週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

AMD、Zen 5世代のRyzen 9000シリーズ発表、さらにAM4用の新CPUも!

2024年06月03日 12時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

 2024年6月3日、AMDはCOMPUTEX 2024に連動し基調講演を開催、さまざまな発表を行なった。本稿はAMDより事前に共有されたブリーフィングや資料の中から、特にコンシューマー向けの製品発表についてまとめたものである。発表段階で情報が変わることも珍しくないので、もしその場合は追記という形で補完する。

Ryzen 9 9950Xを披露するリサ・スーCEO

Zen 5ベースの「Ryzen 9000シリーズ」は7月に登場予定

 今回の目玉は言うまでもなくZen 5アーキテクチャーを採用したSocket AM5向けの新CPU「Ryzen 9000シリーズ」だ。DDR5やPCI Express Gen5といった足回りはそのままに、CPUコア部分(つまりCCDのダイ)を改善した。改善点の詳細は不明だが、分岐予測の精度やレイテンシーの改善、L2→L1キャッシュ間の帯域増などが含まれており、Zen 4比でIPCは平均16%の向上を果たしたという。

Ryzen 9000シリーズはコア数据え置きで7月発売。Ryzen 9 9900XとRyzen 7 9700Xに関しては、対応する7900Xや7700XよりもTDPが低く設定されている

 発売日は“7月”予定と発表されたが、具体的な日時は告知されていない。ローンチ時には16コア32スレッドの「Ryzen 9 9950X」を筆頭に12コア24スレッドの「Ryzen 9 9900X」、8コア16スレッドの「Ryzen 7 9700X」、6コア12スレッドの「Ryzen 5 9600X」となる。

 Ryzen 7000シリーズとコア数は据え置きであることから、Zen 5でもCCDあたりの物理コア数は8基が上限であることが推察される。ブーストクロックは据え置きもしくは100MHzの微増にとどまるが、Ryzen 9 9900XとRyzen 7 9700XとRyzen 5 9600Xの3モデルはTDPが前世代より下がっている(170W→120W、105W→65W)。

Ryzen 9000シリーズは「世界で最も強力なデスクトップ向けプロセッサー」であるとAMDは謳う。ソケットはAM5、PCI Express Gen5やDDR5といった足回りは同じだが、アーキテクチャーがZen 5に更新された

Zenアーキテクチャーが進化するたびにコア内部に何かしらの改善が加わっている。詳細は明らかにされていない

 前述のIPC平均16%向上というのはRyzen 7 9700Xと7700X比較時のデータ(と資料にある)というのだから、TDPが40W下がっても確実にZen 4より速いことになる。TDPが同じモデルがぜひ見てみたい(おそらくこれが3D V-Cache搭載モデルになるのではと筆者は予想している)。

Zen 5ではAIやAVX512のスループット、L2キャッシュからL1キャッシュなどへの帯域が最大2倍になっている

Ryzen 7 9700Xと7700Xの性能を同クロックで比較し、Zen 5の伸びをグラフ化したもの。「Handbrake」では11%、「Blender」では23%、平均すると16%程度の伸びが期待できる。TDPはRyzen 7 9700Xの方が低いにも関わらずこの差が出るとは驚きしかない

 ライバルであるインテルの第14世代との性能比較も披露された。Core i9-14900K(Intel Default Profile)との比較ではBlenderで56%速く、「Horizon Zero Dawn」では23%高いフレームレートが出せ、大規模言語モデルにおけるトークン処理数においては20%高速であるという。

Ryzen 9000シリーズのフラッグシップである「Ryzen 9 9950X」。今回唯一TDPが減らされなかったモデルでもある。コア数や最大ブーストクロック、キャッシュの構成は既存のRyzen 7 7950Xと同じ

Core i9-14900Kとの性能比較。Ryzen 9 9950XはHandbrakeやBlenderでは1.5倍以上高速、ゲームでは4~23%のフレームレート向上が期待できるという

大規模言語モデル(Mistral)をCPUで処理させた場合、Ryzen 9 9950Xの方が20%多くトークンを処理できるという。左側はPCI ExpressのGen4とGen5の理論的な帯域差を言っているだけだ

発表最後に提示されたエンドノートに検証環境がすべて書かれている。インテル製CPU関連の記述を見ると、第14世代は「Intel Default」、すなわちIntel Baseline Profileか、それに類する設定を使っている(赤線部分)。しかしその一方、Core i7-13700Kに関してはこの記述がない

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう