週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

Ryzen AI 300に搭載された「RDNA 3.5」「XDNA 2」がAI処理を高速化 AIが常時動く未来はそう遠くない! AMD Tech Dayレポート

2024年07月18日 13時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

徹底的に効率化を目指したRDNA 3.5

 次にGPUコアであるRDNA 3.5に眼を向けてみよう。RDNA 3.5はRadeon RX 7000シリーズに採用されているRDNA 3をベースに電力効率を最大化するように手を加えたものである。

 RDNA 3.5の設計はAMDとサムスンのパートナーシップにより生まれたものである、というのがおもしろいところだ。RDNA 2のIPがスマートフォン向けSoC(Exynos 2200)にRDNA 2を最適化されていく過程で得られた知見がモバイル向けiGPUであるRDNA 3.5の設計に生かされている。結果としてテクスチャーエンジンとシェーダーエンジン、メモリー周りに大きく手が入った。

RDNA 3.5の設計はサムスンとのパートナーシップによる部分が大きい。そこで得られた知見をもとに電力効率を最大化したのがRDNA 3.5となる

 具体的にはテクスチャーサンプルユニットを倍に増やした。並列性を増すことでスループットを上げようという試みである。さらにピクセル補完と比較処理を行なう命令を強化し性能を2倍に引き上げた。

 また、メモリーも消費電力の少ないLPDDR5を採用したが、少しでもメモリーアクセスを減らすためにアクセス前にサブバッチを作成、情報の粒度を高めることでキャッシュに残ったデータがあるなら使い、本当に必要なデータだけメモリーから読み込むようになっている。

 どうしてもメモリーアクセスをしなければならない時のために、圧縮技術を改良しトラフィックを押さえる工夫も盛り込まれている。これらの改良の結果、消費されるエネルギーに対し2ケタパーセントの性能向上を達成したとAMDは謳っている。

テクスチャーサンプルとピクセル補完/比較の強化に絞ったのは、ゲームにおける処理で多用されるから、という理由らしい。そして電力を消費するメモリーアクセスを極力控えるような工夫も盛り込んだ

「3DMark」の“Time Spy”“Night Raid”のスコアーをRyzen AI 300シリーズとRyzen 8040シリーズで比較(TDPはどちらも15Wに設定)。より負荷の高いTime SpyにおいてRyzen AI 300シリーズは32%もスコアーを伸ばしている

Ryzen AI 300シリーズに搭載されたRadeon 890Mなら「Ghost of Tsushima DIRECTOR'S CUT」をフルHD&60fpsでプレイすることも可能。FSR 3などの助けは受けているものの、内蔵GPUでここまでできるのは正直すごい。FSR 3非対応なゲームにはAFMFという手も使える

Core Ultra 9 185H/ Snapdragon X Elite (X1E-84-100)/ Ryzen AI 9 HX 370の内蔵GPU性能をゲームで比較。Core Ultra 9 185Hを基準とした場合、Ryzen AI 9 HX 370は平均して30%以上高フレームレートが出せるという

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう