なお、オートフォーカスは「一回焦点合わせ」と「連続焦点合わせ」の2つの種類があります。前者は文字通り一度だけフォーカスを合わせ、後者は観察対象に追従してフォーカスを合わせるという違いがあります。といっても、調整には秒単位で時間がかかるうえ、失敗してしまうこともあるため、「連続焦点合わせ」はあまり実用的ではありません。
倍率設定は2つめのアイコンです。視野角/焦点距離の数値で表示範囲が選べるので、これでどのくらいの大きさで観察したいかを選びます。表示倍率はウィンドウサイズと掛け合わせた数値となるので、同じ視野角を選んでも、ウィンドウサイズを変えれば倍率も変わります。
例えば視野角5mmの場合、「640×360」では23.3倍となりますが、「1280×720」では46.7倍、「全画面表示」(3840×2160)では140倍……といった感じです。
なお、倍率設定となる視野角/焦点距離を変えるとフォーカスはズレるので、ギアボックスの移動、微調整が必要です。
このほか、8つのLEDの点灯パターンを変えることで反射を抑える、明るさを変更するといった操作も、制御モードから可能です。
個人的に便利だなと感じたのは、補助ツールとして、スケールの表示や長さの計測機能が用意されていること。拡大して大きく見えるといっても正確なサイズが分からないと、「結局どのくらいの大きさなの?」となってしまいがち。横に物理的な定規を置くことなく、サイズが測れるというのは非常に便利です。
本体だけで操作すれば別のソフトで撮影可能
また、本体に4つのボタンがあり、倍率設定、LEDの輝度設定の変更が可能です。ただし、ソフトから制御モードを利用している間は、このボタンは無効化されています。本体だけで設定したい場合は、ソフトで制御モードを使わないようにしましょう。
制御モードを使わなくても画面は表示されているので、スケールの表示や長さの計測などは可能です。
なお、LEDの点灯パターンの変更や、数値を指定しての視野角設定、オートフォーカスといった機能は利用できないので、UM Viewerを使いながら本体ボタンで操作するメリットはあまりありません。
では、どんな時に使えるかというと、そうです、他のソフトで撮影したい場合です。専用ソフトが用意されているとはいえ、映像部分は一般的なWebカメラなどと同じUVC。つまり、つまり、Windows標準のカメラアプリなどからも撮影できちゃいます。
ここで気づいた人もいるかと思いますが、リモート会議ソフトや、OBS Studio(Open Broadcaster Software)などでも利用可能です。例えば、温度や湿度を一定に保った隔離環境で観察を続けたいとか、離れた場所から長期間リアルタイムに観察・配信したいといった場合などに活用できそうです。
解像度が高く、フォーカスも合わせやすいのが魅力
デジタル式は光学式と違って遅延があり、拡大しながら作業するといった用途には慣れが必要です。その代わり、画面に大きく表示できることと、見たままの画面で写真、動画を手軽に撮影できるというのがメリットです。
デジタル顕微鏡は数千円〜数万円で買える廉価なものもありますが、スタンドが弱く、ちょっとした振動で揺れたり動いたりしてしまい、フォーカスを合わせるだけでも一苦労。また、解像度が低いものが多く、せっかく拡大しても細部が不鮮明になりがちです。
その点3R-MSUSB390であれば解像度が高く、フォーカスも合わせやすいのが強み。微小なものでもハッキリ見えるようになるため、微生物の観察、細かな傷の検査、不良部分の特定など、いろいろな用途で活躍してくれるでしょう。
高性能なぶん価格は10万円超えと高めなので、万人にすすめるのは難しいですが、高倍率なデジタル顕微鏡を探しているなら、チェックしたい製品です。
なお、会社や法人に限定されてしまいますが、購入を検討している人へのデモ機貸し出しも可能です。どのくらい使えるのか購入前に試してみたい、というのであれば、申し込んでみてはいかがでしょうか。
●お気に入りポイント●
・しっかりしたスタンド
・画面内で長さが測れる
・別ソフトでも表示できる
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