解決のカギは親子の会話時間
中学生の親の4割は、我が子がオンラインでつながっている相手を把握できていない
我が子がオンラインで交流している相手、ご存知ですか?
夏休み、子どもがネットを利用する時間は長くなる傾向にある。保護者は、子どもがネットでつながっている相手をどのくらい把握しているだろうか。NTTドコモ モバイル社会研究所の「2023年親と子の調査」(2023年11月)を見てみよう。
スマホを所有している小中学生は、小学生低学年で18%、高学年が42%、中学生になると79%にも上る。
小学生ではスマホの所持率はまだ低いが、中学生になると跳ね上がる。それに伴って、SNSの利用も急増する。
筆者が講演先の学校で調べた範囲では、中学生ではLINEの利用率は95%前後、TikTok、Instagram、X(Twitter)はその半分弱くらいが利用している。オンラインゲームの利用率も高く、ゲームでの交流も増える。その結果、中学生になるとネット経由の友人がいる割合が高くなるのだ。
調査では、保護者が子どものネット利用実態についてどこまで把握しているか質問している。「利用しているサービス・アプリ」「オンラインでつながっている相手」「オンラインでの支払い・課金」について聞いたところ、小学生より中学生のほうが保護者が把握している割合は低い傾向にあった。
「オンラインでつながっている相手」については、特に把握していない割合が高く、中学生の保護者の4割が把握できていない。中学生はさまざまなサービスを利用しており、保護者も把握することが難しいのだ。
「親子での会話時間」が把握する鍵
オンラインでつながっている相手を把握している割合と、親子での普段の会話時間の長さについてクロス集計もしている。すると、親子の会話時間が長いと、オンラインでつながっている相手を把握している割合が高い傾向にあった。
普段の親子での会話のなかで、オンラインでつながっている相手についても話題にあがり、そのときに把握できている可能性が高いのだ。
未成年の場合、オンラインで知り合った相手に誘い出されて誘拐・性被害に遭ったり、裸の写真を騙して送らされる自画撮り被害に遭うことがある。
不審な相手とつながっていないか、直接会いに行こうとしていないか、保護者が把握しておくことで被害は防げる可能性が高まる。ぜひ、普段から親子の会話を大切にしていただければ幸いだ。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
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