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メッシュWi-Fiで日本参入のAmazon、eeroの創業CEOの熱意がすごい

2024年09月19日 06時00分更新

有償化せず、フリーで提供するカスタマーサポート

 一方、新しい技術にはトラブルがつきものだが、eeroはひとつコミットしていることがある。それはカスタマーサポートを有償化せずフリーで提供することだ。日本においてもそれは同様で、日本国内にセンターを置き、日本語でサポートが受けられる点にこだわっている。また、日本の市場は競争が厳しいと話す一方で、内部のヒートシンクやパッケージングに至るまで、製品のすべてにおいてこだわりが詰まっているのがeeroの製品であり、品質にこだわる日本の顧客のニーズにもマッチするはずだと説明していた。

 ちなみに、eeroのルーターでは一般的なルーターにあるように、SSIDごとに接続する周波数帯(2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯など)を指定できないが、これは簡便な設定という観点だけでなく、ローミングの性能を上げるという観点もある。つまり、通信する位置や機器に応じて最適な周波数帯は常に変化するため、一般的には干渉が少なく最も速いと言われる6GHz帯よりも、電波が回り込みやすい2.4GHzの方が良い場合もある。その度に都度都度バンドを切り替える(接続するSSIDを変える)のでは、ユーザー体験が悪くなってしまうためだ。

 一方で、特定の帯域でのみ接続したいと考えるシチュエーションとしては、トラブルシューティング(問題の切り分け)なども考えられる。ここはアプリ機能を利用することで、一時的に5GHzや6GHzを無効にして、2.4GHzだけで通信するといったことも可能になっている。こういった細かな問題を解決するためには、サポートが必要だ。早期に解決策を提示して、ユーザー体験を高めるという点はeeroが非常に重視しているポイントだという。

アンテナを内蔵したホワイトの筐体には、意外な秘密も

 外観についても面白い視点を聞けた。ひとつは白いカラーを採用している目的だ。白い壁や白木の家具が多いリビングにマッチしやすいというのは容易に想像がつく内容だが、実は白くすることで積極的に機器を見せる意識が生まれるため、結果として棚の奥に押し込んだり、ラックの影に隠したりといった通信の障害になるような置き方を防げるという利点もあるのだという。

eero 6+とeero Pro 6E

 eero 6+やeero Pro 6Eはスクエアなフットプリントで高さを抑えたコンパクトなサイズだが、Wi-Fi 7対応のeero Max 7はかなり大型になる。記者から「Wi-Fi 7対応のeero Max 7が一番いいと思うが、大きすぎるとも思う」という意見も出た。これに対して、ウィーバー氏は「サイズについては、何度議論したかわからない」とさまざまな検討を経た結果である点を強調し、製品の実現には2倍の電力が必要であり、カスタムのサーマルクーラーなどを備えるなどさまざまな工夫を取り入れたが、現状では限界があると説明していた。また、eero Max 7はシングルパックのみの提供だが、これは生産上の問題ではなく。早期の調査で1台あれば大部分の家庭に対応できると判断したためだという。

工夫が詰まっているという放熱部

 価格的にも10万円弱と高価にはなるが、先進的な通信環境を求める人の注目を集めそうだ。

3製品の特徴を比較

 なお、日本ではWi-Fiルーターを固定回線の事業者が貸し出している場合が多く、一度設置したら長年にわたって置き換えることがないという面もあるが、eeroとしては製品は一般的に3〜5年を過ぎたあたりから故障が出始めるため、その置き換えや上に述べたWi-Fi 7や10GbE通信など、テクノロジーの大きな転換点も存在するため、こういった機会を活用していきたいとした。

シームレスな接続には、自社製品同士の接続でなければならない

 最近では「Wi-Fi EasyMesh」のように、他社の製品と相互接続ができるメッシュWi-Fiルーターも登場してきているが、ウィーバー氏はその有用性については少し懐疑的な姿勢も示していた。理由は現状のEasyMeshは部分的な仕様に限定されており、本当の意味ではシームレスな体験が得られないためだという。

 動向は注視しているが、現時点では自社製品で完結した開発にメリットがあるとい見解のようだ。そのための検証にも力を入れており、サンフランシスコやアジアなど世界各国にある試験場では数千台の相互接続の検証をしたり、技術者の要望に沿ってフェラーリより高い検査機材を導入したりと技術改善に余念がないという。

 メッシュWi-Fiのプライオリティついては、まず高速化、次にカバレッジの広さがあり、その後ゲームなどで求められる低遅延化のニーズが生まれてきている。これらは地域によってニーズが変わる面があるため、日本でも現地に属した専任チームを置いているという。ゲーミング用途では、DNSクエリーなどの改善で低遅延化をはかっているほか、上述したEchoデバイスをエクステンダーとして活用することで、高額なアクセスポイント用のラジオ波を用いず、安価に到達距離を延長できる仕組みを取り入れている。

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