第779回
Lunar LakeではEコアの「Skymont」でもAI処理を実行するようになった インテル CPUロードマップ
Eコアは省エリアサイズ/省電力向けのため
動作周波数をあげても性能はほとんど上がらない
これだけ内部が強化されているとなると、もうPコアは要らないのではないかと思うのだが、Pコアと異なりどうも物理実装が高動作周波数向けではなく省エリアサイズ/省電力向けになっているようで、Pコアのように動作周波数を高く引っ張ることで性能を上げる、という設計には向かないようだ。
インテルとしては、モバイル向けの場合には効率を最優先する実装をしているとしており、実際Meteor LakeのLP Eコア(つまりSoCタイルに入っているコア)と比較した場合、Integer(整数)で38%、Float(浮動小数点)で68%の性能改善が実現した、としている。
またプロファイルを見ても、シングルスレッドなら同じ性能なら消費電力がLP Eコアの3分の1、同じ消費電力なら1.7倍の性能が実現できるとし、またマルチスレッド環境ではコア数も多いこともあって、同じ消費電力なら2.9倍の性能、ピークで4倍の性能が実現できるとしている。
ただこの数字はアーキテクチャーの違いによるものだけではなく、プロセスの違い(TSMC N6→TSMC N3B)も含まれているので、アーキテクチャーだけでここまで性能差が出たというわけではないことに注意されたい。
次いで、Desktop Compute Tileについての言及もあった。まずはシングルスレッド性能をRaptor LakeのPコアであるRaptor Coveと比較したものだが、平均してInteger/Floatで2%ほどの改善があるとしており、また性能/消費電力カーブもRaptor Lakeより優れている(ただし低消費電力の範囲)としている。
上の画像の中で、比較的低消費電力の範囲を拡大したのが下の画像であるが、同じ消費電力なら20%の性能改善が、同じ性能なら40%の消費電力削減が可能、としている。
おもしろいと思うのは、4つ上の画像には"Multi-threaded throughput scenario"と書いておきながら、そのマルチスレッド性能の比較が示されていないことで、おそらくArrow Lakeではハイパースレッディングを有効化しない予定であることと無縁ではないように思う。
ハイパースレッディングを有効にしたときにどの程度性能が上がるかはClearwater Forestが出てくるまではお預けになりそうだ。
※お詫びと訂正:用語の誤字がありました。お詫びして訂正します。(2024年7月9日)
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