ハーマンインターナショナルは4月27日、春のヘッドフォン祭 2024の会場で、AKGブランドの完全ワイヤレスイヤホン「AKG N5 HYBRID」とワイヤレスヘッドホン「AKG N9 HYBRID」を発表した。価格はオープンプライスで、直販価格はそれぞれ3万8500円、5万5000円になる見込み。
1947年にオーストリアで創業したAKG。スタジオ向けのK240 StudioやコンデンサーマイクのC414シリーズは日本でも有名だ。多くのアーティストやクリエイターが歴史的な録音で何度も使用してきた。一方、AKGはコンシューマー向けにも製品を展開している。NシリーズやYシリーズだ。音作りの思想は基本的にプロ向けのKシリーズと同様だが、スタジオ以外の場所での利用も想定しており、例えば低音が響きづらい屋外でも音がやせないようにするといったニュアンスの再現も大事にしているそうだ。
AKGが再始動、そしていきなりのとがった新製品
AKGの再始動とも言える、新Nシリーズではクリエイティブかつアクティブで、通勤/通学で音楽を楽しみ、自宅やカフェでゆっくり音楽を楽しみたいと考える20~40代向けのシリーズとなっている。そのために、(1)高音質・高品質、(2)スタイリッシュなデザイン、(3)機能性の3点をポイントに置いた。
(1)の音質面では、「リファレンスサウンド」を標ぼう。AKGであれば音質がいいのは当たり前と自信を示す。プロの現場で培われた音に対する知見が盛り込まれているのがもちろんだが、Bluetoothの最新コーデックであるLC3plusとハイレゾワイヤレス伝送が可能なLDACにも両対応。最大24bit/96kHz伝送が可能な、先進的な規格を積極的に投入している。リアルタイム補正機能付きのハイブリッドノイズキャンセリングも搭載する。また、マイクメーカーらしく通話性能にもこだわっており、N5では6つのマイク(N9では4つのマイク)を使用して高品質な音の収集ができるようにしている。音声は専用アプリ「AKG Headphones」で調節可能にするなど、使い勝手にこだわっている。
AKG N5 HYBRID
AKG N5 HYBRIDは10mm径のダイナミックドライバーを採用し、振動板はDLC(Diamond Like Carbon)をPEN(ポリエチレンナフタレート)の素材に、真空マグネトロンスパッタリングプロセスで吸着させている。
すでに述べた通り、LDACとLC3plusに両対応し、ハイレゾ級のワイヤレス伝送が可能。LC3plusは、まだ送信できる機種が少ないが、本体にUSB Type-C接続のドングルが付属するため、Androidスマホはもちろん、最新の「iPhone 15」シリーズや「iPad」でも利用できる、アップルデバイスでハイレゾ級の伝送ができるというのは魅力的だ。ドングルはケースに収納して持ち運べる。なお、基本的にはヘッドホン/イヤホンと1対1で接続するもののため、他社製品との互換性は保証しないという。
マイク性能の高さも特徴で、音質もアプリから細かく調整ができる。「Natural」「Increased Trebel」「Increased Bass」の3段階で通話相手の声の聞こえ方を調整できるほか、「Natural」「Bright」「Powerful」の3段階で自分の声の届け方も変えられる。さらに、人によって異なる声の大きさを調節して大人数との会話を聞きやすくする「Sound Level Optimizer」も備えている。
なお、Bluetoothは最大2台のマルチポイント接続に対応するが、ドングルとBluetoothをうまく併用することで、パソコンにはドングルを差しっぱなし、スマホとはBluetoothで接続といった形の運用も可能だ。こういった多様な使い方ができる点が「HYBRID」をうたうゆえんである。
カラーはブラックとホワイトの2色展開で、デザインはAKGらしい仕上がり。また、イヤホン本体の形状は、JBLの人気機種「TOUR PRO 2」に合わせるなど、グループ内でのノウハウの共有もしている。一方でディティールの仕上げはAKGらしい高級感にこだわっているという。また、細かな配慮だがL/Rが手触りで簡単に区別できるよう、アルファベット点字でL/Rが分かるデボスも設けている。ここは視覚に障害がある人だけでなく、暗い場所で使うことが多いモニターヘッドホンを使う際、すぐ分かるようにするためのノウハウが生きている部分だという。
AKG N9 HYBRID
AKG N9 HYBRIDは、振動板にPUとLCP(液晶ポリマー)素材を使用。高強度・高硬度のLCP振動板素材の共振と歪みを減少させることで、深みと迫力のある低音と鮮やかな中域、詳細で伸びる高域を再現している。最適な振動板素材と構造の選択など、独自の音響設計とチューニングを通じて、ビビットでAKGらしいサウンドステージを目指したという。
ハイブリッド型のノイズキャンセリングも、その性能の高さを自負するが、単に強くかけるのではなく、ハーマンでは人間が一番不快に思うところをノイズキャンセリングすることに注力しているという。逆に、NCによる音質劣化といった弊害もあるため、不快に感じないのであれば敢えて処理を掛けないという。
機能面では、AKG N5 HYBRIDを踏襲。こちらもLDACとLC3plus両対応だ。カラーはブラックとホワイトの2色展開。白はメーカーの立場では、経年で変色しやすいといった怖さもあり、純白の製品というのは減っている傾向があるが、耐久性にも配慮しているという。
ハーマンインターナショナルとして、AKGブランドのコンシューマー向け製品をヘッドフォン祭に持ち込むのは約6年ぶりとのこと。いきなりの新製品投入となったが、ブランクがありながらも、完成度が高い製品が提供できるとハーマンとしても自信を持っているそうだ。再始動したAKGブランドには注目だ!!
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