少し前だが、「冷蔵庫を開けずに牛乳が腐っているかわかる技術」が発明されたそう(関連記事:傷んだ牛乳を開封せずに検知する、プリンテッドエレクトロニクスによるIoT技術 by fabcross for エンジニア)。簡単に言えば、牛乳パックや冷蔵庫に通信可能なセンサーを取り付けて、検知した賞味期限を通知する。薄くて曲げられるシート状の電子回路である「プリンテッドエレクトロニクス(印刷電子機器)」の可能性を示した1つの活用事例だ。
プリンテッドエレクトロニクスは、折りたたみ式スマートフォンのヒンジの部分に用いられているので、すっかりメジャーになった。今回カナダの大学の研究者たちが開発したのは、従来の1,000倍の電荷を蓄えられるプリンテッドエレクトロニクスの材料。確かにこれだけ蓄電できれば、能動的にセンシングや通信まで実現できるだろう。
IoT(Internet of Things)という言葉はすっかりメジャーになったが、個人的にはモノ同士がつながる世界は正直ほど遠いと思っている。クラウドとAIですっかり頭でっかちになっているが、電力やコストの問題でデバイスは全然つながっていない。しかし、今回の事例のようにIoTの未来を確実に近づける技術が、デバイス側でも確実に進化している。日本のものづくり分野でも、ユニークなデバイスと事例がどんどん増えるといいなと思っている。
文:大谷イビサ
ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。
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