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画像生成AI企業を訴えたアーティスト集団の主張、米連邦地裁で一部認められる

2024年08月16日 17時30分更新

記事タイトルと本文を変更しました。不正確な表現をお詫びします。記事へのご指摘ありがとうございました。(2024年8月17日17時55分)

 米連邦地方裁判所にて、生成AIを用いた画像の著作権に関して、ある判断が8月12日(現地時間)に下された。今回が判断が出されたのは、生成AI画像で広く利用されている「Stable Diffusion」のStability AIやMidjouneyなど4社に対する、Karla Ortiz氏らアーティストによる集団訴訟。

 原告であるアーティストらは、「Stable Diffusion」の学習に自分たちの作品が「学習画像」として無断で使用されたと主張。「Stable Diffusion」が画像の生成に際して、学習画像の著作権で保護された要素を使用するため、これは著作権侵害にあたると主張している。

 また、これらの企業は、著作権侵害にあたる画像から学習したデータを用いた生成画像を喧伝することにより、自社製品をアピールし、不当利得を得ているとも主張。さらに、画像に埋め込まれた著作権管理情報(CMI)が、Stable Diffusionの学習プロセスで削除または改変されたとし、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)違反も訴えていた。

 一方、被告側の生成AI企業側は、学習画像の使用はフェアユースにあたり、原告の著作権侵害の主張を棄却するよう求めていた。

 Midjourneyに対しては、同社の画像生成AIが生成できる多様な描画スタイルを紹介するリストにアーティストの名前を無断で利用したことは虚偽表示と商標権の侵害にあたり、名前を挙げられたアーティストが、Midjourney製品を支持していると消費者が誤解する可能性があると主張。これに対しMidjourney側は、これらは合衆国憲法に定められた表現の自由の範疇であり、Midjourney製品に芸術的関連性を持たせるための使用であると主張している。

 2023年10月の審理では、原告側の訴えには多くの点で不備があるとして全面棄却されたが、それを受けて再度起こされた訴訟では、Stable Diffusionの学習プロセスと動作に関する詳細な説明を追加し、学習画像がどのようにStable Diffusion内に残り、使用されるのかを説明。また、Stable Diffusionのモデルが学習画像と非常によく似た、あるいは同一の画像を生成できることを示す、学術論文やStable DiffusionのCEOによる発言も証拠として提出した。

 その結果、Stable Diffusionの動作が必然的に著作権で保護された作品のコピーまたは構成要素を呼び起こすという原告の主張については、訴訟を進めるのに根拠があると認めた。

 しかしなお、今回の審理でも、2023年10月の前回の判断と同様に、原告の主張には多くの点で不備があると指摘。特に、DMCA違反(デジタルミレニアム著作権法違反)および不当利得に関する主張については、原告の訴えを退けた。

最終的に、
・DMCA違反の訴えについては棄却。
・不当利得の訴えについては棄却。ただし、原告は著作権法の範囲外となる主張を改めてできる。
・著作権侵害の訴えについては、今後の審理で争われることになった。

 今回の判決は、AIによる画像生成技術と著作権の保護をめぐる重要な争点を含んでおり、今後の司法判断が注目される。

 
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