次に各コネクタ、ピンヘッダを挿してみた。フロントスイッチ、フロントUSB、ファン、オーディオ、アドレサブルLEDを挿してみたが、どれも挿しやすい。よくイメージしてほしい。通常、表面からこれらの端子に挿す際、マザーボード周囲には高さ20cm近いケースの壁があり、窮屈だし照明の位置によってはけっこう暗がりになる。ところが「PROJECT ZERO」はほぼ表面にある端子に挿すイメージだ。窮屈感は皆無だし明るく見やすい。「MAG PANO M100R PZ」はユーザーフレンドリーでフロントパネル用ピンヘッダが最初からまとまった端子を採用していたが、通常のバラけたピンヘッダ用端子だったとしても苦労はなかっただろう。
なお、PCケース側の各種端子のうち、USB 5/10Gbps端子のみL字アングルタイプが採用されていた。これはUSB 5/10Gbps端子のピン数が多く、そこから束ねる構造なのでほかより高さがあって曲げるのが困難だからだ。その横のUSB Type-C用ヘッダーは通常タイプ。もちろん右側板は閉じられたが、ケーブルにとってはけっこう負担になると思われるので、気になる方はType-Cヘッダー用のL字アングルアダプタを購入し使ってみるとよいだろう。
この流れで次は電源。EPS12VやATX24ピンも接続しやすかったが、その理由は先と同様。周囲に十分なスペースがあるし明るく見やすいためだ。なお、挿しやすいということは抜く時もラクということ。たとえばメンテナンスや組み換えの際も手間が少ない。こうした組み立てやすさも、通常のPCケースより際立って実感できたところだ。
そして最後の仕上げに水冷CPUクーラーとビデオカードを搭載した。
水冷CPUクーラーについても、通常は裏面に引き込んで、再度端子を接続するために表側へと引き出すが、「PROJECT ZERO」なら裏面に引き込んで、裏面にある端子に挿すだけ。工数が少なくて済む。なお、ビデオカードについては従来と変わりはない。今回用いた「GeForce RTX 4060 Ti GAMING X TRIO 8G」の場合、PCI Express 8ピンをホールから引き出してビデオカードに接続している。ここのケーブルは隠せない。
完成させて電源を入れるとこのような感じだ。
見た目スッキリ! キレイなPCが誰でも簡単に組める!
「PROJECT ZERO」はコネクタをマザーボード裏へ移し、見た目とエアフローを向上させるコンセプトだ。実際、ケーブルの露出は最小になる。作例のとおり、目立つケーブルはビデオカード用の補助電源ケーブルのみまで抑えられる。机の上に置いた時、およそ目線に近い高さのATX24ピンがそこにない、少し目線を下げた時にモジャモジャっとして見えたフロントパネル用の各種ケーブルもない。
また、こうした見た目のよいPCを、従来の自作PCよりも簡単に組めるというのが実際に組んでみた印象だ。四方を壁で囲まれた薄暗いPCケース内の、端に集中しがちなコネクタを接続していくのは大変だ。コネクタを裏面に移設したことで、ここがかなりラクになる。
また、小さめのフォームファクタほど組み立てが難しくなる傾向にあり、第一弾がmicroATXとなった理由はここにあるのかもしれない。もしもさらに小さく組み立て難易度が高いMini-ITXで「PROJECT ZERO」が登場したら、誰でもスタイリッシュな小型PCを組み立てられるようになるかもしれない。一方、大きなATXは内部空間が広い分、よりケーブルが目立ちやすいので、やはり「PROJECT ZERO」が期待されるフォームファクタと言えるだろう。「PROJECT ZERO」のラインナップが拡充し、裏面コネクタが当たり前のようにリリースされるようになったら、見た目のよい自作PCが誰でも簡単に組め、「自作PC=難しい」というイメージも覆されるかもしれない。
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