KYOJO CUPの決勝レースは甘くはなかった
28台中26位のままゴール
歓喜の予選から約3時間後に迎えた決勝レース。スタート前のグリッドには岡本を応援する人で溢れかえった。KYOJO CUPはスタンディングスタート方式(停止状態からの発進)で周回数は12周。グランドスタンドにはSUPER GTでもおなじみのグッドルマイルレーシング大型応援フラッグ隊が登場し、大きな注目を集める中でスタートした。
直後のTGRコーナーでは前方でスピンを喫する車両が発生し、後方集団は混乱気味となったが、岡本は冷静にアクシデントを回避し、26番手をキープして1周目を終える。そこから前の集団に食らいつこうとするも、なかなか安定したタイムを刻むことができず、中盤は2分06秒台を推移することとなった。前を走るライバルとの差も徐々に広がっていく。それでも岡本は必死に周回を重ね、26番手を維持したままチェッカーフラッグ。KYOJO CUPでの第一歩を踏み出した。
しかし、レース後にマシンを降りた岡本は、飛び跳ねるような喜びを見せることはなかった。
「昨日のFCR-VITAは完全にデビュー戦だったので、完走できただけでうれしかったんですけど、実質的に2回目のレースとなったKYOJO CUPでは完走だけでは物足りないというか……、ひとつでも前に行きたいという気持ちが出てきました」
「予選はリズム良くいけましたけど、決勝になると周りにクルマがいて、そっちに気を取られてしまいました。今はコーナーを曲がることに全集中しないとうまくいかないので、なかなかうまくいかなかったです。あとは(前のクルマと接触しそうで)こわくて引いてしまうところもありました。次はちゃんと勝負ができるように練習がんばって、次は自己ベストのペースでずっと走れるようなレースをしたいです!」
少し悔しさも残るKYOJO CUPデビュー戦となったようだが、個人スポンサーやファンの声援は力になったとのこと。「メインストレートで私が通るたびに旗を振ってくれるのが見えましたし、コースサイドで手を振ってくれる人もいました。めちゃくちゃ力になりました!」と語っていた。
チームとしてもデビュー戦となった第1戦。「プロジェクトとしては3年という計画なので、最初から全然経験のない子を選んいでるし、デビュー戦なので最後尾は間違いないのかな、とは思ってはいたんですけど、ちゃんと最後尾のグループの辺りにはついてけそうなところで走ることができました。誰ともぶつからずに、前日のFCR-VITAを含めて両方でちゃんとチェッカーを受けられたので、上デキかなと思います」と片岡監督は語る。
「今回のレースウィークを通して彼女のキャラクターが垢抜けて、何か突き抜けた明るさを持ってるのもの存分に見られて、そこは非常に応援し甲斐もあるし、特にファンと一緒に走るグッドスマイルレーシングとしては、非常にいい感じだなと。すごく一体感があったと思います」(片岡)
「振り返ると予選の2分03秒台は想定以上でした。それまでのベストが2分04秒8だったので、自己ベストは更新したいよね、と言っていましたけど、予選で見事に上回ってくれました。決勝に関しては、安定して走れるのがあれくらいのタイムなのが現状。まだ練習も3回くらいしかしていないので、伸びしろしかないと思っています。今後に期待です」(片岡)
なお、トップ争いは初ポールポジションを獲得した斎藤愛未と2022年チャンピオンの翁長実希によるバトルが白熱。最終ラップで逆転を果たした翁長が0.2秒差で逃げ切り、開幕戦を制した。2位に斎藤、3位に下野璃央が入った。
次回は7月20~21日。富士スピードウェイで開催されるスーパーフォーミュラとの併催で週末に2回レースが行なわれる。「伸び代しかない!」状況にある岡本が、次はどんな走りをみせてくれるのか目が離せない。
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