「コレいいじゃん!」と思わずポチりたくなった高音質、beyerdynamic「Verio 200」を早速聞いた!!
装着感良し、音は……すごくいい!!
装着カットなどを見るだけでは分かりにくいが、Verio 200の音が出る部分は耳穴より少し上にくる。装着感としてはインイヤー型やイントラコンカ型のように耳に掛ける感じではなく、少し上に固定して覆う感じに近い。隙間もかなり広く空いており、周囲の音はほぼさえぎらずに聞こえる印象だ。そのため、イヤホンを着けたままでも、日常作業や会話などに全く支障が出ない。
一方、そこまで自由に外音を通すなら、再生音もスカスカになってしまうのではないかと心配する人がいるかもしれない。ここは筆者としても驚いたところだが、開放型イヤホンという言葉から想像する、芯のなさ、低域の軽さ、音の頼りなさなどのデメリットをまったく感じさせないのがこのイヤホンの出音だ。特にしっかりとした低域が出るのが印象的だった。
逆に、カナル型や密閉型特有の閉塞感はなく、音場は本当に広い。ここの音の再現も細やかで、臨場感、ディティール感、立体感などが非常によく調和している。この音場再現の広さは、DT 770 PRO X Limited Editionなど最近のモニターヘッドホンでも重視している印象があるのだが、サウンドでbeyerdynamicを選ぶ、ひとつの理由になりそうだ。
もちろん多少の音漏れはあるので、しんと静まった図書館、あるいは満員の通勤電車などでの使用は適さないが、人が密集してない場所で、クラシックなど全体の音圧が小さい楽曲を聴く分には気にならない程度の音もれだ。
聞く音楽のジャンルも問わないだろう。ここでは「iPhone 15 Pro Max」にゼンハイザーのUSBドングル「BTD 600」をつなぎ、Apple Musicで再生した音をaptX Adaptiveで伝送して聴くのを基本とした。Apple Musicをザッピングして、ヒットチャートに上がってくる曲をいろいろと聞いたが、ジャンルをまたいだ楽曲をいろいろと試してみても、音に欠点らしい欠点は見当たらなかった。
例えば、ぼっち・ざ・ろっく!の作品内楽曲を収めたアルバム『結束バンド』。こういったビート感や低域の迫力が求められるロック/ポップスもリズミカルかつ、音の分離感よく再現できる。逆にクラウス・マケラ 『ショスタコーヴィチ:交響曲第4番・第5番・第6番』のようなオーケストラ曲では、個別の楽器のディティールとオーケストラ演奏ならではの広さ、広がりの調和が素晴らしい。打楽器の音なども明瞭で歯切れよく、とても気持ちがいいのである。
beyerdynamicの他の製品に比べると、音色はブライトで高域はキラキラ、低域はハッキリ・クッキリとしたメリハリ感の効いたチューニングではある。beyerdynamicの音に慣れた人からすれば、ややリスニング寄りに感じるのかもしれないが、癖がなく、抜け感に優れ、ディティールだけでなく広がりも十分に感じられるまとめ方のうまさはさすがである。
一般に開放型イヤホンとしてイメージする音とは一線を画する、明瞭感、抜け感があるのは強調しておきたい部分である。
本機に興味を持った人の中には、ランニングなど周囲の音を聴きながら体を動かしたい人や、日常生活で家事などの作業をしながらいい音で音楽を楽しんだりするシーンをイメージしている場合も多いだろう。本機はもちろんこうした利便性を提供するが、こうした集中して音楽を聴くのとはまた違ったシーンの中に、脳が活性化するような高音質が入り、同居するというのは、なかなか素晴らしい感覚である。
筆者はイヤホンのタッチ操作、特にダブルクリックが苦手なので、音量のアップ/ダウンに使う「ダブルクリックして、2つ目のクリックを長押し」みたいな操作がちょっと大変ではあるが、ここはアプリを使ったり、慣れたりすればきっと何とかなるだろう。
いずれにしてもVerio 200にはブランド初のカテゴリーに取り組んだとは思えない完成度の高さがあると思った。
この音と使い勝手が手に入るのなら、3万円台中盤という実売価格も、最近の輸入オーディオ商品の値上がりを考えれば、比較的手ごろにも感じられる。毎年、多数の製品が出る完全ワイヤレスイヤホンだが、その中でもこの夏、特に注目してほしい製品がVerio 200である。
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