ウエインズトヨタ神奈川が2023年10月6日に、神奈川県の都筑区荏田東にトヨタ初の車種ブランド専門店「THE CROWN横浜都筑」をオープンしました。お節介にも「クラウンだけでお店を運営できるの?」と思ったASCII.jp自動車部一同(総勢3名)。ゆみちぃ部長以下、部員総出でお邪魔してきました。
和風テイストの店舗デザインがお出迎え
「THE CROWN」は、クラウンオーナーの多様なライフスタイルに寄り添うブランド拠点・全モデルの展示拠点として、横浜都筑のほか福岡天神、愛知高辻と全国3か所で営業しているクラウン専門店。2024年度には東京と千葉にもオープンする予定なのだとか。
その中のひとつ「THE CROWN横浜都筑」は、東名高速道路「横浜青葉IC」から約10分、新横浜元石川線道路沿い(上り車線側)にあります。近くには国内外のディーラーが立ち並ぶ激戦区なのですが、そこにひと際目立つ、和モダンの建物が「THE CROWN横浜都筑」になります。
営業中はクラウンの王冠ロゴが描かれた、大きなのれんが掲げられる「THE CROWN横浜都筑」。さっそくのれんをくぐって店内に入ってみましょう。
店内も和風テイストで、入って左側、ガラス張りのショールームにクラウンが3台鎮座。床は白く清潔感があります。
反対側には受付などが一段上がったところにあり、そこには大きな無垢材のテーブルが配置されています。お店のスタッフによると日本家屋をイメージしているのだとか。テーブルの席に座ると、確かに茶の間からクラウンたちが置かれている庭を見ている気持ちになります。
ちなみに大きなテーブルは、地元神奈川の大磯パーキングエリアから切り出された大楠の木なのだそう。後述しますが、商談ルームのテーブルも、スタッフたちが足を運んで選んだ木材なのだそう。
黒と白、そしてウッドをふんだんに使ったデザインの店内
ちょっと休憩に丁度よいソファのシートも用意。壁面には歴代クラウンのグッズが展示されているほか、開発者のVTRも流れていました。
店内にはクラウンの限定グッズがいっぱい。これらはクラウンのデザイナーが手掛けたものだとか。また、クラウンの製造過程で出た端材から生み出された「アップサイクル商品」も人気とのこと。
商談ブースは全部で4部屋。それぞれ「屋久杉」「楠」「栴檀」「榧」と名付けられていて、名前と同じ木材を使ったテーブルなどが用意されています。
美味しい日本茶を煎れてくださるのも印象的。ちなみにお茶もコーヒーもスタッフのセレクト品なのだとか。といいつつ、コーヒーを頼んでしまった空気を読まないASCII.jp自動車部員たち。
ここで、ゆみちぃ部長に感想を訪ねてみましょう。「私はあまりディーラーさんにお邪魔した経験はないのですが、明るくて入りやすい雰囲気だと思いました。高いクルマを扱っていらっしゃるという特別感がありながらも、とても居心地がよいんですよ。だから身構えなくていいというか」と気に入られたご様子。
「それに木に触れる機会って減ってきていますから、これはうれしいなって思いました」とのこと。このウォームな空間、実に素敵です。
メーカーとディーラーが一体になってクラウンを盛り上げる
店舗の担当者に話を伺いました。まず、どうしてこのエリアにクラウン専門店をオープンしたのか、ということから。「選んだ理由のひとつが、神奈川県内の中で一番の高級車マーケットというところに着目しました。神奈川県内で、一番世帯年収が高いのがこの都筑周辺だったということもあり、従来店舗を改装してクラウン専門店にしました」とのこと。
続いて、なぜクラウン専門店なのか? それはクルマのコンセプトが関係しているのだそう。「今回のクラウンは“革新と挑戦”がテーマです。そうであれば、クルマだけでなく私たち販売店も同じ想いで新しいチャレンジをしたい。そこでメーカーとともにお客様へのご提案も含めて、新しいクラウンブランドを作っていくことになりました」とのこと。メーカーと販売店で新ブランドとしてクラウンを盛り上げるというのは、実に興味深い話です。
ということで、メーカーと販売店がひとつになり、「革新と挑戦」「時代に合わせ変化し続けるジャパンプライド」をキャッチワードとして、店舗デザインを考案しました。そこにはトヨタのデザインチームも監修という形で参画したそうです。
最も難しかったのは高級感と入りやすさのバランスだといいます。「高級感を出し過ぎると入りづらいとか冷たい印象を思われがちですけれど、木材を使うことで温かさと高級感を両立できました」と笑顔をみせます。
さて、お客様の反応について尋ねたところ「オープン1ヵ月で1300組のお客様にご来場いただきました」というから驚き。リニューアルオープンではなく、クラウン専門店というゼロベースの店舗で1300組はとんでもない数です。さらに「平均すると1日あたり70組、一番多い日曜日で140組のお客様が来店してくださいました」とのこと。
この数字は想定外だったそうで「オープン前は、しばらくは閑古鳥を覚悟しなければいけないなと話をしていました。しかもメーカー側が発表するという経緯もあって、開業日まで事前告知ができなかったんです。もともといるお客様がいない、事前告知ナシ、相当厳しいだろうと覚悟はしていました」と正直な感想を教えてくださいました。
若者もクラウン! 大きく若返った購入層
来店される方は40代を中心に、30~50代と幅広いようです。これは従来のクラウンとは異なる傾向で「若い方ですと30歳でご成約された方がいらっしゃいましたし、購入層は5歳ぐらい若返っているように思います」とのこと。
ちなみに最も売れているのはクラウン(スポーツ)だとか。ですが、4車種のうちエステートが出ていません。2024年内に登場するという話も聞こえてきていますので、その時にはさらなる集客が予想できそうです。
担当者は「いつかはクラウン、というのが私にもありました。コンパクトカーから始まって、その後、コロナ、マーク2とステップアップし、60歳ぐらいになって最後のクルマとしてクラウンに乗り換えるみたいな。ですが今回、メーカーがこれだけの挑戦をしていただいて、クラウンブランドを再構築してくれました。ですから最後のクルマではなく、ライフスタイルに合わせて選択できる、本当にオススメできるクルマになっていると思います」とクラウンへの想いを語りました。
そんなクラウンにマーケットは反応。輸入車からクラウンへの乗り換え、というが起きているのだそう。輸入車ディーラーが多いエリア、つまり輸入車オーナーが多い場所にあえて挑戦し、そこで早くも成果を出しつつあるということにも驚かされます。
店舗としては今後どのような展開をされるのでしょう? するとクラウンのファンを増やしていきたいと語ります。「まずオーナーミーティングのようなものを開催したいと思っています。また店舗限定仕様の販売も行ないたいですね」だそう。
メーカーと販売店が一緒になって単一車体のブランドを作ろうとする試みは、自動車業界の中でも珍しいことです。最近のトヨタは「とにかくやってみる」という空気に満ちているように思います。クラウンはもちろんですが、ほかのトヨタの動きにも注視したいと思います。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります