Ryzen AI 300に搭載された「RDNA 3.5」「XDNA 2」がAI処理を高速化 AIが常時動く未来はそう遠くない! AMD Tech Dayレポート
AMDは7月10~11日にかけ、北米ロサンゼルスにて「AMD Tech Day」を開催。そこでRyzen 9000シリーズの発売日やZen 5アーキテクチャーの解説などを報道関係者向けに行なった。しかし、Tech Dayのメインディッシュはデスクトップにあらず。同社の最新の知見や技術を詰め込んだSoC「Ryzen AI 300シリーズ」だった。
Tech Dayレポートの最終回となる本稿では、このRyzen AI 300シリーズにフォーカスを当てる。CPUはZen 5アーキテクチャー(正しくはZen 5とZen 5cの混成)、GPUは「RDNA 3.5」、NPUは「XDNA 2」と、AMDの技術の粋を結集した製品である。
Zen 5とZen 5cが混在するヘテロジニアスデザイン
Ryzen AI 300シリーズにおいても、CPUはZen 5アーキテクチャーが採用されているが、Ryzen 9000シリーズとは異なりZen 5とZen 5cが混在している“ヘテロジニアスデザイン”が採用されている。すでに発表済みのRyzen AI 300シリーズのスペックによれば、「Ryzen AI 9 HX 370」がZen 5×4基+Zen 5c×8基、「Ryzen AI 9 365」がZen 5×4基+Zen 5c×6基という構成となる。
このZen 5とZen 5cは最小単位が異なっており、Zen 5は最大4コアでひとかたまりの“Classic Complex”、Zen 5cは最大8コアで“Compact Complex”を構成する。Zen 5とZen 5cはV-F(電圧-クロック周波数)特性が異なるほか、L3キャッシュの構成も異なる。Zen 5は1コアあたり4MBなのに対しZen 5cは1コアあたり1MBと大幅に容量が減らされている。ここがCompact Complexと呼ばれる理由だ。Zen 5とZen 5cはデータファブリックで連結されている。
このようにRyzen AI 300シリーズのCPU部分はインテルが第12世代(Alder Lake)以降で採用したハイブリッドデザインを想起させるが、AMDとインテルはアプローチが異なる。インテルの場合PコアとEコアは同じx86-64だが異なるIPで設計されており、PコアとEコアで使える命令に違いがある(AVX512が好例)。
ところがAMDのZen 5とZen 5cは同じIPから派生したものであるため、プログラマーはコアの違いを考える必要がないし、ユーザーも使い分けを意識する必要はない(インテルのPコア/ Eコアもユーザー側が使い分けを意識する必要はないのだが……)。インテルがWindowsのスケジューラーとITD(Intel Thread Director)の活用についてマイクロソフトと緊密な連携をとったように、AMDも同様にマイクロソフトと連携し、ヘテロジニアスな構成時に陥りがちな落とし穴も避けることができたという(具体的にどんな穴か、までは言ってないが)。
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