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今後は「3秒でAIが作ってくれるクローン音声」を悪用した音声詐欺が登場する恐れも

実はフィッシング詐欺だけで1年間に約120万件も報告されている

2024年07月05日 18時00分更新

今後は「3秒で作れるクローン音声」を使った詐欺も

 今後のトレンドとしては、やはりAI技術が挙げられるでしょう。フィッシング詐欺がAI技術で巧妙化する理由について、マカフィーのセキュリティ エヴァンジェリスト・青木大知氏からは、「さまざまなサイバー攻撃がある今、攻撃する側にとってスピードと効率が求められる時代なのだと思います」という答えが返ってきました。

 「そのため、フィッシングメールやメッセージ、詐欺サイト(偽Webサイト)をより本物に近づけるための方法としてAI技術は有効な手段になってしまっています。また、これまで必要とされた高いプログラミング能力もAIが代行してくれることが多くなってきているのもポイントの1つだと考えます」とのこと。

 「いつの時代でも、武器と道具は持ち主の判断、使い方によって、その目的が善悪に分かれる歴史が繰り返されています」(青木氏)。

 では、AI技術によって巧妙化するであろう、2024年以降に注意すべき詐欺の種類・手口は?

 「マカフィ―のリサーチャー調べでは、生成AIのテクノロジーを利用すれば、音声クローンは約3秒で生成できてしまいます。そのため、テキストのフィッシング攻撃だけでなく、ビッシング(ボイスフィッシング)のような手口への対策も必要だと考えます」(青木氏)。

 そして、本当に恐ろしい未来はこのあとに控えています。青木氏曰く、「AIで生成されたフィッシングとビッシングが増えていけば、本物か否かの見分けが大変困難な状況になっていくことが想像できます」。

 フィッシング関連の件数は全体的に増加・高止まりの傾向が見られます。2024年上半期も旧正月以降は急増しており、引き続き警戒が必要でしょう。これからも毎月、フィッシング詐欺の最新情報、そして対策方法をご紹介していきますので、せきゅラボをチェックしてくださいね。

SMSに溜まる詐欺メッセージをAIで検知!

 今回は“増加傾向のフィッシング詐欺がAI技術の力を得て一層巧妙化する”というお話でしたが、実は対策側も負けてはいません。これまでもセキュリティー対策製品はウイルスチェックなどにAI技術を利用してきました。

 そしてAI技術のセキュリティ対策利用に熱心なマカフィーでは、すでに総合対策製品に“AI技術を利用してSMS内の危険なURLを検知する”新機能を搭載済です。

 また、インテルと連携して音声ディープフェイク検知技術「McAfee Deepfake Detector(旧称:Project Mockingbird)」の強化を発表しています。

 「マカフィ―では、AI技術を採用した詐欺SMS検知機能『マカフィー 詐欺メッセージ対策』を提供しています。McAfee+をはじめとする一般向けのスイート製品をお持ちであれば、ご利用いただける機能です。要らないショートメッセージを多く受け取って、フィッシング詐欺への懸念があるお客様は、ぜひ、この機能を試してみていただくことをお勧めします」(青木氏)。

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