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QLC NANDチップ採用の4TBモデルも

AI時代だからこそNVMe SSDで強化!! 新登場「WD BLUE SN5000」速攻レビュー

2024年07月12日 10時00分更新

文● 飯島範久 編集●ASCII.jp編集部
提供: テックウインド

ストレージの速度が速いと
超解像化のAI処理がはかどる

 ストレージ速度が作業効率に影響を与えるというのは、実感している人が多いだろう。ビジネスアプリでもゲームでも、HDDからSSDに変えるだけで、アプリの動作速度やゲームのロード時間が大幅に変わる。クリエイティブな作業においても、ストレージ速度が速いに越したことはないのだが、動画や画像を扱う上でやはり容量が重視されるため、1TB、2TBだと心もとない感じがしていた。今回、最大容量が4TBとなり、クリエイティブな作業用の保存場所としては十分だ。

 早速、どの程度の実力なのか、WD BLUE SN5000の2TB、4TBモデルと従来モデルのWD BLUE SN580の2TBとで比較検証してみた。

比較用として「WD BLUE SN580」の2TBモデルでも計測した

 まずは、ストレージベンチマークテストの定番「CrystalDiskMark 8.0.5」で計測してみた。計測にあたっては、設定をNVMe SSDにして行なっている。

「WD BLUE SN5000」4TBモデルの「CrystalDiskMark 8.0.5」結果

「WD BLUE SN5000」2TBモデルの「CrystalDiskMark 8.0.5」結果

「WD BLUE SN580」2TBモデルの「CrystalDiskMark 8.0.5」結果

 結果は、2TB、4TBモデルともに、スペック値を上回る値を示した。従来モデルと比べても格段に速くなっている。

 速度計測系ベンチマークテストでもう1つ、「ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2」でも計測してみた。

「WD BLUE SN5000」4TBモデルの「ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2」結果

「WD BLUE SN5000」2TBモデルの「ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2」結果

「WD BLUE SN580」2TBモデルの「ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2」結果

 結果は、I/Oサイズが2TBモデルは512KBから、4TBモデルは1MBから安定した最大速度域に達している。

 続いて、アプリ系ベンチマークテストの定番「PCMark 10」にある「Data Drive Benchmark」を実行。

「PCMark 10 Data Drive Benchmark」の結果

 結果は、4TBモデルのスコアが4611、2TBモデルが4471、従来モデルが4465となり、いずれも従来モデルより上回るパフォーマンスを示している。

 さらに、今回はAIを使った超解像化作業でも検証してみた。画像を高精度に拡大する超解像モデル「Real-ESRGAN」を用い、動画の映像と音声を処理する「ffmpeg」を組み合わせて、低解像度の動画を高解像度化する過程で、処理する時間を計測してみた。なお、参考までに一般的なHDDでも計測している。

 まずffmpegで、320×240ドットの解像度の動画13分を1フレームごとにPNG形式の画像へ出力するときにかかる時間を計測。2万3405枚出力するのに、4TBモデルが約7.3秒、2TBモデルが約7.6秒、従来モデルが約9.2秒だった。ちなみにHDDだと約28秒かかる。

ffmpegで1フレームごとに画像出力した時間の結果

 続いて、出力された画像をReal-ESRGANで1280×960ドットの解像度に高画質化。その画像を用いて、再びffmpegで動画にエンコードする時間を計測。結果は、4TBモデルが約126.7秒、2TBモデルが約127.1秒、従来モデルが約129.7秒と、ここでは誤差程度の違いだった。HDDだと約405秒かかる。

ffmpegによるエンコードの時間の結果

 また、クリエイティブな作業として、「Adobe Lightroom Classic CC」でRAWデータ400枚(1枚60MB程度)読み込んでサムネイル表示するまでの時間を計測。結果は、4TBモデルが約90.3秒、2TBモデルが約90.8秒、従来モデルが約93.6秒とそれ程の差はなかった。ただやはりHDDだと遅く約129秒もかかる。

「Adobe Lightroom Classic CC」でRAWデータ400枚を読み込んでサムネイル作成終了までの時間の結果

 もう1つ、Lightroom Classic CCのAIノイズキャンセリングを実行して違いが出るか見てみたところ、4TBモデルが約40.2秒、2TBモデルが約40.3秒、従来モデルが約41.3秒とこちらも誤差程度の差という結果になった。HDDでも約41.5秒とSSDとほぼ違いはなかった。

「Adobe Lightroom Classic CC」でAIノイズキャンセリングを実行したときにかかった時間の結果

 このように、大量に画像を出力したりエンコードを行なう際は、SSDの実力がはっきりと現れる。AI処理でもこうしたストレージを活用する場合には、作業効率が大幅にアップする。これまで大容量な作業用ストレージとしてHDDを使っているのであれば、本製品のようなSSDにするだけで、作業時間の短縮が図れる。

これからのAI時代はストレージも重要に

 今回は、クリエイティブな作業として、超解像化のように大量に画像を出力、読み込みする作業について検証したが、さまざまなAI機能を活用するアプリが続々と登場してきており、今後はクラウド上だけでなくローカル上でも処理するものが増えてくるはず。

 また、AIは学習させることで、その能力を高めることが可能で、そのためには学習素材を大量に読み込ませる必要がある。そうなると、ストレージ速度によって学習にかかる時間が左右されるため、大容量タイプのSSDを選ぶことが肝になってくる。

 WD BLUE SN5000の実売価格は、512GBモデル(WDS500G4B0E)か1万1000円前後、1TBモデル(WDS100T4B0E)が1万6000円前後、2TBモデルが(WDS200T4B0E)が3万円前後、4TBモデル(WDS400T4B0E)が5万2000円前後。4TBモデルは少々値が張るが、クリエイティブな作業を快適に実行したいのであれば、購入する価値はあるはず。ストレージ環境を見直したいなら、本製品を検討してほしい。

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