カカトに穴が開きました
あれは去年の秋ごろだったでしょうか。長雨が続く中、新年早々に買ったAVIREXのシューズ『DICTATOR』(第347回「ダイヤルを回すだけでフィットするシューズ「DICTATOR」を衝動買い!」)を履いて歩いていると、ふとカカトのあたりに妙な感覚を覚えたんですよね。なんだろう。変だなー。嫌だなーって。
その時は気のせいと思って帰宅したんですけど、雨の日に出かけるたびにそのおかしな感覚は強くなっていきます。変だなー。嫌だなー。
そしてある日これまでにないほどの違和感が。これはもう気のせいなんかなじゃい。完全に何かある。その思いに耐えきれず、意を決して靴下のカカトのあたりを触ってみました。するとその指がベットリと濡れていて……嫌ぁぁぁ。
靴のカカト部分に穴が開いて思いっきり浸水していました。まだ買って1年も経っていないのに!
補修剤を発見!
まあ正直、薄々というか完全に気づいてたんですけどね。カカトに穴が開いてるって。昔からそうなんですよ。なんかすぐ穴が開いちゃう。歩く時に靴を引きずっているらしく、結構注意して歩いてるつもりなんだけど全然ダメ。しかも年くって脚が上がりにくくなってるから、なおさら削れやすくなっちゃってます。
ただ、季節はもう冬。雨がぐっと減ったおかげで穴のことはすっかり忘れてました。
そしてそれからさらに時は過ぎ、3月も後半に入ったころ。ホームセンターの接着剤売り場をウロウロしていたら「靴修理」というPOPが目に止まりました。それで「ああそうだ。穴が開いてたんだっけ」と思い出して。
靴を修理してくれる店はあるものの、DIY好きとしてはこれぐらいなら自分でなんとかしたい。それで風呂や水回りのシールに使うコーキング剤でも充填しようかなーと考えたこともあったんですけど、専用の補修剤があるならそっちの方がいいに決まってます。パッケージを見てみると「クツ底の肉盛り補修剤」「補修用ポリ板・ヘラ・サンドペーパーつき」「ニオイや肉やせが少ない」などなど魅力的な文句がズラリ。まあ買っちゃいますよね。
見つけたのはセメダインの『シューズドクターN』(希望小売価格605円)という商品。容量は20mlで、約1足分の補修が可能とのことです。このほか2.5倍の50ml入っててお得なタイプもあって、そちらはブラックのほかにホワイトとブラウンもありましたが、20mlの方はブラックだけでした。
メーカーのサイトで確認したら20mlはブラックしかないようです。DICTATORは靴底が黒なのでいいんですけど、白や茶色の靴の場合は大きい方から選ぶことになります。
混ぜなくていい1液タイプです
補修剤の種類は特殊ポリウレタン系補修剤というもので、コーキング剤に近いみたい。接着剤との違いは弾力性で、硬化したあともゴムのような弾力があるのが特徴です。
ポリウレタン系の塗料や接着剤は主剤と硬化剤を混ぜて固める2液タイプと、主剤と硬化剤が最初から混ぜられている1液タイプがあって、この補修剤は1液タイプ。
2液タイプは混ぜるとすぐ硬化が始まりますが、1液タイプは空気中の湿気と化学反応を起こして徐々に硬化が進みます。このシューズドクターNの場合は温度23度/湿度50%、肉盛り2mmの場合で完全硬化まで24時間かかるとのこと。待ち時間は必要ですが、その代わり慌てずのんびりと作業ができるのがメリットです。
まずは掃除から
こういうのって、買ったらすぐにやらないとどこかに仕舞い込んで終わりってなりがちなので、可及的速やかに作業を開始します。
パッケージに書かれていた通り、補修剤のチューブのほか、サンドペーパーとポリ板、ヘラが入っていました。このほか、製品に入っていないピンセットと養生テープ、雑巾も用意します。
最初にやるのは補修面の掃除。
これを怠ると補修剤が定着しなくて痛い目にあったりするので、濡れた雑巾で丁寧に拭いて汚れを落とし、天日に当てて乾燥させました。
続いて小石の除去。
穴の中に石が入り込んじゃっていたので、ピンセットで丁寧に取り出します。石なんて入ってないとか、振ったら落ちるような状態なら、もちろんピンセットは不要です。
掃除が終わったら補修作業に入ります。
あ、そうそう。補修する部分がギザギザガビガビとなっている場合は、付属のサンドペーパーを木片などに巻きつけて、平らになるように削ってあげます。ウチは磨いたかのようにツルツルだったので使いませんでした。
次は塗る前の準備です
付属のポリ板は縁の部分の成形に使います。型枠ですね。
補修剤は練りカラシぐらいの粘度があるので流れちゃったりはしないんですけど、後ろの部分を手で形にするのは至難の業。というかベタベタとヘラにくっついてしまうので絶対無理。そこで登場するのがポリ板です。
カカトとの間にできるだけ隙間ができないように固定し、そこに補修剤を塗り込むことで簡単にカカトの形が作れるというわけ。
ポリ板のツルツルした面を内側にして、カカトのところにテープで固定します。
補修剤を塗っていきます
次はいよいよ補修剤の出番。穴が開いている部分にチューっと補修剤を出します。
量は少なめ。1回に厚さ4mmまでにしないと硬化不良を起こす可能性があるそうなので、足りなければ追加する作戦です。
で、付属のヘラを使って補修剤を穴にググッと入れてみたらやっぱり全然足りなかったので、補修剤を追加しつつ塗り広げて平らにならしていきました。
補修剤がヘラにくっついてしまい綺麗に平らにするのはなかなか難しかったですけれど、スーッと撫でてヘラについた余分な補修剤をパッケージのブリスターでこすり落とし、また補修剤を塗って、という作業を繰り返してみました。
結構平らになったかなと思ったんですけど、まだダメですね。穴の部分にガッツリ凹みができてしまっています。ただ、この状態でだいぶ厚塗りになっているため、これ以上塗り重ねても、ヘラで撫でた時に全体がユルユルと動いてしまって平らにするのは超困難。柔らかいままでは無理と判断して、いったん硬化させることにしました。
ニオイはないし溶剤が揮発するということもないので、玄関内に置いておいても大丈夫です。
不足部分を塗り重ねます
そして24時間後。恐る恐る触ってみるとベタベタすることもなく固まっていました。グイグイっと押すとしっかり弾力もあります。
23度よりはだいぶ低かったし2mmより厚いはずなので、中まで完全に硬化していないかもしれませんが、少なくとも表面は大丈夫。
穴が開いていたあたりが何ヵ所か凹んでしまっているのは、補修剤が収縮してやせたわけではなく、穴の奥の方に補修剤が流れていったためでしょう。その部分に追加で補修剤を塗り込みます。
全体的にまだ足りない感じなので、もうあと1mmぐらい厚く塗ってみました。
ちょっとシマシマになっちゃいましたけど、まあ見えないしすぐ擦れて平らになるだろうからこれで十分。というわけでまた24時間放置~。
ポリ板を剥がして余分なところをハサミでカット
補修剤が自重で平らになってくれたのか、塗った時よりも凸凹が減ったような気がします。気のせいかもしれないですけども。
しっかり固まっていることを確認したら、いよいよポリ板を剥がしてみます。プラモの塗装でマスキングテープを剥がす時が大好きなんですけど、まさにその心境。
ポリ板がガッチリくっついちゃってたらどうしようと思ったんですけど、ただの取り越し苦労でした。全然大丈夫。スッと剥がれます。
縁の部分が餃子の羽根みたいになっていたのでハサミでチョキチョキ。縁が薄くならないようにポリ板になすりつけるようにして塗ったので、予想はしていましたが結構な羽根っぷりでした。
ちょっとはみ出してるところもありますけど、これぐらいなら許容範囲です。
ちょっと隙間はあるけどこれなら十分
後ろから見ると2回目に塗ったところの間なのでしょうか、隙間ができてしまっていました。
まあでもこれぐらいなら使用に支障はないし、見た目もほとんどわかりません。他人の靴のカカトなんて見ないですしね。細かいことを言えばAVIREXの文字も欠けちゃってますし、どうしても気になるようだったら、この部分にまた補修剤を塗り込むことも可能です。
実際、地面に置いてみるとそんなに違和感はないかなと思います。
ちょっと歩いてみたら、地面に当たった部分はツヤや塗りムラが消えてました。自然とやすりがけをしてるようなものですものね。
完全に直って快適に!
そして補修から1ヵ月。裏返して見てみると、すっかり自然な感じになっていました。
もちろん雨の日もへっちゃら。水は全然入ってきません。
補修した部分には靴底のモールドはないですけど、元々そんなにゴツゴツとしたモールドじゃないから、この程度ないからといって滑りやすくなったということもなく、普通に使えています。
ちなみにパッケージには約1足分と書かれていましたけど1/3ぐらい残りました。穴の中にも充填したことを考えると量的にはだいぶ余裕なんじゃないかな。大抵の補修には十分対応できると思います。
作業も簡単だったし数百円で直せて大満足だわぁ。
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