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〈後編〉Aiming小川文也さんインタビュー

『陰実』のDiscordが熱い理由は、公式ではなく「公認」だから!?

公認だから生まれる「共助」の雰囲気

小川 はい。公認ならば、プレイヤーさんからゲームに対しての意見も言えますし、管理側のナイルさんも、「では(ゲームの)運営さんにお伝えしますね」とお返しできます。そして公認は文字通り公式に認められているので、その意見はきちんとゲーム開発に届いてるという安心感にもつながります。実際、さまざまな意見を伝えてもらっています。

 そして、もう1つ重要なのが、そうしたプレイヤーさんの質問に対してほかのプレイヤーさんが返答する可能性もあることです。

まつもと 共助的なコミュニティーが誕生している。

小川 そうですね。ナイルさん含め私たちが常に即答するのは難しいんです。適当にお返しすることはできないので、プレイヤーさんにIDなどをうかがって、状況を調べて……と、1つのご意見・ご質問も回答するまでに時間がかかってしまいます。

 そんなときにほかのプレイヤーさんが、「こういうことをしてみたら?」という回答をしてくれることがあります。

 ここが重要で、ゲームに限らず、あらゆるお客様対応において、企業側が「1度こういう操作をしてみてください」と返して、解決しなかったら、お客様にはストレスと不信感が溜まります。なので、公式側はできるだけ正確に回答する様にさまざまなヒアリングや検証を実施します。そうすると、プレイヤーさんの負荷も解決までの時間も増えてしまいます。

 でも、同好の士に言われてやってみる解決策は、お問い合わせ対応よりも迅速ですし、これで解決しなくても、「うーん、これじゃなかった!」という程度のやり取りになります。この温度感の違いってすごくあると思っているんです。

まつもと もしほかのプレイヤーさんからの助言で解決するなら、困っている方もわざわざ“お問い合わせ”をせずに解決できますし、御社としてはそのぶん、それでも解決しないような問題の調査に集中できて問題解決速度が上がりやすくなる。結果的にみんな得するわけですね。

Discordの仕組みが心地よさを生む

まつもと チャンネルを順番に見ていくと、自己紹介チャンネルまであって、みんなで運営する空気感もあるし、お知らせでゲームやアニメの公式Twitter投稿と連携させたりはするものの、あくまでここは公認の場だから、“公式からの情報をここにも流している”くらいの位置づけになっているのですね。

 一方、たとえば私が面白いなと思ったのが「シチュエーション募集」とか「拡散チャレンジ」ですね(編註:現在は終了済)。公認コミュニティとは言えど、このあたりはそこはかとなく公式色が見える仕掛けだなあと思ったりしました。

小川 公式との連携は強めにやっています。たとえば「グッズ情報」チャンネルでは、情報を適宜ナイルさんにお伝えして投稿してもらっています。

 そして「シチュエーション募集」や「拡散チャレンジ」は連動キャンペーンですね。前者は周年記念の生放送との連動で、後者は“達成したらゲーム内アイテムがもらえる”という内容の連動です。

公認Discordの「グッズ情報」チャンネル

まつもと 公認という立て付けなので、公式色の強い情報を提供することもできるし、ちょっと一歩引いて「ファン同士で楽しんでください。私たちはその場所を確保します」という立ち位置でもあると。

小川 そうなんです。私たちにとってもちょうど良い距離感でプレイヤーさんとつながれる場所だと思っています。

まつもと 全体的にすごくポジティブなのは、公認という立て付けならではの雰囲気が関係しているかもしれませんね。

小川 クローズドな空間だから人目を気にせず話せる、つながれる相手がいる、というところがDiscordでコミュニティーを作る最大の利点だと思っています。対してX(Twitter)やインスタは、すでに立場や趣味によって複数アカウントを使い分けて発信することが日常茶飯事になっています。

まつもと サブアカ、裏アカと呼ばれるものですね。

小川 はい。社会人としてのプライベートアカウントと、趣味人としてのアニメアカウントを使い分ける、みたいな。となると、常に“自分を見ている相手”のことも考えて発信しなければならないので、(ほかのSNSは)好き勝手に喋れる場所ではなくなっているのですね。

 逆にDiscordは『もうここには同好の士しかいないから、余計な心配は要らない。アカウントを分けなくてもサーバーを分ければOK!』と割り切ってすみ分けられるのがすごく良いところだと思っています。だからこそ、深いつながりを得やすいんじゃないかなと。

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