ドイツのミュンヘンで毎年開催されている「High End Munich 2024」。世界の注目を浴びるオーディオ関連のビッグイベントだが、ここでChord Electronicsが興味深い新製品を参考出品した。
「Suzi」と「Suzi Pre」という”合体メカ”製品で、Chordで合体メカ製品というと「Hugo 2」とそのネットワークモジュールの「2go」を思い浮かべるが、Suziシステムもそのコンセプトを発展/応用させたような製品だ。Chord Electronicsの公式YouTubeチャンネルと公式Xで画像が公開されているほか、海外メディアの速報もあるので、これらを参考に製品の概要を推測していく。
アンプにモジュールを組み合わせていくコンセプト
Suziは単体でも機能するスピーカー用のパワーアンプだが、さまざまな入力モジュールを組み合わせて形態と機能を変えられる。Suziは、デスクトップサイズで小型ではあるが、同社のフラッグシップのUltimaシリーズの技術を生かされた設計だという。Suzi PreはSuziに装着できる、専用のプリアンプモジュールだ。合体するとプリメインアンプになる。
Suzi PreはChordらしい独特の造形で、大型のイルミネーションライトが付いた球形ボリュームを搭載している。Chordは数値ではなくカラフルなライトでフォーマットの情報を示すが、これは離れた場所からの視認性を考えてのことだそうだ。Suzi PreはMM/MC対応のフォノイコライザーも内蔵するようだ。
また、SuziにはDACモジュールとしてHugo 2を装着できる。Hugo 2にはネットワーク入力モジュールとして、上述した2goを装着できる。組み合わせればネットワークオーディオになるわけだ。このようにモジュールの組み合わせで、機能拡張できるというのが面白い。さらに、2goではなく未発表の「USBアダプター」を装着できるようだ。報道によると、このUSBアダプターは有線LAN接続も可能なようだ。2goも有線LAN対応だが、BluetoothやW-Fiなどワイヤレス接続が不要な人に向けて、有線に絞ったモジュールをリリースするのではないかと推測する。
このようにSuziシステムは、ネットワーク対応もデジタル入力もできる拡張性を備える。Hugo 2とSuziはRCA端子で接続するようだが、側面に固定用のバーが用意されており、確実な固定ができるようだ。
積み木に発想を得たという
Suziは突然現れた製品ではなく、しばらく前から登場が予告されていた。例えば、マレーシアで今年開催されたオーディオショーでは、Chord Electronicsのジョン・フランクス氏が、Suziと見られるモジュールシステムのプレゼンテーションをしている。写真はHead-Fiフォーラムにも掲載されている。
同氏はマレーシアで「子供たちが積み木のおもちゃを持っていて、モジュール式の製品はいいアイデアだと思ったのです。Suziのデザインは私の子供の靴箱をベースにしています。モジュール式にすることで、独立した製品にすることができ、同時に互換性のあるデバイスとスタッキング可能なフォームファクターを提供できます」と、アイデアを得たきっかけを説明している。
製品化までにいろいろと変更される可能性はあるが、Suziのシステムは今秋から年内に向けて正式発表を目指しているとのことだ。Chord Electronicsは、「Hugo M Scaler」の新しいバージョンも展示したようだ。秋のヘッドフォン祭や東京インターナショナルオーディオショウなどで、ぜひこれらの新製品を体験してみたいものだ。
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