AMDの最新CPU「Ryzen 7 9700X」を搭載した、サイコムのゲーミングPC「G-Master Spear X670A」。同CPUはZen 5アーキテクチャーを採用し、TDPは65Wと前モデルの「Ryzen 7 7700X」(TDP 105W)から引き下げられてもなお、性能は向上しているのだから驚くしかない。
とはいえ、どこまで性能が出せるのかは、PCごとに事情が異なろ、可能な限り性能を引き出せる環境を用意するCPU単体のレビュー記事と、結果が大きく変わることも珍しくない。
そこで、前回の外観・内観チェックに引き続き、本稿ではG-Master Spear X670Aの試用機を用い、どのくらいの性能が発揮できるのか、定番ベンチマークソフトを使ってチェックしていく。
G-Master Spear X670A | ||
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標準構成の主なスペック | 試用機の主なスペック | |
CPU | AMD「Ryzen 7 9700X」(8コア/16スレッド、最大5.5GHz) | |
CPU クーラー |
Noctua「NH-U12S redux」(空冷、120mmファン、サイドフロー) | |
マザー ボード |
ASRock「X670E Steel Legend」(AMD X670E、ATX) | |
メモリー | 16GB×2、DDR5-5600<メジャーチップ・JEDEC準拠品> | |
ストレージ | Crucial「T500 CT1000T500SSD8」(1TB M.2 SSD、PCIe 4.0) | |
光学 ドライブ |
ASUS「DRW-24D5MT」 (DVDスーパーマルチ) |
なし |
ビデオ カード |
MSI「GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC」(GeForce RTX 4060、8GB GDDR6) | Manli「M-NRTX4070S/6RFHPPP-M2592」(GeForce RTX 4070 SUPER、12GB GDDR6X) |
電源 ユニット |
SilverStone「SST-DA750-G」(750W、80 PLUS GOLD) | |
PCケース | Cooler Master「MasterBox CM694 MCB-CM694-KN5N-S00」 (E-ATX、ミドルタワー) |
Cooler Master「MasterBox CM694 TG MCB-CM694-KG5N-S00」 (E-ATX、ミドルタワー) |
PCケース オプション |
なし | ARGB発光システム(LEDストリップ2本) |
OS | Microsoft「Windows 11 Home 64bit」 | |
直販価格 | 30万8360円~ | 36万6310円 |
なお、CPUクーラーは静音かつ高効率で冷やせる空冷モデル「NH-U12S redux」で、PCケースはメッシュを多用し、通気性を重視した「MasterBox CM694 TG」。どちらも空冷PCでは定番といえるほどの存在で、十分な実績があるPCパーツだ。
さらに、PCIe 4.0×4接続のNVMe SSDとして、Crucialの「T500」(1TBモデル)、メモリーはRyzen 7 9700Xがサポートする最大速度のDDR5-5600と、妥協のない構成になっている点も頼もしい。
高負荷時のCPU温度は最大でも約80度
まずはCPU性能を定番の「CINEBENCH」で試してみよう。CGレンダリング速度からCPU性能を測ってくれるベンチマークソフトだ。最新の「CINEBENCH 2024」だけではなく、1年以上前のPCと比較しやすいよう、「CINEBENCH R23」でもテストした。
テストは全コアを使う「Multi Core」と、1つだけ使う「Single Core」の2つ。テスト時間の設定はデフォルトのまま(10分以上の暖機運転を行った後にスコアーを表示するモード)だ。なお、CINEBENCH R23とCINEBENCH 2024のスコアーはどちらも「pts」という単位だが、テスト内容そのものが違うため、相互に比較することはできないので注意してほしい。
また、環境は異なるが、加藤勝明氏のレビュー記事の値を参考にさせてもらおう。この記事ではCPUクーラーに冷却性能が高い360mmラジエーターのNZXTの簡易水冷クーラー「Kraken Elite 360」が使われており、冷却性能による性能差があるのか、を見るのにちょうどいいからだ。
CINEBENCH 2024のスコアーを見てみると、参考記事の結果はMulti Coreで1127pts、Single Core で130pts。対して、G-Master Spear X670AはMulti Coreで1135pts、Single Coreで132ptsと、誤差の範囲とはいえ上回っていた。
空冷CPUクーラーのNH-U12S reduxで十分な冷却性能が得られている、と考えていいだろう。また、参考記事のRyzen 7 7700Xの結果はMulti Coreは1071pts、Single Coreが117ptsだった。つまり、Ryzen 7 9700XのほうがMulti Coreで約6%、Single Coreでは約13%も上回っており、世代間でしっかりと性能が向上していたことも確認できた。
なお、CINEBENCHのMulti Coreテストは全コアに負荷をかけるため、CPUの温度はかなり高くなる。モニタリングツール「HWiNFO64 Pro」を使ってCPUの温度と平均動作クロックを調べてみた。
CPU温度は開始直後一気に70度を超えたものの、その後はゆるやかな上昇に変化。瞬間最大でも80.1度、平均は75度前後で安定していた。また、動作クロックは時折のスパイクはあるが、ほとんどの時間は4.7~4.8GHzで安定。温度の影響による乱高下は見られない。
つまり、余裕がある安定動作と言っていい。近年のデスクトップPCでは、CPUの高性能化にともない、簡易水冷クーラーの必要性が上がってきたが、Ryzen 7 9700Xは安価な空冷クーラーで十分だ。TDP 65WのCPUはお財布に優しい存在と言える。
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