第229回
案件・工程管理の一括管理で問題をまるっと解決、売上・利益も3倍に
M&Aで生まれた現場職人との摩擦 福岡の電気工事会社を救ったのはkintoneだった
紙・Excel・kintoneの業務処理対決!現場も納得な浸透施策
こうして工事サポート事業部は、kintoneに救われた。そしてkintoneを社内全体に広げるべく動きだす。
まずは下地作りとして、共有スペースを、見やすくて、ワンクリックでアクセスできるよう整備した。業務が異なるため、会社のスペースごとにデザインも変更。データは管理しやすいように連携している。
kintone利用における独自ルールも策定した。例えば、コメント欄の冒頭には必ず【表題】を設けるようにして、返信を求めないときは【報告】、返信が欲しいときは【RE相談】をつけるなど、一目で要件がわかるようにした。
ユニークな体験会も展開している。「発注書の作成から上長の確認」までの時間を、紙・Excel・kintoneのどれが一番早いか参加者に質問。各回答の代表者に実際に作業を競ってもらい、納得感が得られるような形でレクチャーした。
「紙だ、Excelだ言っていた社員も脱帽する結果に。今と対比して、興味を持ってもらえるように工夫しました。参加した社員にも好評なので、皆さんもぜひ試してみてください」(河野氏)
kintone導入でアナログ業務は約20%にまで削減、売上・利益も3倍に
.Noahホールディングスは、現在、会社数は9社に、従業員数はkintone導入前の7倍にまで増加した。一方で、kintoneの利用が浸透したことで、社内全体のアナログ業務の比率は約20%にまで減っている。「業務に追われていた毎日から、ミスを減らしたり、業務改善に取り組むための時間が生まれた」と河野氏。
M&Aによる不信感も、ミスが減ったことで信頼を築け、業務共有も加速されるという好循環に変わった。「なんたって私たちは、工事サポートの事業部です。以前は、職人さんからミスばっかりと怒られていました。『よくやるじゃん』っていう声をもらえるようなった、信頼を得られるようになったことが一番嬉しかったです」(河野氏)。
成果はこれだけにとどまらない。kintone導入前と比べ、工事対応案件数は約74%増加、売上・利益も3倍以上増加した。
今後の展開として、平尾氏は、「工事部が現場で使えるアプリだったり、今までのアプリの強化に取り組んでいきたい」、河野氏は、「kintoneの認定資格に挑戦してみようと思っている」とそれぞれ抱負を語った。
2025年3月末までの限定公開です
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