本日、国内市場に参入を果たした「eero」。その共同創業者でCEOのニック・ウィーバー氏が来日し、記者たちの質問に答えた。eeroの新製品については別記事も参照してほしい。
日本はテックの国、憧れの市場だった
会見の冒頭、「日本はテックの国、さまざまな機器がネットワークにつながっている」と日本市場への憧れを語ったウィーバー氏。10ギガビットの高速光インターネットが利用でき、最先端の技術が生まれる日本市場への参入は夢であったともコメントした。
eeroは2014年、小さなアパートで創業。3人の共同創業者、1人の従業員、そして1名のインターンがメンバーだった。
最初の製品は2016年に登場、その後2019年にはAmazonの傘下に入り、潤沢なリソースを活用して急速な成長を遂げた。グローバル展開やポートフォリオ(製品ラインアップ)の拡大を図っている。日本はアジア市場では初の地域だが、同時に創業後10年経ってようやく参入する最も遅い地域でもある。
「なぜ、いま日本に参入するのか?」という問いに対して、ウィーバー氏は「5年前に参入できていれば良かった」と話す一方で、物事には順序があり、アジアに参入するのであれば「Wi-Fi 7が登場した規格以降のタイミングで、最先端の新しい領域で戦いたい」と説明した。Wi-Fi 7に対応した「eero Max 7」は来月の発売。同時に日本は世界でも有数の高速ブロードバンド通信が利用できる地域であるとリスペクトを示し、この地域での成功に対して大きな期待を感じている様子も示していた。
メッシュWi-Fiの確固たる技術、そして使いやすいアプリ
eeroが得意とするのが、「TrueMeshテクノロジー」と称するメッシュWi-Fiの技術だ。複数のルーターとその機器がシームレスにつながって、ネットワーク内のデバイスが高速かつ低遅延、切断がなく最適な接続先を通じて通信できる。eeroの目的は高速で信頼性の高い通信を提供し、家庭におけるデジタル機器の体験すべてをあるべき姿にしていくことであり、クラウドを通じて全世界から集められた機器の情報を用いて、開発者がプライドを持って24時間休むことなく改良を続けているという。
利用のしやすさも特徴だ。専用のモバイルアプリを用意しており、機器の状態は東京からサンフランシスコのオフィスなど離れた場所でも把握できる。また、Amazonデバイスとの連携機能も持ち、アプリ上で対応するEchoスピーカーを接続すると、このスピーカーを経由してWi-Fiの到達範囲を延長することができる。このレンジエクステンダーの機能もなかなか面白い発想だ。
メッシュWi-Fiは、1台のWi-Fiルーターよりもカバーレンジが広い点(広い家のさまざまな場所でも品質の高い通信ができる点)が注目されがちだ。そのため、集合住宅や戸建でも木造の家が多い日本の家庭では米国ほどのニーズがないのではないかという疑問もあった。しかし、ウィーバー氏によると「米国でもテキサスのように土地の広い地域ではその通り」だが、「ニューヨークなど密集した都市部では日本と同じようなチャレンジが必要であり、そのための対策を続けてきた」と話す。
具体的にはクラウドコントローラーと通信して、常時通信状態を監視、適切な無線チャンネルを選択していく仕組みであったり、集合住宅などに住む隣人のネットワークと干渉がないことの確認などが挙げられるという。また、混雑した住環境では、それほど広くなくても2台のルーターが必要となる可能性があるという。2台セットのパッケージを用意しているのはそのためで、コンクリートやガラス、鉄、レンガなど、電波を阻害するさまざまな素材で仕切られ、電波が到達しにくい場所がある場合は、2スポットでカバーした方がよく、そのための接続性を担保できるという。実際、創業時のオフィスも通信には厳しい環境だったそうで、挑戦的であったとする。
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