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”猫撮影の基本”第4弾! 室内猫なら1/250~1/500秒、動く猫なら1/1000秒とシャッタースピードをコントロール

2024年09月11日 12時00分更新

噛む瞬間を1/1000秒で! 2024年1月 ソニー α9 III

 今年の4月にちょっとやった、猫撮影で学ぶカメラの基本シリーズの第4弾である。新製品も一段落したし、続きをやろうかな、と。今回は、シャッタースピードの話。

 じっとしてる猫を撮るときは、手ブレさえしなければシャッタースピードなんていくつでもいいわけですよ。これなんか、1/13秒。午後10時にたまたま出会った猫で、人に慣れてておとなしくじっとしててくれたので、シャッタースピードをぐっと落として撮れた。暗いので、目が真ん丸。

夜の散歩中に出会った猫。シャッタースピードは1/13秒。カメラの手ブレ補正が強力になってきたのがありがたい。2020年8月 オリンパス OM-D E-M1 Mark II

 昔はISO感度を上げるととたんに画質が落ちていたので、室内で撮るときなんかは、感度はあまり上げたくないけどシャッタースピードは落としたくない、というギリギリの線を狙ってたもんだ。

 でも、動いてる猫を撮るときはシャッタースピードを上げたい。シャッタースピードを上げておかないと、こんなことになる。極端な例だけど。

お、親猫と子猫2匹だ、と慌てて撮ったのだけど、感度をあまり上げたくないなと一瞬思ったせいで、1/13秒になって全部被写体ブレ。2018年12月 オリンパス OM-D E-M1 Mark II

 その点、ここ数年のデジカメの進歩はありがたい。高感度時の画質がよくなり、ISO感度を上げて撮っても、十分な画質を得られるようになった。昔の感覚だとISO1600くらいまでしか上げたくないなって思っちゃうけど、イマドキのミラーレス一眼ならISO12800まで上げてもイケちゃう感じなのだ。

 冒頭写真なんか、シャッタースピード1/1000秒で、ISO25600ですからね。それも、高感度にはあまり強くないといわれるソニーの「α9 III」だ。

 あれこれ猫を撮ってきた感覚でいうと、猫を撮るときのシャッタースピードは1/250秒から1/500秒くらいを基本にしてる。昼間の屋外なら気にしなくていいけど、夕刻や室内だとシャッタースピードが遅くなりがちなので注意だ。

1/500秒でキジトラ。左手で遊びながら撮ったので、夕刻だったけどシャッタースピードを速めに。2024年6月 富士フイルム X-T50

 素速く動いてる姿を撮りたいなら、1/1000秒まで上げちゃう。これは、うちのミル。こういう瞬間を撮りたいなら、シャッタースピードは速いほうがいい。

昼間とはいえ、室内で1/1000秒まで上げて撮った、うちのミル。爪がめちゃ伸びてて痛そう(このときは伸びてたのだ) 2024年6月 ニコン Z6III

 1/1000秒以上ならそれなりに動きを止められるので、飛んだり跳ねたり遊んだりしてる姿を撮るなら、それが目安だ。

晴れた屋外だったので、労せず1/1000秒で撮れた階段を駆け下りる猫。2024年1月 ソニー α9 III

 ただ、あえて1/250秒に抑えて「顔以外は動いてる」瞬間を撮ると、写真に動きが出せる。これは1/250秒。顎をぼりぼりと掻いてる後ろ足はブレてるので、動きが出てる。

後ろ足だけブレてるぶん、いい感じに動きが出てる。気持ちよさそうに顎を掻いております。2017年4月 パナソニック LUMIX DC-GH5

 シャッタースピード編の最後は、流し撮り。猫って歩くとき、意外と頭が上下に動かないので、うまくすれば流し撮りがハマるのだ。

 狙って撮ったわけじゃないけど……しゃがんで猫を撮ってたら歩き出したので、条件反射で流し撮りしたらハマった例。背景と足は横に動いてるのに、顔はしっかり見えてる。

夜の猫流し撮り。いい感じに撮れてるヤツが発掘されたので。シャッタースピードは1/25秒だ。2018年8月 オリンパス OM-D E-M1 Mark II

 「ここはこのシャッタースピードで行きたい」ととっさに設定を変えられるかどうかは、相手が猫だけに難しいところ。カメラが高感度に強くなり、猫AFのレベルがどんどん上がって、あとはシャッターを押すだけじゃんと思われがちだけど、シャッタースピードのコントロールはまだ人間の仕事だ。

 そのうちAIが進化して、猫の動きに応じてシャッタースピードも変えてくれる時代がくる気はしてるんだけれどもね。どこをカメラに任せて、どこを自分でコントロールするかは、その人が選べばいいのだ。

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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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