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ドイツグラモフォン120周年記念盤、最高級のシステムで聴いたら感じたこと

サントラの巨匠がサイトウ・キネン・オーケストラを指揮したら? 『John Williams in Tokyo』を麻倉怜士が解説

2024年06月11日 13時00分更新

 なお、コンテンツはドイツ・グラモフォン125周年を記念するコンテンツとして日本で制作されたものだが、世界各国に散らばったアーティストの確認と承認の上、完成を目指していく過程には苦労も多かったようだ。例えば、映像のスイッチングで、どういうアングルを見せるか。通なら絶対に観たい“スター演奏者の共演”を見せる、ジョン・ウィリアムズ氏の生のリアクションなども見せたいなど、制作意図の反映があり、それぞれについてアーティストからの承認を得る必要がある。映像については、ドイツとやり取りして、カラーリングのチェックなどを進めていったという。

 また、125周年を記念するコンテンツに、敢えて日本のライブを選んだ理由についての言及もあった。もともと、サイトウ・キネン・オーケストラに、ジョン・ウィリアムズさんを直々に招くことは、故・小澤征爾さんの長年の夢であったという経緯がある。さらにウィーンフィル、ベルリンフィルのライブにおいても、世界最古のクラシックレーベルが、巨匠とはいえ映画音楽作品を出すこと自体が衝撃的なことだったとする。

 つまり、ジョン・ウィリアムズが東京に来る様子をコンテンツ化することは、伝統と革新が共存するレーベルであるグラモフォンの特性を示す象徴的な出来事として、絶好の機会だったという。

 イベントの最後に麻倉氏は「傑作をぜひ体験してほしい」とコメント。筆者としても、ひとつだけ選ぶならデラックス版を買うだろうと思う一方で、LP盤や配信、CDとの音の違いを確認したり、同じ帝国のマーチでもオーケストラの違いが、どのような演奏と音の違いに反映されるのかなどを確かめたい気持ちもある。こうしたオーディオ的な関心も尽きない。最高のコンテンツは、最高の環境でいろいろな角度から楽しみたいものだ。

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