音の裏側を知る企業が作り出す音とは
Layfic Toneというオーディオブランドを知っているだろうか。
Layfic Toneは1992年設立の老舗企業、株式会社ユー・エス・イーが2023年に立ち上げたブランドだ。同社は主にAV機器や車載関連製品のODM開発を続けてきた企業。ODM開発だけでなく、センサー、GPS、DSP(デジタルシグナルプロセッサー)、アンプ、Bluetoothチップなど、音にまつわる組み込み用のモジュールの開発、販売も行ってきた。
そんな同社が、プロユース/オーディオファイル向けに立ち上げたのがLayfic Toneである。噛み砕いていうと、30年以上、音環境にまつわるあれこれの“裏側”を作り続けてきた会社が始めた、自社ブランドということ。
ODMなどを通じて30年以上培った膨大なノウハウを持つ企業が、改めて自社を押し出す形で作る機材って、どんな仕上がりになるんだろうか。気になる。「名店の調理場を長年渡り歩いてきたシェフが、自分でお店を開くならどんなお店になるんだろう?」という好奇心に似ている。
そんなLayfic Toneの第一弾製品「The Industrial-ist Wired」を借りたので、ガチでレビューしていきたい。
本物のカーボンや本革など、こだわりのハイエンドな素材
The Industrial-ist WIREDがどういう性質の製品なのか、まず公式サイトのキャプションを引用して紹介みる。
The Industrial-ist WIREDは、クリエイターの為のフラッグシップ・密閉型モニターヘッドホンです。高解像度、高繊細、正確な定位と現代的な低音を内包したフラット音質を実現。スタジオワーク・クリエイター・DJ・動画編集・PAなど、プロに求められる品質を追求しました。(The Industrial-ist WIRED公式サイトより)
日常のリスニング用途で気軽に買うものというよりは、実際の制作現場や、プログレードの音を求める人に向けた製品であるようだ。それもあって、フジヤエービックなどのオーディオ店だけでなく、宮地楽器やFive Gといった音楽業界のプロが出入りする楽器店でも取り扱いがある。
仕様を参照していくと、The Industrial-ist WIRED専用に独自開発した50mmの大型ダイナミックドライバーの搭載、高い品質に定評のあるアメリカのブランドDekoni Audio製のイヤーパッドの採用、そして本物のカーボンや工業用アルミ、エンジニアリングプラスチックの使用。ケーブルにはオーディオみじんこ製のOFCケーブルを採用。物理的な特徴はこのあたりになるだろう。
スペック的には、再生可能周波数帯域はJEITA基準で10〜40000Hzのハイレゾグレード、インピーダンスは60Ω、音圧感度は115dB±3dB(1KHz帯において)、重量はおよそ385g。
サイズ調整は、ハウジングから伸びるカーボンのシャフト(工業用アルミの外周をカーボン樹脂で覆っている仕様)を上下させてする。ここは程よい硬さで、装着しながらでも素早く調整ができる。
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