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伝統のUHC-MOS Single Push-Pull Circuit、若手設計者の活躍にも期待

デノン、新しいハイエンドプリメインアンプ「PMA-3000NE」を発売、110周年モデルの先を目指す新機軸

2024年07月25日 11時00分更新

6層デジタル基板を採用、クロック精度も向上した

 デジタル回路や小信号回路を担当した福田祐樹氏はデジタル回路を中心に設計のポイントを解説した。デジタル信号処理は引き続き「Ultra AL32 Processing」に対応。オーバーサンプリングした1.536MHz fsのサイン波をDAC ICに入力する。オーバーサンプリングしても量子化ノイズの総量は変わらないが、そのノイズが広い周波数帯域に分散するので、雑音電力を-6dB/Hz、雑音電圧も-3dB/Hzに減らせる。

PMA-3000NEの解説記事

福田氏が手にしているのがデジタル回路の基板

PMA-3000NEの解説記事

Ultra AL32 Processing用の回路は別モジュールとしている

 DAC ICはESS Technologyの「ES9018K2M」を左右2基ずつ使用。ES9018K2Mは2ch出力のDACなので、片側4chの電流出力を加算して最終出力を2倍にできることになる。出力電流が4倍になる効果としてはS/N比の向上や聴感上のパワー感の改善が挙げられるという。

PMA-3000NEの解説記事

ES9018K2Mを4基搭載、コンデンサーの間に見える小さな部品だ

 高出力の電流を受け取るため、PMA-A110同様、フルディスクリートのI/V変換回路を使用している。DACマスタークロックデザインも継承。低位相雑音の水晶発信機を使用し、かつD/Aコンバーターの直近に置く構造だ。

 DMA-A110のデジタル基板は4層だったが、PMA-3000NEでは6層まで多層化。ワイヤー配線を用いず、基板上で信号の伝達が完結するので、ここもミニマムシグナルパスに貢献する。多層基板にする利点としては、もうひとつGNDの安定化がある。GNDの層は従来1層のみだったが、2層にして間に高速なデジタル信号を渡す仕組みにすると、GNDで囲んだ高周波シールドと同じ効果を得られる。SACDプレーヤーの「DCD-A110」と同じものにしている。PMA-A110では採用できなかった部品だが、敢えてコストを掛けて採用することにした。

 写真のようにAL32の回路を子基板に置いているのは、コロナ禍で生じた部品供給不足の経験から。基板の真下に部品を実装するスペースができるので、クロックバッファーICはそのスペースに置いているという。

PMA-3000NEの解説記事

クロックバッファーの解説図、場所的にはUltra AL32 Processing用モジュールの下側にくるそうだ

 ポストフィルターの定数もES9018K2Mに最適化している。DACから出力する信号を通すローパスフィルターの最適化、部品点数の削減などを通じて、帯域のカットオフが緩やかになり、波形の位相が崩れず、癖のない音になっているという。

 差動を合成する目的で置いているオーディオ用の高性能オペアンプも専用プレーヤーと同等の高性能なものとして、D/Aコンバーター機能としての性能と音質を追究した。

 ショートシグナル化の試みとしては部品点数を減らし、DAC回路をひとつの基板に集約。PMA-A110ではオペアンプの部分をケーブルで別基板に渡していたが、1枚に収めた。半導体部品の設計技術の向上によって小型化した部品も積極的に取り入れ、基板の実装面積を広げ、大き目の高音質コンデンサーなど音質向上に貢献するパーツを実装できるようにした。

 これらの施策を通じて、アンプ内蔵ではあるが、単体DACに匹敵するクオリティーを確保できたという。

 定格出力は80W+80W(8Ω)、160W+160W(4Ω)。入力端子はアナログ×3系統、PHONO入力(MM/MCカートリッジ対応)、EXT-PRE入力、USB(角型)、同軸デジタル、光デジタル、出力端子はアナログ1系統、ヘッドホン端子ほか。USB DAC機能は最大11.2 MHzのDSD、最大384 kHz/32bitのPCMに対応。本体サイズは幅434×奥行き443×高さ182mmで、重量は24.6kgだ。

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