AI時代はストレージにも気を使おう
近年のAIブームで、クラウド上で処理するだけでなく、GPUやCPU内蔵のNPUを活用してローカルでも処理するツールやアプリも登場してきている。そんなツールやアプリを活用するには、ストレージもパワーアップすることで、特に動画や画像系では処理速度のアップが期待される。「WD BLUE SN5000」はそんなAI時代にふさわしい処理能力を備え、大容量も用意されたモデルだ。
「WD BLUE SN580」の後継モデルで、PCIe 4.0対応M.2接続のNVMe SSDはそのままに、容量は500GB、1TB、2TB、4TBとワンランクアップ。さらに搭載されるNANDチップは、2TB以下は従来同様TLC(Triple Level Cell)タイプ、4TBモデルはQLC(Quadruple Level Cell)タイプを採用している。それでいて、シーケンシャルリードは最大4150MB/秒から最大5500MB/秒へ大幅に改良されている。
価格を抑えつつ大容量化を実現するQLC
そもそもTLCとQLCとで何が違うのか簡単に解説すると、NAND型のフラッシュメモリーは、1つのセルごとに電荷を保持することで、情報を保存している。当初SLC(Single Level Cell)という1セルに1ビットだったものが、MLC(Multi Level Cell)と呼ばれる1セルに2ビットになり、最近の主流であるTLCの1セルに3ビット保持できるタイプが採用されてきた。1セルにビット数が増えるほど、保存できる情報は増えるが、読み書きにかかる時間は長くなり、耐久性も劣る。QLCは1セルに4ビットのため、より多くの情報を保存できるが、読み書き速度や耐久性は劣ることになる。
ところが、実際MLCからTLCに移行していったときに、速度や耐久性が劣化したかというと、そうはなっていない。技術的な進歩により、そういった点を克服し、インターフェースの進化とも相まって、より大容量で価格も抑えられ速度も耐久性も十分満足できる製品が登場している。今回のQLC採用もそうした自信の現れであり、実際にシーケンシャルリードは、2TBモデルが5150MB/秒、4TBモデルが5500MB/秒。シーケンシャルライトは、2TBモデルが4850MB/秒、4TBモデルが5000MB/秒とどちらも4TBモデルのほうが速い。
一方耐久性は、2TBモデルが900TBW、4TBモデルが1200TBWで容量比的には若干落ちるものの、保証期間は5年となっており実用的には十分なレベルだ。
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