォルトになるという。つまりメモリーコントローラーがメモリークロックの半分のクロックで動作するのがデフォルトらしいが、今回の検証環境ではXMPでDDR5-6400を選択することでGear 1動作が確認できた。ただ、どんな環境でもそうなるとは言い切れないため、あくまで筆者の環境では、という話にとどめておきたい。

レビュアーズガイドには、DDR5-6400動作時はGear 2がデフォルトになるとある。また、メモリーのスイートスポットはDDR5-8000であること、DDR5-8500になるとGear 4モードが必要になるだろうとも記されている

今回の検証環境では、普通のDDR5-6400モジュールをXMPでDDR5-6400として動かしたところ、Gear 1モードで動作した。この表示が誤認識でないと良いのだが……

③Performance Profileがデフォルトに
 第13・14世代のCoreプロセッサーにおいて発生した不具合問題の原因の1つに、電力制限をかけない運用をインテルが黙認していたことが挙げられる。K付きCPUとZ系マザーボードを組み合わせると、多くの場合においてPL1/PL2が事実上無制限に設定されていたのだ。不具合問題の認知以降、インテルは電力制限を強くかけた“Baseline Profile”や、ややパフォーマンス側に振った“Performance (Power) Profile”を推奨するようになった。

 Core Ultra 200Sシリーズに対応するZ890マザーボードにおいても、BIOS設定はPerformance Profileがデフォルトとなった。これは以下のような設定である。インテルの資料ではPL1/PL2のみが指定されており、ICCmaxについては言及がないが、今回試したASUS製マザーボード「ROG MAXIMUS Z890 EXTREME」では、ICCmaxは347Aに設定されていた。まだZ890マザーボードに対する十分な知見がない状態でこれを書いているが、このICCmaxはマザーボードの味付けにより変わる可能性がある。

インテル推奨のPerformance Power Profile
PL1 PL2
Core Ultra 9 285K 250W 250W
Core Ultra 7 265K 250W 250W
Core Ultra 5 245K 159W 159W

BIOSのデフォルト設定:ASUS「ROG MAXIMUS Z890 EXTREME」「ROG MAXIMUS Z890 HERO」では、Performance Profileがデフォルト設定となっていた

Performance Profileのメニューを開こうとすると、以下のような警告文が出る。OCすると安定性が損なわれるかもよ、という意味の文言が含まれている

④PコアとEコアの並び
 第12~14世代までのCoreプロセッサーでは、論理コアに番号を割り振るにあたり、まずコア0からPコア、その後にEコアが来るような割り振りをしていた。だがCore Ultra 200Sシリーズでは、PコアとEコアが混ざるような割り振りになっている。CPU-Zでは従来通りPコアが先に列挙されるが「HWiNFO」では次のような順になる。

Core Ultra 9 285Kのコアオーダー:「Pコア2基+Eコア8基+Pコア2基」というパターンが2回繰り返される

Core Ultra 7 265Kのコアオーダー:前半部分は「Pコア2基+Eコア4基+Pコア2基」、後半は「Pコア2基+Eコア8基+Pコア2基」という序列になっている

Core Ultra 5 245Kのコアオーダー:「Pコア2基+Eコア8基+Pコア4基」という序列

 この変則的な割り振りはコア間レイテンシーを短くするためとされている。コンピュートタイル上のレイアウトがそのままコア番号の割り振りに反映されているのだ。タスクマネージャー等でコアの利用状況を確認する際は、この順序を意識するとよいだろう。

インテルの発表資料にあるコンピュートタイルのレイアウト図を見ると、2基のPコアの後に4+4基のEコアクラスター、その後ろに2基のPコアというパターンになっている

タスクマネージャーでは左上から右へコア0/1/2/3……と進み、右下が最後のコアとなる。HWiNFO Proで負荷のかかっているコア(11と12)と、タスクマネージャーで負荷のかかっているコアの場所が一致していることに注目

⑤APO(DTT)はデフォルトで有効に
 第14世代でアナウンスされた「Intel APO(Application Optimization)」は、Z890マザーボードでは標準で有効となった。PコアとEコアの使い分けはCPUとOSの協調により自動化されているが、それでも使い分けが失敗するゲームに関してはAPOを通じてP/Eコアの割り当て優先度を変更する(この辺はRyzenのコア振り分け技術に近い)。

 ただ、今回の検証環境ではAPOはBIOSの仕様から有効化されておらず、その事を告知されないまま締め切りを迎えてしまった(安心しきっていた筆者も悪い)。予めお断りしておきたい。ちなみに今後のBIOS更新で対応予定とのことだ。

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