本稿は7月10日から11日にかけ、AMDが開催した報道関係者やアナリスト向けのイベント「AMD Tech Day」で筆者が実際に見聞きしたことをまとめたものである。Tech Day全体としてはAMDの最新技術を結集した最新モバイル向けCPU「Ryzen AI 300シリーズ」推しだったが、Ryzen 9000シリーズにも言及はあった。
今回はTech Dayレポート2回目ということで、Ryzen 9000シリーズに追加された新オーバークロック(OC)機能「メモリーOC OTF」と「Curve Shaper」について見聞きした内容を解説するものである。
EXPOのプロファイルをその場で変更できる
Ryzen 9000シリーズの「定格」メモリーについては、前回解説した通りDDR5-5600に引き上げられ、より高クロックなメモリー設定にする際にはメモリーモジュールに記録されているEXPOないしXMPのプロファイルを利用することになる。
EXPOのプロファイルの方がよりRyzenに最適化させられるため、DDR5-8000のような超高クロック設定を狙うにはEXPOが推奨されるのはこれまでと変わらない。ただEXPOのプロファイルを使う・使わない(JEDECのプロファイルを使う)の切り替えにはBIOSに入って設定する必要があった。
Ryzen 9000シリーズに実装される「メモリーOC OTF(On-The-Fly)」では、Windows上で動作する「Ryzen Master」を利用し、マウスクリックだけでメモリーのプロファイル切り替えが可能になる。EXPOプロファイルがキツめと緩めのものを複数パターン持っているモジュールの場合も、Ryzen Master上から選択が可能だ。
メモリーOC OTFはとりあえず安定なJEDECのプロファイルで起動し、後からEXPOプロファイルに切り替えて高スコアーを狙う、といったシーンでの活用が期待できる。特にCPUをOCしており高クロックメモリー設定では起動が安定しない時に使えるかもしれない。
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