「ビッグテックからデータを取り戻す」をコンセプトとしたドイツのNextcloudが日本進出を強化すべく発表会を行なった(関連記事:“脱ビッグテック”の狼煙 OSSコラボレーション基盤「Nextcloud」が日本で本格展開)。グーグルやマイクロソフトが提供するようなコラボレーション基盤をオープンソースソフトウェア(OSS)の組み合わせで提供し、ユーザー企業が自らデータを管理・運用できるのが売り。日本でも明治大学や北海道大学などが数万ユーザー規模で利用しているという。
Nextcloudの地元ドイツがある欧州は個人データの管理が厳しい。2018年からGDPR(General Data Protection Regulation)によって個人データやプライバシー保護が厳格が規定されており、今年3月からはアップル、グーグル、メタ、アマゾン、マイクロソフト、バイトダンスの6社のビッグテックを規制するデジタル市場法もスタートしている。ビッグテックによるデータ取得への抵抗感も強く、以前取材した海外イベントでは、登壇した欧州の識者が「SNSアカウントを捨てよ」と話していて驚いたこともある。
ただ、ビッグテックと対抗できるハイレベルなサービスが作れるかというと、それはまた別の話だ。欧州でも対抗馬となるような有力なサービスはまだ少なく、デジタル市場法の有効性に疑問の声も出ている。日本でもデジタル赤字が話題に上がるようになり、ガバメントクラウドの領域で国産クラウドの重要性も議論されるようになったが、この状況は欧州と似ている。ただ、Nextcloudのような選択肢があるという点はもっと認知されるべきだと思う。
文:大谷イビサ
ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。
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