週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

「必要最低限」で十分だったBABYJOBにとって、kintoneは大きな武器

ベンチャー気質のプロジェクトにkintoneのスピード感と柔軟性が効く

2024年07月12日 09時00分更新

 kintone hive 2024 osakaの2番手は子育て支援を手がけるベンチャー企業のBABYJOB(ベイビージョブ)。 登壇した長野 有美香氏と塩澤 美百咲氏は「ベンチャー企業がkintoneを使って1週間で新規事業を立ち上げた話」として、kintoneの事例では珍しいベンチャーの新規事業での事例が披露された。

紙おむつに続く、お昼寝用シーツのサブスクでkintoneを導入

 BABYJOBは「すべての人が子育てを楽しいと思える社会を作る」というミッションを掲げた子育て支援ベンチャー。今回登壇した長野 有美香氏は、前職でkintoneの利用経験があり、2024年4月にBABYJOBに入社したばかり。もう1人の登壇者である塩澤 美百咲氏は、2年前に新規事業を立ち上げ、その際にkintoneで活用したという。

 子育て支援サービスとしてBABYJOBが最初に目を付けたのは、保育施設に子どもを預けるときの準備物である「紙おむつ」だ。「子どもを保育施設に預けるときは、紙おむつに名前を書いて、1日5~6枚近く用意しなければなりません。めちゃくちゃ面倒くさくないですか?」という塩澤氏は指摘する。

BABY JOB 塩澤 美百咲氏

 こうした課題を解決すべく、BABYJOBが始めたのが、おむつのサブスク事業「手ぶら登園」だ。手ぶら登園に登録しておくと、おむつが保育施設に直送されるため、保護者はおむつを持ち込む必要がなくなる。2019年にリリースされた手ぶら登園だが、導入施設はすでに5100におよぶという。

 続いて目を付けたのは、お昼寝用のグッズ。大部分の保育施設では、保護者が子供用の寝具を金曜日に持ち帰り、土日に選択して、月曜日に持ち込むというパターン。これを解決するため、お昼寝用のシーツも「手ぶら登園」のサブスクに追加した。ここで活用されたのが、kintoneだ。

開発チームは手一杯 担当者が1週間でkintoneアプリを作成

 お昼寝用シーツのサブスクを立ち上げるにあたり、必要になったのは保育施設とBABYJOBとの情報共有システムだ。もともと使っていたのは、社内のシステム開発チームがゼロから作り上げたオーダーメイドのWebサイトなので、お昼寝用シーツの追加に際しても、開発チームが担当できればよかったのだが、エンジニアはおむつサブスクのシステム運用に手一杯。経営から年度末でのリリースを求められたこともあり、白羽の矢が立ったのがkintoneになる。

お昼寝用シーツのサブスクで必要になった情報共有システム

 構築したkintoneのアプリでは、サブスクに登録した園児の情報を登録でき、トヨクモのkViewerで保育施設から確認できるようにしている。また、保育施設からはFormBridgeを経由してシーツを発注し、BABYJOB側で注文情報を確認。同じくトヨクモのPrintCreatorで注文書を作成し、メーカーに発注する。

 これらのアプリは新規事業の担当者である塩澤氏が1週間程度で作成。本業が忙しいシステム開発チームであれば、4ヶ月くらいはかかっていたという。長野氏は、「時間にして90%以上の削減につながった。お昼寝用シーツのサブスクはわれわれにとっても新しい事業。初めからきめ細やかなシステムを準備することより、まずは必要最低限の仕組み作りを優先したかったわれわれにとって、ノーコードで開発できるkintoneは大きな武器になりました」と語る。そしてシステム開発期間を短縮した結果、本質のサービスの精度に注力できたとアピールした。

BABY JOB 長野 有美香氏

やりたいことにフィットした仕組みを作れるkintone

 BABYJOBがkintoneを推す2つ目のポイントは柔軟性だ。新規事業には改善や軌道修正、微調整はつきもの。しかし、BABYJOBはちょっとした変更も、速やかに仕組み化することを重視したという。「仕組み化を見送れば見送るほど、運用や個別対応でのカバーが必要になってしまう。kintoneが簡単に変更できるおかげで、変更にも柔軟に対応できたと思う」と長野氏は語る。

 たとえば、とある保育施設からは「サブスクではなく、必要都度、買い切りで注文したい」という声が上がった。そこで、BABYJOBではもともとあったサブスク用の注文サイトを複製し、買い切り用の注文サイトを構築。注文確認アプリでは、どちらを経由してきたかもわかるようにした。

買い切りの注文もサイトを複製すればOK

 また、社内からは新しい注文が来たときにいち早く通知を受け取りたいという声が上がった。これに対しては、kintoneでの「通知先と条件」の設定で、レコード追加のチェックボックスをオンにしておけば、発注担当に通知が飛ぶ。「ここで言いたいのは通知がすごいということではなく、会社のメンバーも『kintoneってけっこう自分のやりたいように作り込める』という雰囲気が出てきたことで、社内メンバーからも柔軟な改善提案があがるようになったということです」と長野氏は語る。

 最後、長野氏は「いまは正解のない時代だと言われています。これまでの事業のあり方が、これからも正解とは限らない。だからこそ新しい事業に取り組もうとしている会社は多いと思います。そんなベンチャー気質を持ったプロジェクトにおいては、やりたいことにフィットした仕組みを作れるkintoneが向いていると思います」とコメント。BABYJOBも、kintoneが持つスピード感と柔軟さ、そして圧倒的な情熱で子育ての課題を解決していくとのこと。kintoneやサイボウズはもちろん、ノウハウを共有してきた多くのkintoneユーザーに熱い感謝の気持ちを表明して登壇を終えた。

kintoneありがとう

 

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事