MQAの未来がまた少し見えてきた。
MQAを買収したLenbrook Media GroupはこれまでMQAの将来について多くは語らなかったが、6月5日に今後の計画を発表した。これによるとMQAを軸にして「AIRIA」「FOQUS」「QRONO」という3つの新しい技術が今後の軸になることが分かった。
MQAの先にある3つの技術とは?
AIRIA(またはAIRIA by MQA Labs)は、今まで「SCL6」と呼ばれていたワイヤレス伝送用のコーデックで、ロスレスからかなり高い圧縮率までシームレスにスケーリングしながら、ハイレゾオーディオを提供できるという。FOQUS(FOQUS by MQA Labs)はアナログ/デジタル変換における革新的なアプローチとしているが、詳しくはわからない。そしてQRONO(QRONO by MQA Labs)は、再生機器内で様々なオーディオ処理を強化するものとしている。これも詳しくはわからない。
Lenbrook Media Groupの親会社であるThe Lenbrook GroupのCEO、ゴードン・シモンズ(Gordon Simmonds)氏は次のように述べている。「これらの進展はこのチームと知的資産(IP)の価値をめぐる我々の直感を裏付けるものです。MQAコンテンツの選択肢とアクセシビリティは私たちにとって優先事項であることに変わりはありませんが、これは決して単一のコーデックに関するものではありません」
FOQUSとQRONOについては、グレッグ・スティッドセン(Greg Stidsen)最高技術責任者が次のように語っていることがヒントになるだろう。「アナログ信号のデジタル化によって、できあがるオーディオファイルには様々な欠陥が生じます。最も一般的で致命的なものの1つは、タイムスミアと呼ばれるもので、2つの音のタイミングがデジタルファイル内で正しく再現されないために解像度が低下するものです。MQA Labsのチームは時間領域のオーディオ改良のエキスパートであり、このようなオーディオの欠陥を回避または除去するための多くの技術を発明してきました。新しい製品群のうち2つは、この問題に正面から取り組むものです。アナログからデジタルへのプロセスに取り組むFOQUSと、デジタルからアナログへの変換に取り組むQRONOです」
おそらくFOQUSは焦点が定まったという意味のFocus、QRONOは時間を意味するChronoに由来する造語と考えられる。FOQUSはなにか解像度を上げる処理、QRONOはMQAのフィルタリングがそうであるような時間領域に関する処理であると推測できる。もともとMQAはエンド・ツー・エンドのプロセスであり、入力(録音とA/D変換)から出力(再生とD/A変換)までが一貫したアプローチである。つまり、MQAを再定義してできた新しい技術と考えられる。
AIRIAの語源はちょっと分からないが……
ちなみに参考までにだが、AIRIA(ARIAではない)という名前をAIを活用して調べてみるとイタリア語圏で使用される女性の名前ではないかということだ。その関連性はわからない(単にスタッフの名前かもしれない)。
かつてSCL6と呼ばれていたAIRIA以外、あまり詳しいことはわからないが、少なくともMQAが、もう一度歩み出そうとしていることは分かった。これらは2025年末までに、様々なライセンス製品に搭載される予定だということだ。
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