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Lunar LakeではEコアの「Skymont」でもAI処理を実行するようになった インテル CPUロードマップ

2024年07月08日 12時00分更新

Eコアは省エリアサイズ/省電力向けのため
動作周波数をあげても性能はほとんど上がらない

 これだけ内部が強化されているとなると、もうPコアは要らないのではないかと思うのだが、Pコアと異なりどうも物理実装が高動作周波数向けではなく省エリアサイズ/省電力向けになっているようで、Pコアのように動作周波数を高く引っ張ることで性能を上げる、という設計には向かないようだ。

 インテルとしては、モバイル向けの場合には効率を最優先する実装をしているとしており、実際Meteor LakeのLP Eコア(つまりSoCタイルに入っているコア)と比較した場合、Integer(整数)で38%、Float(浮動小数点)で68%の性能改善が実現した、としている。

こちらは省電力向けであり、当然ハイパースレッディングも無効化されているので、膨大な規模のデコーダーとALUが一つのスレッドだけを扱うことになる。したがって効率性を重視、という話になってくるわけだ(ハイパースレッディングが有効なら、多少の効率の悪さはスレッドの数でカバーできる)

逆に言えば、Meteor LakeのLP Eコアと比較できるくらい、Lunar LakeのEコアは省電力設計になっているわけだ

 またプロファイルを見ても、シングルスレッドなら同じ性能なら消費電力がLP Eコアの3分の1、同じ消費電力なら1.7倍の性能が実現できるとし、またマルチスレッド環境ではコア数も多いこともあって、同じ消費電力なら2.9倍の性能、ピークで4倍の性能が実現できるとしている。

LP Eコアよりも最大動作周波数での電力は若干増える(このグラフが正確だとすると、ピークで47%増し)とされるが、LP Eコアとの比較なのでMeteor Lakeのコンピュートタイル側のEコアよりは省電力化がなされているだろう

ピーク時の消費電力は2.7倍ほどになる。もっとも性能4倍に対しての消費電力2.7倍だから、効率としては非常に良いが

 ただこの数字はアーキテクチャーの違いによるものだけではなく、プロセスの違い(TSMC N6→TSMC N3B)も含まれているので、アーキテクチャーだけでここまで性能差が出たというわけではないことに注意されたい。

 次いで、Desktop Compute Tileについての言及もあった。まずはシングルスレッド性能をRaptor LakeのPコアであるRaptor Coveと比較したものだが、平均してInteger/Floatで2%ほどの改善があるとしており、また性能/消費電力カーブもRaptor Lakeより優れている(ただし低消費電力の範囲)としている。

Desktop Compute Tileの概要。文字通りに受け取るとArrow Lake向けになるが、なんとなくArrow Lakeはハイパースレッディングを無効化して出てくるように思う。おそらく、デスクトップ向けとは書いてあるが、実際にはClearwater Forest向けの話であろう

シングルスレッド性能をRaptor Coveと比較したもの。これはIPCの比較なので、おそらく同一プロセス/同一動作周波数でのシミュレーションと思われる

これも上の画像と同じ条件と思われる。逆に言うと、Skymontは同じプロセスだとRaptor Coveよりも頭打ちが早いことになる

 上の画像の中で、比較的低消費電力の範囲を拡大したのが下の画像であるが、同じ消費電力なら20%の性能改善が、同じ性能なら40%の消費電力削減が可能、としている。

これはつまり、Pコアを低消費電力で稼動させるくらいなら、Skymontに置き換えた方が効率がいいということである。ただ逆にターボブーストなどは効きにくい(消費電力を増やしても性能はほとんど上がらない)ことでもあって、デスクトップには微妙な感じ。このあたりがPコアの代替にはならない理由でもある

 おもしろいと思うのは、4つ上の画像には"Multi-threaded throughput scenario"と書いておきながら、そのマルチスレッド性能の比較が示されていないことで、おそらくArrow Lakeではハイパースレッディングを有効化しない予定であることと無縁ではないように思う。

 ハイパースレッディングを有効にしたときにどの程度性能が上がるかはClearwater Forestが出てくるまではお預けになりそうだ。

※お詫びと訂正:用語の誤字がありました。お詫びして訂正します。(2024年7月9日)

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