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AIで自動化や多言語対応が一気に進んだ第二世代のTeachme Bizへ

ポチれば動画がマニュアルへ 時短効果が大きいTeachme AIの価値

 「3時間かかっていたマニュアル作成が15分になるんです」と語るのは、マニュアル作成・共有サービス「Teachme Biz」を提供するスタディスト代表取締役CEOの鈴木悟史氏。同社が推進するリーンオペレーションと、生成AIを活用したTeachme AIについて話を聞いた。

スタディスト代表取締役CEOの鈴木悟史氏

マニュアルクラウドからリーンオペレーション実現の会社へ

 昨年9月、サービス開始から10周年を迎えたTeachme Biz。もともとは個人向けのTeachmeのビジネス版としてスタート。写真や動画を用いたマニュアルを簡単に作れるというメリットが受け、昨年時点で国内外の約2000社が導入に至る。作成されたマニュアルの数は約120万に及ぶという。

 スタディストは設立以来10年に渡ってマニュアルにこだわってきた。これは業務の正しい手順を浸透させる代表的な手段がマニュアルだからにほかならない。マニュアルを簡単に作成でき、メンバーが確実に活用できれば、ビジネスパーソンは無駄な業務に時間を使うことなく、付加価値の高い業務に集中できる。こうして実現されるのが、同社が提唱する「リーンオペレーション」になる。

 「ムダがなく均整の取れた業務オペレーション」を意味するリーンオペレーション。しかし、このリーンオペレーションを実現するためには、もはやプロセスのみを提供するマニュアル作成だけではツールとして不足してしまう。そのため、同社はTeachme Bizを核としながら、チェーンストアの本部から現場への実行指示を可視化する「ハンクラ」やマニュアル作成代行や業務アセスメント、トレーニングコースの構築などのソリューションサービスも提供している。

 スタディスト代表取締役CEOの鈴木悟史氏は、「スタートとしてはTeachme Bizは手順やプロセスの標準を定め、第三者に共有しやすいビジュアルベースのマニュアルを作る仕組みとして提供してきました。でも、その先にもやることはいっぱいあります。だから、今のスタディストはTeachme Bizだけの会社だけではなくなっています」と語る。

 リーンオペレーションの実現は、目の前の社会課題である労働力不足を解決するためには必須だという。鈴木氏は、「2060年までに日本の生産年齢人口は3000万人も減る。マレーシアと同じくらいの人口がいなくなるんです。人口が増え、仕事が増えていた昭和と違い、今は少ない人数で効率的に業務を回さないと生産性が維持できません」と指摘する。

 流動性の高い人材市場に対応し、外国人労働者やスポットワーカーを活用するためには、直感的なマニュアルが必須になる。特にスタディストが向き合っている労働集約型のノンデスクワーカーの悩みは深刻。「お弁当作っている製造工場で働いている人って、中国、ベトナム、インドネシア、タイ、カンボジアなど、1カ国じゃない。こうした人材を活用するためには、もはや文字のマニュアルで回すのは無理。直感的な動画マニュアルが必要になるんです」と鈴木氏は語る。

動画をシーン分割 読み上げも、多言語対応も容易に

 一方、マニュアルを作るTeachme Bizユーザーの要望は長らく「直感的な動画マニュアルを、もっと簡単に作りたい」だ。「ご存じの通り、マニュアルはステップ構造。ステップごとに写真や動画を当てはめるTeachme Bizの操作は、従来のExcelやPowerPointに比べれば楽ですが、まだまだ面倒と言われてしまうんです」と鈴木氏は語る。

 マニュアル作りに時間がかかるのは、ユーザー側のやり方にも課題があるという。「言い間違わないよう、シナリオを作るため作成に1日かかるとか、ステップを決められないので、10分の動画をそのままマニュアルにしてしまうケースもあります」(鈴木氏)。もちろん、マニュアルの文言にも上手下手があるので、結局マニュアル作りも属人化してしまう。

 こうした課題を解消すべくTeachme Bizのオプションとして提供されるのが、先日発表された「Teachme AI」だ(関連記事:AIで多言語マニュアルの作成工数を80%減へ 「Teachme AI」発表)。「動画からテキストを起こして、シーン分割するという手順を、ワンクリックでできないか?とエンジニアに相談して作ってもらいました。お客さまに動画を1本撮ってもらえば、あとはこちらでやりますという機能です」(鈴木氏)。オプションでありながら、次世代のTeachme Bizを切り拓く機能だ。

 具体的には特許取得の技術を用いて、アップロードされた動画からテキストを抽出して、ステップごとにシーン分割された動画に反映させている。動画に字幕を入れる場合にも、言語を選べるので、多言語化も容易だ。言い間違いをあとから編集することも可能だし、別の音声で読み上げるTeachme Playerというアプリもあるので、元音声の説明はもはや素材でしかないという。

作業を口頭で説明している動画を撮影して登録

作業ステップに合わせて自動作成してくれる

 実際にデモを見せてもらったが、レジのオペレーションについて指導している動画が、あっという間にシーン分割された動画マニュアルになっていく。「シーン分割に30分、字幕入れるのに30分、テキストを考えて登録するのに2時間かかるのにトータルで最低3時間。これがほぼ15分にまで短縮できます。生成AIの使い方としてはかなりいい線いったのでは」と鈴木氏はアピールする。

 発表前にプレビュー版を実施してきたが、「お客さまからの反応はとてもよいです。今までの時間を返してくれと言われました(笑)」(鈴木氏)とのこと。先週発表されたTeachme AIは、動画用の「ビデオProプラン」(月額2万円)とテキスト用の「テキストProプラン」(月額1万円)が用意されている。

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