追加学習がなくても“そこそこ解ける”、それをビジネスにどうつなげるか
三菱電機の澤田氏は、「GPT-4以降のパラメーターが大きなモデルでは、インターネット上の情報はほとんど学習されている。そうなると、生成AIの民主化を進めるビッグベンダーの知識をいかにビジネスに使うかがチャレンジの焦点になる」と説明。その上で、「学習させなくても“そこそこ解ける”ことが今回の新しい発見だった」と澤田氏。
実際に、空調機の性能といった追加の学習をさせずに、いきなり推論させる“ゼロショット”で予測させた精度が今回の結果につながっている。当初は、“ファインチューニング”や“RAG”を用いて、知識を追加するプロセスに時間を費やすと予想していたが、松尾研究所のまずはそのままの汎用LLMで試してみようというアドバイスで最後まで走り切った。
一方で、生成AIは厳密解を求めることが苦手だったりと、決して万能ではない。それを考慮してテーマを選ぶことが、生成AIで価値を生み出す鍵だと言う。
松尾研究所の横山氏も、「教えなくてもそこそこ解けるということが改めて確認できた」とした上で、「最初のテーマ選定が非常に“重い”のが、日本全体の生成AI活用の足かせになっているが、完全にゼロから学習させる必要がないということは、検証や比較をするループの時間をぐっと短くできる」と語った。
最後に澤田氏は、「今年に入ってマルチモーダルなAIモデルが登場して、画像や音声、動画、今回の取り組みだとIoTのセンサー情報など、様々なデータを食わせるようになった。いかにマルチモーダルなデータを使ってビジネス価値を生み出すかが最前線のトレンド」と述べた。
横山氏は、「今回の取り組みで大きかったのは、空調制御というハードと生成AIをつなげることができたこと。ハードからIoTデバイスが情報を集めて、それを頭脳である生成AIが制御する。単なる業務効率化だけではなく、生成AIで製品そのものの性能が上がっていく未来が少しづつ近づいている」と今後の展望を述べた。
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