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ローエンドビデオカードの選択肢のひとつとなるか!? Radeon RX 6500 XTに8GB版が追加

2024年05月31日 10時00分更新

VRAMを8GBに増量したRadeon RX 6500 XTが登場

 ライトゲームをフルHD解像度、低~中画質で遊べれば十分という層に向けたエントリーGPUとして、2022年早々に投入されたAMD RDNA 2世代の「Radeon RX 6500 XT」。4GBのVRAM容量に、64bitのメモリーバス幅、PCI Express4.0×4接続のインターフェース、ハードウェアエンコード機能の非搭載、さらに映像出力はDisplayPortとHDMIの2系統出力のみと、かなり絞ったスペックになっているが、そのぶん価格は2万円前後とかなり安価。

 そんなRadeon RX 6500 XTのVRAM容量を8GBに増やしたモデルが、日本でも近日登場予定となっている。今回はPowerColor「AXRX 6500 XT 8GBD6-DH/OC」を、テストする機会を得られたので、改めてそのパフォーマンスを確かめてみることにした。

 結論から言うと、8GB版の買いと言える価格はかなり微妙なラインになりそうだ。一部メーカーのRadeon RX 6500 XT 4GB搭載ビデオカードは、特価で1万円台後半~2万円台前半が出ている。2万円台後半となるとRadeon RX 6600 8GBが買えてしまう。

 記事執筆時において価格は未定だが、価格次第ではローエンドGPU搭載ビデオカードの選択肢のひとつにはなりそうだ。しかしビデオメモリーを増量しただけなので、ビデオメモリーを消費するゲームや作業をするかしないかが、選択の分かれ目となるだろう。

試したのは、PowerColor「AXRX 6500 XT 8GBD6-DH/OC」だ。ファクトリーOCモデルで、デュアルファンGPUクーラーを採用している

 なお、Radeon RX 6500 XT 8GBの基本的なスペックは4GB版とまったく同じになるが、4GB版では6ピン×1だった補助電源が、8GB版のAXRX 6500 XT 8GBD6-DH/OCでは8ピン×1になっている。現状、公称資料が届いていないのだが、PowerColorのサイトでも8GB版の推奨電源ユニット容量は、4GB版から50W増した450Wになっていたので、消費電力は増しているようだ。

AXRX 6500 XT 8GBD6-DH/OCは、補助電源に8ピン×1を採用している

パフォーマンスを改めてチェックしてみた

 8GB版の概要を理解したあとは、テストPCにAXRX 6500 XT 8GBD6-DH/OCを搭載して、その実力をみていこう。

 ミドルレンジ帯CPUのRyzen 5 7600や、DDR5-6000駆動の32GBメモリー、AMD B650チップセット採用マザーボードなどを使った自作PCを使用し、比較用ビデオカードには、ワンランク上になるミドルローに位置しているNVIDIA GeForce RTX 3050 8GB搭載ビデオカードを選んでいる。

 なお、GeForce RTX 3050には、VRAM容量に加えCUDAコア数など全体的にスペックダウンされた6GB版が、2024年2月にひっそりとデビューしている。最安モデルは3万円台を切っているなど、同クラスでの比較という面では、GeForce RTX 3050 6GBのほうが適しているのだが、今回は手元にあったGeForce RTX 3050 8GBを使用している。

Radeon RX 6500 XTのスペック
製造プロセス 6nm RDNA2
Compute Unit数 16基
ストリーミングプロセッサー数 1024基
Ray Accelerator数 16基
ゲームクロック 最大2685MHz
ブーストクロック 最大2825MHz
テクスチャーユニット数 64基
ROP数 32基
Infinity Cache 16MB
メモリーデータレート 18Gbps
搭載メモリー GDDR6 4GB/8GB
メモリーバス幅 64bit
Board Power 120W(4GB版)/不明(8GB版)
PCIeインターフェース PCIe4.0×4.0
補助電源 6ピン(4GB版)/8ピン(8GB版)

テストPCは、Ryzen 5 7600や、B650マザーボード、DDR5-6000 32GBメモリーなどで構成した

GeForce RTX 3050 8GBを搭載したPalit製ビデオカードを使用した

6コア/12スレッドで動作するRyzen 5 7600は、3万円前後とコストを抑えた自作に狙い目だ

ファクトリーOCモデルのAXRX 6500 XT 8GBD6-DH/OC。ブーストクロックは2825MHzに設定されている。ドライバーは「AMD Software:Adrenalin Edition 24.4.1」を使用した

負荷時のブーストクロックは、最大2857MHzまで伸びていた

GeForce RTX 3050 8GB。ミドルローGPUなので、128bitのメモリーバス幅や、PCI Express4.0×16接続のインターフェースになっている

負荷時のブーストクロックは1972MHzまで伸びていた

テスト環境
CPU AMD「Ryzen 5 7600」
(6コア/12スレッド、最高5.1GHz)
CPUクーラー CORSAIR「Hydro XC7 RGB PRO ウォーターブロック」
(本格水冷、360mmサイズラジエーターなど)
マザーボード MSI「MPG B650I EDGE WIFI」
(AMD B650チップセット、Mini-ITX)
メモリー CORSAIR「VENGEANCE DDR5 」
(DDR5-6000、16GB×2)
ビデオカード PowerColor「AXRX 6500 XT 8GBD6-DH/OC」
(Radeon RX 6500 XT、8GB GDDR6)Palit「GeForce RTX 3050 StormX OC」
(GeForce RTX 3050、8GB GDDR6)
ストレージ Samsung「980 PRO 2TB」
(2TB M.2 SSD、PCIe4.0 NVMe)
電源ユニット FSP「Hydro PTM PRO ATX3.0(PCIe5.0) 1000W」
(80PLUS PLATINUM、1000W)
OS Microsoft「Windows 11 Home 64bit」(23H2)

動画エンコードは苦手

 ゲーミングパフォーマンスの前に、Radeon RX 6500 XT 4GB版はハードウェアエンコード機能が一切搭載されていないのだが、これは8GB版も同じになっている。最新Ryzen APUのRyzen 8000Gシリーズにも、AV1対応のハードウェアエンコーダ(AMD VCE)機能を搭載しているなか、これはかなり用途を限定してしまう。

 まずは、Adobe Premiere Proを用いて動画を編集する「UL Procyon Video Editing Benchmark」を実行して、変換に要する時間を確認してみると、ハードウェアエンコード機能の有無による差は歴然だった。動画再生に関しては、ハードウエアデコードに対応しているので、問題ないがエンコードを行なうなら、Radeon RX 6500 XTは選択肢に含めてはいけないだろう。

Radeon RX 6500 XTもCompute処理でGPUが使われるが、使用率は47%にとどまっている

ハードウェアエンコードされるGeForce RTX 3050 8GBのGPU使用率は97%。こうなると処理時間に雲泥の差がついてしまう

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