Ryzen AI 300に搭載された「RDNA 3.5」「XDNA 2」がAI処理を高速化 AIが常時動く未来はそう遠くない! AMD Tech Dayレポート
動かなければ意味がない
Ryzen AI 300シリーズの肝は言うまでもなくXDNA 2ベースのNPUだ。しかし動かなくては意味がない。筆者はこれまでRyzen 8000GシリーズのNPUがなんとか使えないかトライしてみたが、マトモにNPUを使ってくれるアプリはなかった(8000Gシリーズ発売時の話なので今では違っているかもしれない)。唯一Ryzenを搭載したノートPCでWindows Studio Effect(Webカメラの背景をボカすやつ)がNPUを使うことを確認できただけだ。
まずはAMDが“こんなことができる(予定です)”というデモの紹介から始めたい。今回もStable Diffusionに関するデモや言及はたびたびあったが、筆者がおもしろいと感じたのはRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)のデモだ。
いわゆるAIが検索を手伝ってくれるというものだが、最初の状態では情報のインデックスが足らないため平気で嘘の情報が出る。ところがYouTubeのURLを教えると、その動画の内容を学習してインデックスを構築する。同じ質問をすれば学習を元に正しい答えを返すというものだ。
また、ノートPCの画面にスタイラスでざっくり描いた絵をAIがリファインする(image-to-image)デモも行なわれた。登壇者がノートPCの画面に描き、さあ……となったところで動作の模様がPowerPoint出る(つまり実際に手元の機材で動いていない)……という一幕もあった。
ただTech Day会場に設けられた展示スペースでは、NPUを使って画像生成が動いているマシンもあった。聞けばTech Dayの直前に仕上がったビルドを使っているのだという。
Ryzen AI 300シリーズは素晴らしいハードだが、まだ世の中がNPUを使った処理に適応してはいない。もちろん、RDNA 3.5の内蔵GPUを使って処理はできるので完全に失望させられるわけではないが、まだまだAMDはがんばる必要があるだろう。
最後に、Ryzen AI 300シリーズを搭載したPCも少し紹介しておきたい。
あとはベンチマーク祭りが待っている
以上でAMD Tech Dayのレポートは終了だ。技術的な視点ではXDNA 2の話は興味深く、Ryzen AIのNPUが(Windows Studio Effect以外で)ちゃんと動いているところを見られたのはなによりホッとした。AMDは2025年の第1四半期まで四半期ごとに「Ryzen AI Software」を強化していくとも言っていた。Ryzen AI 300シリーズを搭載したノートPCは遠からず店頭に並ぶはずだが、AI関連は気長に待つのが吉だろう。
だが我々自作マニアにとって気になるのは北米で7月31日発売となるRyzen 9000シリーズだ。Zen 5のClassic Complexだけで構成されたCPUが従来のRyzenに対しどの程度性能で上回るのか? 新しいCurve Shaperがどこまで使えるのか? 興味はつきない。国内販売日ならびに予想価格はまだ発表されていないが、こちらも気長に待ちたい。
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