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4Kでも非圧縮240Hz表示に対応! 31.5型のOLEDゲーミングディスプレー「AORUS FO32U2P」はゲーム補助から焼き付き軽減まで多彩な機能を搭載

2024年07月05日 11時00分更新

文● 宮里圭介 編集●北村/ASCII
提供: 日本ギガバイト

これからゲーミングディスプレーを買うなら
HDMI 2.1やDisplayPort 2.1(DP 2.1)に対応した製品を選ぼう

 リフレッシュレートは、1秒間に何回画面を書き換えるかという数値。一般的なディスプレーは60Hzで、1秒間に60回画面を書き換えている。

 60回と聞くとかなり多く感じるが、1画面が表示されている時間に換算すると、約16.7ミリ秒。つまり、画面に新しい情報が表示されるまで、最大16.7ミリ秒の遅延が起こることになる。これに対し、120Hzのリフレッシュレートであれば遅延は半減し、最大8.3ミリ秒まで短くなるわけだ。

 ゲーム、とくにFPSのような対戦ゲームになると、ほんのわずかな遅れが勝敗を決する、ということも珍しくない。プレーヤーが反応できるかどうかは別問題として、リフレッシュレートの高いディスプレー……つまり、ゲーミングディスプレーを使っている方が有利になる、というのは想像に難くないだろう。

 しかし、高リフレッシュレートを実現するのは意外と難しい。新しく画面を更新するということは、それだけ多くのデータを扱う必要があるからだ。60Hzから120Hzにするには、単純に2倍のデータ伝送帯域幅が必要になる。

 また、画面の解像度も大きく影響する。3840×2160ドットの4Kは、1920×1080ドットのフルHDの4倍のデータ量となるため、同じリフレッシュレートで表示しようとすれば、4倍のデータ伝送帯域幅が必要になるわけだ。

 HDMIやDisplayPortといった規格ではデータ伝送帯域幅が決められており、これを超える表示はできない。例えば、14.4GbpsのHDMI 2.0ではフルHDでこそ240Hzまで表示できるものの、WQHDでは144Hz、4Kでは60Hzが限界になる。

 データ伝送帯域幅の上限を引き上げるのは簡単ではなく、また、できたとしてもコストが高くついてしまう。そこで使われるようになったのが、色差を使ったデータの圧縮だ。これはRGBすべてのデータを送るのではなく、輝度信号と2つの色差信号に変換し、色差信号の情報量を落とすことで、見た目の解像感を損なうことなく表示するという方式だ。

 さらにHDMI 2.1からは、データ伝送帯域幅を引き上げるだけでなく、DSC(Display Stream Compression)もサポート。これはリアルタイム性に優れており、非可逆圧縮となるものの、高解像度での高リフレッシュレート表示を可能にする技術となっている。

 これからゲーミングディスプレーを買おうと思っているのであれば、データ伝送帯域幅が広く、高解像度での高リフレッシュレート表示が可能となるHDMI 2.1や、DisplayPort 2.1(DP 2.1)以降に対応した製品となっているかというのが、ひとつのポイントとなるだろう。

 今回紹介する「AORUS FO32U2P」は、そんな高リフレッシュレートに対応したゲーミングディスプレーの中でも、最高峰といっても過言ではないモデルのひとつ。最大の特徴は、4Kでの非圧縮240Hz表示に対応していること。

 また、パネルがQD-OLED(量子ドット有機EL)となるため、引き締まった黒と色鮮やかな発色、高速な応答速度、広い視野角をもつといった点も見逃せない。これ以外にも、5つの映像入力、デイジーチェーン接続対応、KVM機能搭載など、充実した機能を備えている。

 こういった特徴から、ゲームはもちろん、映像鑑賞や仕事用としても、かなり満足できる1台となっているのだ。この「AORUS FO32U2P」について、詳しく紹介していこう。

31.5型で4Kの240Hz表示に対応

DPなら非圧縮の240Hzやデイジーチェーン接続も可能

 入力端子は、HDMI 2.1×2、DP 2.1 UHBR20×2(うち、1つはmini DP)、USB Type-C(Alternate Mode、65W出力可能)の合計5つ。どれも4Kの240Hz表示に対応しているが、HDMI 2.1では帯域が足りないため、圧縮伝送となるDSCが使われてしまう。

 これに対しDP 2.1 UHBR20の帯域は、80Gbpsと大きく上回る。これにより、非圧縮の4K 240Hz表示……つまり、より忠実で遅延や劣化の少ない表示ができるわけだ。

DP 2.1 UHBR20の採用で、非圧縮の4K 240Hz表示に対応

 今回は機材の都合上DP1.4までをサポートするGeForce RTX 4080 SUPERを使っており、残念ながらDSCが使われた圧縮伝送となるのだが、4K@240Hzが表示でき、HDR 10bitも可能だった。

SDRはもちろん、HDRでも4K 240Hz表示が可能

 非圧縮での表示を体験するにはDP2.1 UHBR20をサポートするビデオカード(*)がこれから一般的になるまでの楽しみとなるだろう。

(*) 現状、DP2.1 UHBR20をサポートしているビデオカードはRadeon Pro W7000シリーズのみ。一般的に入手しやすいRadeon RX 7000シリーズはDP 2.1をサポートしているがUHBR 13.5まで。Intel ArcもDP2.1をサポートするが、UHBR 10までとなっている。

 もうひとつ、DPでだけ使える機能として、デイジーチェーン接続がある。通常、複数のディスプレーを接続するには、PCのHDMIやDPといった映像出力とディスプレーを直接ケーブルで接続する必要がある。つまり、PC本体からそれぞれのディスプレーにケーブルを接続する必要がある。

 これに対してデイジーチェーン接続は、2台目のディスプレーを1台目に接続可能。数珠つなぎでディスプレーを増やしていけるのだ。

複数のディスプレーを数珠つなぎに増設できる

mini DPとType-C端子の間にあるのが、出力用のDPだ

 離れた場所にディスプレーを設置したい、という時でも、長いケーブルが必要なのは1本だけ。2台目からは短いケーブルでいいため、配線も見た目もすっきりさせられる。

 ただし、1本のケーブルで複数画面分のデータを伝送するということもあり、画面の解像度や色深度、リフレッシュレートには限界がある。試しに、AORUS FO32U2PのDP出力にフルHD(60Hz)のディスプレーを接続してみたところ、4Kでは200Hz表示までとなっていた。

デイジーチェーン接続では、リフレッシュレートが200Hzに落ちていた

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