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「かまいたちの夜」の魅力をたっぷりと詰め込んだ贅沢な一本!

シリーズ30周年記念作『かまいたちの夜×3』プレイレビュー!極上のミステリーとホラーに、ちょっぴりのギャグも添えて……

極上のミステリーとホラーをちょっぴりのギャグも添えて!シリーズ30周年記念作『かまいたちの夜×3』をプレイレビュー

 「こんや、12じ、だれかがしぬ」

 このメッセージに聞き覚えのある人、もしくはトラウマを思い出した人は大勢いるのではないだろうか? これは、チュンソフト(現スパイク・チュンソフト)が製作した『かまいたちの夜』の有名なメッセージである。

 『かまいたちの夜』は、1994年に発売されたチュンソフト産のサウンドノベルゲーム。テキストベースで進行するゲーム性に加え、殺人事件の犯人を突き止めるミステリー要素、トラウマ必至のホラー要素、捧腹絶倒のギャグが本作の特徴だ。

 『かまいたちの夜 特別編』(1998年)を含む第1弾に続き、第2弾の『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄』(2002年)、第3弾にしてシリーズ完結編の『かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相』(2006年)が発売された。他プラットフォームの移植版や派生作も発売されるなど、「かまいたちの夜」は現在も根強い人気を誇っている。

 そんな「かまいたちの夜」シリーズは、今年で30周年を迎えた。本シリーズの生誕30周年を記念して、2024年9月19日より『かまいたちの夜×3(トリプル)』が販売中だ。対応プラットフォームは、Nintendo Switch、PlayStation 4、PC(Steam)。

 メーカーより本作のPC(Steam版)のコード提供を受けたので、そのプレイレビューをお届けしたい。

30周年を迎えたサウンドノベルの名作!
極上のミステリー3作品を一気に楽しめるのがイイ!

 『かまいたちの夜×3(トリプル)』は、2006年に発売された第3弾の移植版だ。オリジナルの第3弾と同様、本作には「ペンション“シュプール”編(第1弾)」「監獄島のわらべ唄編(第2弾)」「三日月島事件の真相編(第3弾)」の3本が収録されている。

 第1弾と第2弾はメインシナリオのみで、第3弾はメインシナリオと隠しシナリオを体験できる。3本のメインシナリオ+隠しシナリオ(第3弾のみ)が入っているため、“至れり尽くせり”という言葉が似合うだろう。

極上のミステリーとホラーをちょっぴりのギャグも添えて!シリーズ30周年記念作『かまいたちの夜×3』をプレイレビュー

『かまいたちの夜×3(トリプル)』は、2006年に発売された第3弾の移植版だ。第1弾の「ペンション“シュプール”編」、第2弾の「監獄島のわらべ唄編」、第3弾の「三日月島事件の真相編」が収録。なお、第1弾と第2弾はメインシナリオのみとなる

極上のミステリーとホラーをちょっぴりのギャグも添えて!シリーズ30周年記念作『かまいたちの夜×3』をプレイレビュー

第1弾の「ペンション“シュプール編”」。信州でスキーを満喫した主人公とガールフレンドは、人里離れた「ペンション・シュプール」に宿泊する。そこで凄惨な殺人事件が発生してしまい、登場人物たちと恐怖の一夜を過ごすことに。ミステリー作家・我孫子武丸先生が手がけたシナリオは、最高傑作の呼び声が高い

極上のミステリーとホラーをちょっぴりのギャグも添えて!シリーズ30周年記念作『かまいたちの夜×3』をプレイレビュー

第2弾の「監獄島のわらべ唄編」。第1弾『かまいたちの夜』のモデルになった人物たちは、作家・我孫子武丸の招待を受けて「三日月島」の館に宿泊することに。しかし、そこでわらべ唄に見立てた殺人事件が次々と発生して……。ビジュアルも演出も第1弾以上にパワーアップしているのが特徴

極上のミステリーとホラーをちょっぴりのギャグも添えて!シリーズ30周年記念作『かまいたちの夜×3』をプレイレビュー

第3弾の「三日月島の真相編」は、第1弾と第2弾の完結編だ。第2弾の惨劇から1年後、犯人に命を奪われた犠牲者を供養すべく、生き残ったメンバーたちは再び三日月島へ。複数の主人公を切り替えながらシナリオを進めるゲーム性は、本シリーズ初の試みとなる

 本作の主な特徴は、解像度が向上した背景や視認性が増した文字デザインの採用など。背景や文字などのビジュアルが現行機向けにアップグレードされたことで、新鮮味のある最新作として楽しめるようになっている。

 そのほかにも、懐かしのドット文字に変更できたり作中のBGMを試聴できたりと、ファン必見のおまけ要素もなかなかに魅力的だ。

極上のミステリーとホラーをちょっぴりのギャグも添えて!シリーズ30周年記念作『かまいたちの夜×3』をプレイレビュー

デフォルトの文字デザインだけでなく、オリジナル版を彷彿とさせるドット文字に変更可能

極上のミステリーとホラーをちょっぴりのギャグも添えて!シリーズ30周年記念作『かまいたちの夜×3』をプレイレビュー

作中のBGMを試聴できる「サウンドプレイヤー」もある

 「かまいたちの夜」三部作をひとつのソフトで楽しめるのは、ある意味「出血大サービス」と言ってもいいだろう。懐かしさと新しさのバランスがちょうど良く、古参プレイヤーも新規プレイヤーも満足できる内容に仕上がっていると感じた。

 個人的には第1弾と第2弾の隠しシナリオもプレイしたかったが、第3弾の移植版である以上、我慢するしかない。それでも各メインシナリオと第3弾の隠しシナリオのプレイ時間、ならびにトライ&エラーの時間を含めると、プレイボリュームは非常に高めだ。

 参考までに、筆者が3本のメインシナリオをクリアした時点で、プレイ時間は10時間以上に達していた。10時間以上も遊べると考えれば、本作は長く遊べること請け合いの一本と言えるだろう。

気分はミステリー小説の名探偵!
シナリオを読み解いて真相を突き止めろ

 「かまいたちの夜」シリーズの目的は、画面上に表示されるテキストを読み解き、真犯人とトリックを解明すること。殺人事件の真相を突き止めればトゥルーエンド(クリア)だが、真相を突き止められなかったらバッドエンド(ゲームオーバー)となる。

 本シリーズは、「選択肢を選んでトリックを証明する」「犯人の名前を入力する」といったミステリーゲームらしい遊びもある。文章をしっかり読み込んで自身の力で謎を解いてもらうゲーム性が本シリーズの醍醐味。ミステリー小説の名探偵になった気分で、本作の世界に没入できるはずだ。

極上のミステリーとホラーをちょっぴりのギャグも添えて!シリーズ30周年記念作『かまいたちの夜×3』をプレイレビュー

実写を取り込んだ画像とCGを融合させた背景、読めば読むほど引き込まれるテキスト、そして人物のシルエット。これぞ「かまいたちの夜」を象徴するゲーム画面だ

極上のミステリーとホラーをちょっぴりのギャグも添えて!シリーズ30周年記念作『かまいたちの夜×3』をプレイレビュー

進行中に発生する選択肢のイベント。メインストーリーの結末に関係するものもあれば、ストーリーの結末とまったく関係のないものもある

極上のミステリーとホラーをちょっぴりのギャグも添えて!シリーズ30周年記念作『かまいたちの夜×3』をプレイレビュー

推理パートに突入すると、犯人の名前を入力する画面が表示される(第2弾は登場人物を選ぶシステムを採用)

極上のミステリーとホラーをちょっぴりのギャグも添えて!シリーズ30周年記念作『かまいたちの夜×3』をプレイレビュー

画面に「終」と表示されたらバッドエンドとなる。つまり、ゲームオーバーだ。実はバッドエンドを収集するのもまた、「かまいたちの夜」独自の楽しみ方でもある

 これから本作をプレイする人に伝えておくと、初見での攻略ははっきり言って難しい。なぜなら、プレイヤーを誤解させるミスリードが非常に多いからだ。ミステリー作家・我孫子武丸先生が関わっているためか、ミスリードの誘い方が上手い。

 シナリオを進めると登場人物全員が怪しく見えてきて、次第に「Aが一番怪しいんだけど、Bも気になるんだよな……。でもCもなんか怪しいな」と自分の推理も怪しくなってくるのだ。殺人事件に巻き込まれた登場人物たちと同様、プレイヤーも疑心暗鬼に陥ってしまう。

極上のミステリーとホラーをちょっぴりのギャグも添えて!シリーズ30周年記念作『かまいたちの夜×3』をプレイレビュー

本作はミスリードの宝庫なので、犯人捜しに相当苦労した覚えがある。主人公の助手というべきガールフレンドですら、意味深なことを言う始末。それはヒントなのか、それともミスリードなのか……

 しかしミスリードという罠をかいくぐって、自力で犯人を突き止めたときの達成感は格別以外の何物でもない。

 「あーでもない、こーでもない」と試行錯誤したあとに自身の推理を披露し、犯人を屈服させる。推理が見事当たった瞬間、言葉では言い表せないほどの快感が得られるのだ。「名探偵になってみたい」と思っているミステリーファンにとって、本シリーズはまさに理想のゲームと言えるだろう。

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