JN-IPS315UHDR-C90W-HSPをレビュー
最大90WのUSB Type-C給電にKVM、昇降式スタンドも備える31.5型4K液晶が約6万円ってマジか!?
JAPANNEXTの「JN-IPS315UHDR-C90W-HSP」は、4K解像度(3840×2160ドット)のIPSパネルを採用する31.5型液晶ディスプレーだ。多機能なモデルだが、その特徴の1つに最大90Wの「USB Power Delivery」(USB PD)給電がある。
これだけの大出力で給電できるディスプレーは同社の製品でも珍しい。スマートフォンはもちろん、近年のモバイルノートPCなら余裕で充電できるだろう。また、本機はKVMスイッチ機能をサポートすることもあって、マルチデバイスでヘビーに使いたいユーザー向けの製品と言える。
さらに、位置を自由に調節できる昇降式多機能スタンドも備え、直販価格は5万9980円。同条件の他社製品と比べると、驚くべき安さである。こう聞くといいことばかりの製品に思えるが、弱点はないのだろうか? JAPANNEXTからお借りしたサンプルをもとにチェックしていく。
USB Type-Cケーブル1本で最大90WのUSB給電と映像出力
製品の詳細を語る前に、USB PDという規格について簡単に解説しておこう。前提として、従来の一般的なUSBポートの電力供給能力は、USB 2.0が2.5W、USB 3.0が4.5Wと、いずれもかなり低め。これでもスマートフォンの充電などは可能なわけだが、急速充電やノートPCへの給電など、10Wを余裕で超えてくるような電力要求には応えられない。
そうした課題を解決するための給電規格はいくつかあるのだが、USB Type-C端子が対応した給電規格の1つがUSB PDだ。USB関連の規格団体であるUSB Implementers Forum(USB-IF)が策定した国際標準規格ということもあって、現在では非常にメジャーな給電規格と言える。
規格 | 供給可能な最大電力(電圧/電流) |
---|---|
USB 2.0 | 2.5W(5V/500mA) |
USB 3.0 | 4.5W(5V/900mA) |
USB PD | 100W(20V/5A) |
USB PD EPR | 240W(48V/5A) |
大きなメリットは、やはり従来のUSBポートをはるかに上回る大電力を供給できる点だろう。現在の最新規格であるUSB PD EPR(Extended Power Range)では最大240Wと、驚くほどの電力を供給できる。ただし、これはあくまでも規格としての最大値で、すべてのUSB PD対応デバイスがこれほどの電力を供給できるわけではないことに注意が必要だ。
実際は、供給側のデバイスと電力を受け取るデバイスで対応する最大電力が異なる場合が多い。ひとくちにUSB PD対応と言っても、最大30W前後になる場合もあれば、最大60Wをサポートする場合もあるわけで、基本的には供給側と受け取る側のうち、低いほうに合わせる形になる。
先に述べた通り、JN-IPS315UHDR-C90W-HSPのUSB Type-Cは最大90Wの電力供給をサポートする。一般的なノートPCやMacBook Air(2022以降)などの急速充電が可能なレベルの電力であり、非常に汎用性が高い。幅広いデバイスを手早く充電できることから、ディスプレーにデバイスを複数台接続したいユーザーにはうってつけと言えるだろう。
実際にワットチェッカーを活用し、手元にあったUSB PD対応ノートPC(最大65W)を充電してみた。多少のぶれはあるものの、おおむね電圧20V・電流2.7A=56W前後で給電できており、ノートPCが問題なく充電されることを確認している。もちろん、USB Type-Cケーブル1本で映像もきちんと出力できていた。
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