第777回
Lunar Lakeはウェハー1枚からMeteor Lakeの半分しか取れない インテル CPUロードマップ
6月4日から開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2024は、こういうと失礼かもしれないが、予想外の盛り上がりを見せた。特集ページに記事一覧があるが、昨年のCOMPUTEX TAIPEI 2023と比較して記事の数が多いというのがその傍証ともいえる。
ちなみに主催者であるTAITRA(台湾貿易センター)の発表によれば、2024年の参加者は8万5179人。2023年が4万7594人なのでらほぼ倍増である。ちなみにコロナにより休止する前の2019年は4万2495人であり、今年がいかに盛況だったかがわかろうというもの。
筆者の個人的な感想で言えば、昨年は久しぶりの再会ということで出展者・参加者ともに様子見というか、恐る恐るという感じだったのが、今年は一気に弾けた感がある。昨年は「この調子だとCOMPUTEXは遠からずなくなるのではないか」という気がしたのだが、今年は見事に復調した。
そんな雰囲気に感化されてか、インテルも事前にプレスツアーを行ない、会期中も基調講演にブース展示となかなかに盛りだくさんな内容だった(いずれもレポートは中山智氏)。というわけで、今回はCOMPUTEXで判明したインテルのロードマップを説明しよう。
Snapdragon X Eliteの登場で
予定が前倒しとなったLunar Lake
Lunar Lakeの概略はプレスツアーレポートにまとまっているので、もう少し突っ込んだ話をしよう。まず基本的なポジショニングから。本来Lunar Lakeは、従来で言うところのY-SKUのリフレッシュにあたる製品で、いわゆるミニノート向けの製品である。
2024年発売ということは企画は2019年か遅くても2020年あたりであり、もう世の中にはSnapdragon 800ベースのWindows on Armマシンが存在していたから、これを意識したことは間違いない。結果的にQualcommのSnapdragon X Eliteと見事に競合できる製品になったあたりは、インテルによるQualcomm製品の見通しが間違っていなかった、というあたりだろうか。
予想外だったのは、登場する順番である。2022年におけるロードマップが下の画像であるが、本来はArrow Lakeの後にLunar Lakeが出てくるはずだったのが、Snapdragon X Eliteの出荷が予想より早かった(あるいはマイクロソフトによるCopilot+の実装が予想よりも早かった)あたりで、Lunar Lakeを前倒しにせざるを得なくなった。
ここで問題になったのは、「前倒しするとして、ではどのプロセスを使うか」である。Intel 4は昨年無事にMeteor Lakeに実装されて出荷開始されたが、決して生産量は多くない。もっと言えば、Intel 4を使うのがMeteor Lakeだけであり、量産プロセスはIntel 3が主流になるのは明白である。
6月16日からホノルルでVLSI Symposium(正式名称は"2024 IEEE SYMPOSIUM ON VLSI TECHNOLOGY & CIRCUITS")が開催されているのだが、テクニカルセッションの最初でインテルが"An Intel 3 Advanced FinFET Platform Technology for High Performance Computing and SOC Product Applications"という講演を行なっている。
この講演の話はまた別の記事でお伝えするとして、ポイントは信頼性である。
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